転生したレジスタンスのメディック
彼らの再会
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隣街までは電車で数駅。エリカさんは終始ご機嫌で、いつもの飴玉を舐めている。その前髪に飾られた、四つ葉を俺はただ眺めていた。
「これ、お気に入りなんです」
緑色のヘアピンはエリカさんの翡翠色の瞳によく似合う。
「初めてのお給料で買ったっていうのもあるけど、なんだかクローバーのモチーフが好きなんです。四つ葉のクローバーは幸せを運ぶっていうのもあるけど、なんだか、とても大切なものだった気がして」
その言葉に少し驚いて、俺はエリカさんをまじまじと見た。あの日、ホワイトデーに俺が渡したプレゼント。高いものはあげられないから、って考えて頑張って探した四つ葉のクローバーで作った栞。エリカさんにあの日の記憶がないはずなのに。
エリカさんが行きたかったというカフェは小さな、でもなんだか落ち着いた雰囲気のお店で、木のぬくもりを感じるアンティークな装飾とそこに流れるクラシックがとても調和していた。
「ここの紅茶がすごく美味しいらしいんです。でも、こんなに大人っぽいお店、私には敷居が高くて・・・」
苦笑いで扉を開けたエリカさんは恐る恐る店内を見回す。
「いらっしゃいませー!って、あ、あれ!?」
女の子みたいな高い声。お店の雰囲気にそぐわない大きな声を出した少年が俺とエリカさんを見て目を丸くしている。
「マスターじゃん!」
ぴょん、という形容詞がつきそうな勢いでエリカさんに抱きついた男の子があわてて離れる。
「あ、ご、ごめんね?オレ、嬉しくて、つい・・・」
そう言いながら覗きこんだエリカさんがきょとんとした顔をしていることに気づいて、男の子は悲しそうに目を逸らした。
「・・・やっぱり、違うんだね」
小さく呟いて、男の子は笑顔を作る。
エリカさんは紅茶を、俺はウィンナーコーヒーを啜る。静かに流れていた音楽が止まって、レコード特有の「ジジジッ」という音のあと、華やかで明るい音楽が流れる。
「・・・あっ・・・」
「ローレンツさん?」
驚いた俺にエリカさんは首を傾げる。蓄音機の傍には口ひげを蓄えた老紳士が柔らかい笑みを浮かべている。
「・・・この曲、俺が一番好きな曲なんです」
ドナウワルツ。あの頃も、今も俺が一番大好きな曲。
やっぱりこのカフェはあの二人のカフェだ・・・。
「素敵なお嬢さん、先ほどは甥が失礼したね」
俺たちのテーブルに近づいた紳士がそう言いながらケーキの乗った皿をテーブルに置いた。チョコレートとアプリコットのジャム。ザッハトルテだ。
「甥はあなたに似た女性に昔世話になってね。あなたを見たときに勘違いをしてしまったらしい。迷惑をかけたお詫びに、良かったらこれをどうぞ」
そう言って笑う紳士は俺に小さく囁いた。
「彼女に記憶がないことを嘆いたらいけないよ。せっかく出会えたのだから、また楽しい思い出を作っていけば良い」
その言葉に俺はレオポルトさんを見上げる。微笑みを浮かべたままのレオポルトさんに小さく頷いて、俺はその言葉を胸のなかで繰り返した。
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「これ、お気に入りなんです」
緑色のヘアピンはエリカさんの翡翠色の瞳によく似合う。
「初めてのお給料で買ったっていうのもあるけど、なんだかクローバーのモチーフが好きなんです。四つ葉のクローバーは幸せを運ぶっていうのもあるけど、なんだか、とても大切なものだった気がして」
その言葉に少し驚いて、俺はエリカさんをまじまじと見た。あの日、ホワイトデーに俺が渡したプレゼント。高いものはあげられないから、って考えて頑張って探した四つ葉のクローバーで作った栞。エリカさんにあの日の記憶がないはずなのに。
エリカさんが行きたかったというカフェは小さな、でもなんだか落ち着いた雰囲気のお店で、木のぬくもりを感じるアンティークな装飾とそこに流れるクラシックがとても調和していた。
「ここの紅茶がすごく美味しいらしいんです。でも、こんなに大人っぽいお店、私には敷居が高くて・・・」
苦笑いで扉を開けたエリカさんは恐る恐る店内を見回す。
「いらっしゃいませー!って、あ、あれ!?」
女の子みたいな高い声。お店の雰囲気にそぐわない大きな声を出した少年が俺とエリカさんを見て目を丸くしている。
「マスターじゃん!」
ぴょん、という形容詞がつきそうな勢いでエリカさんに抱きついた男の子があわてて離れる。
「あ、ご、ごめんね?オレ、嬉しくて、つい・・・」
そう言いながら覗きこんだエリカさんがきょとんとした顔をしていることに気づいて、男の子は悲しそうに目を逸らした。
「・・・やっぱり、違うんだね」
小さく呟いて、男の子は笑顔を作る。
エリカさんは紅茶を、俺はウィンナーコーヒーを啜る。静かに流れていた音楽が止まって、レコード特有の「ジジジッ」という音のあと、華やかで明るい音楽が流れる。
「・・・あっ・・・」
「ローレンツさん?」
驚いた俺にエリカさんは首を傾げる。蓄音機の傍には口ひげを蓄えた老紳士が柔らかい笑みを浮かべている。
「・・・この曲、俺が一番好きな曲なんです」
ドナウワルツ。あの頃も、今も俺が一番大好きな曲。
やっぱりこのカフェはあの二人のカフェだ・・・。
「素敵なお嬢さん、先ほどは甥が失礼したね」
俺たちのテーブルに近づいた紳士がそう言いながらケーキの乗った皿をテーブルに置いた。チョコレートとアプリコットのジャム。ザッハトルテだ。
「甥はあなたに似た女性に昔世話になってね。あなたを見たときに勘違いをしてしまったらしい。迷惑をかけたお詫びに、良かったらこれをどうぞ」
そう言って笑う紳士は俺に小さく囁いた。
「彼女に記憶がないことを嘆いたらいけないよ。せっかく出会えたのだから、また楽しい思い出を作っていけば良い」
その言葉に俺はレオポルトさんを見上げる。微笑みを浮かべたままのレオポルトさんに小さく頷いて、俺はその言葉を胸のなかで繰り返した。
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