生きる、ということ
結果、全ての指を咥えられ、舐められたりんの顔はこの上なく真っ赤で。
それに気を良くした殺生丸は、最後にりんの唇を舐め、口腔内へと舌を這わした―――。
顔も指先も熱く、真っ赤に染めたりんが殺生丸の膝の上でぽつり、尋ねる。
「ねぇ、殺生丸さま?なんでりんの爪、どんどん伸びちゃうんだろ。
…ううん、爪だけじゃないや。髪も背も、いつの間にか伸びてるよね。
りん、なにもしてないのに…」
それはどこか気怠げに、物悲しげに語られたことばであった。
言ったきり、殺生丸の胸に顔を埋めてしまった。
こんなりんは初めてだった。
何かに怯えたような、しかし自分自身ではどうする事も出来無い絶望感が感じられる。
だからと言って、慰めてやる術など己は知らぬ。
己が言えるのは真実のみ。自然の理のみだ。
殺生丸は、優しいまなざしをりんに向ける。
「生きているからだ。生きていなければ何も変わる事はない。
りん、お前は死んでいるのか?」
問わずとも、この儚い重みと、愛しい温もりが生の証である事は事実。
だが、口に出した言葉の意味に、殺生丸は恐れを感じたが、顔には出さず、ただりんを見つめる。
「りん、生きてるよ。ちゃんと。ここにいるよ」
きょとんとした後、少し考えて、それでもはっきりとりんは言った。
「―――生きるという事は常に変わって行くという事だ。
生きる限り、不変なものは無い」
「りんの爪や髪や背が伸びるのも、生きてるから?」
「そうだ」
それは己を誘う甘き蜜となって。
「殺生丸さまも、不変じゃないの?」
「何かが変わる」
それはお前がいるから。
「……でもりんは、殺生丸さまのそばにいたい!
何があっても変わる事無く殺生丸さまと一緒に、居たい…。
きっとそれがりんの生きてる証だと思うから…。」
「……好きにするがいい。
ただし、勝手に死ぬ事は許さぬ」
不変の物となることだけは…。
「はい!殺生丸さま!」
変わらぬ思いと、変わり行く心。
日々成長する肉体と、時を止どめたままの身体。
矛盾している…。
生き物とは、その身に矛盾を宿して生きているのか…。
殺生丸はふとそんな事を思い、嘲笑を浮かべた。
満面の笑みで己に抱きついて来た少女を、先程の言葉を身体の奥深くに押し込めるかのように、殺生丸はきつく、きつく抱き返した。
暫くして戻った邪見が調達して来た小刀は、当分使われる事は無かった。
(終)
それに気を良くした殺生丸は、最後にりんの唇を舐め、口腔内へと舌を這わした―――。
顔も指先も熱く、真っ赤に染めたりんが殺生丸の膝の上でぽつり、尋ねる。
「ねぇ、殺生丸さま?なんでりんの爪、どんどん伸びちゃうんだろ。
…ううん、爪だけじゃないや。髪も背も、いつの間にか伸びてるよね。
りん、なにもしてないのに…」
それはどこか気怠げに、物悲しげに語られたことばであった。
言ったきり、殺生丸の胸に顔を埋めてしまった。
こんなりんは初めてだった。
何かに怯えたような、しかし自分自身ではどうする事も出来無い絶望感が感じられる。
だからと言って、慰めてやる術など己は知らぬ。
己が言えるのは真実のみ。自然の理のみだ。
殺生丸は、優しいまなざしをりんに向ける。
「生きているからだ。生きていなければ何も変わる事はない。
りん、お前は死んでいるのか?」
問わずとも、この儚い重みと、愛しい温もりが生の証である事は事実。
だが、口に出した言葉の意味に、殺生丸は恐れを感じたが、顔には出さず、ただりんを見つめる。
「りん、生きてるよ。ちゃんと。ここにいるよ」
きょとんとした後、少し考えて、それでもはっきりとりんは言った。
「―――生きるという事は常に変わって行くという事だ。
生きる限り、不変なものは無い」
「りんの爪や髪や背が伸びるのも、生きてるから?」
「そうだ」
それは己を誘う甘き蜜となって。
「殺生丸さまも、不変じゃないの?」
「何かが変わる」
それはお前がいるから。
「……でもりんは、殺生丸さまのそばにいたい!
何があっても変わる事無く殺生丸さまと一緒に、居たい…。
きっとそれがりんの生きてる証だと思うから…。」
「……好きにするがいい。
ただし、勝手に死ぬ事は許さぬ」
不変の物となることだけは…。
「はい!殺生丸さま!」
変わらぬ思いと、変わり行く心。
日々成長する肉体と、時を止どめたままの身体。
矛盾している…。
生き物とは、その身に矛盾を宿して生きているのか…。
殺生丸はふとそんな事を思い、嘲笑を浮かべた。
満面の笑みで己に抱きついて来た少女を、先程の言葉を身体の奥深くに押し込めるかのように、殺生丸はきつく、きつく抱き返した。
暫くして戻った邪見が調達して来た小刀は、当分使われる事は無かった。
(終)
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