転生したレジスタンスのメディック
彼らの再会
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初めて触れた体は細くて、壊れそうで、なにも知らない俺はそれが女の子という生き物なんだと思った。昔、俺を扱った誰かとは違う、華奢な腕に肉の柔らかさはない。ただ骨の感触を感じた。それが彼女の過去の問題が生んだ結果だったと知ったのはその少しあとだ。
柔らかい頬に触れる。滑らかで、柔らかで、それが幸福の証なんだ、って知ったのはいつだっただろう。これがきっと、エリカさんの本来あるべき姿。
小さく身動ぐ。起こしてしまったかと焦る俺の方を向いて、エリカさんは寝息をたてる。
博物館に行ったときもそうだった。多分、だけど、エリカさんはあの日の記憶を取り戻そうとすると眠ってしまう。それは、あの忌まわしい記憶から自分の心を守る防衛本能なのかもしれない。柔らかい髪を撫でる。あの頃の俺が心から願って、でも怖くて叶えられなかったこと。エリカさんに触れること。それが叶っただけで、こんなに俺は嬉しくて、満たされている。泣けるくらいに嬉しいのに、それ以上のことなんて望めるはずがない。頭のてっぺんにキスして、額にキスして。目が覚めたら、また拒絶されるだろうか。それとも、嬉しそうに笑ってくれるだろうか。
本当は教えたくなんかなかった。あんな過去、知らないほうが幸せだし、第一今のエリカさんには関係ない。荒唐無稽な話だと一蹴して笑ってくれたら良かったのに、なんで強い恐怖は今になってもエリカさんを蝕むんだろう。
「大好きですよ」
あの頃、何度も囁いた言葉。触れられるのが怖いエリカさんは、そんな自分に負い目も感じているのはなんとなく気づいていた。だから、俺は囁き続けたんだ。俺は弱かったけど、不器用な旧式で、なにもできなかったけど、それでも大好きな貴女は絶対守る、って。
「それは、今も変わりませんから」
今も特別な何かができるわけじゃない。相変わらず不器用でどんくさくて、まだ学生の俺が何ができるかは分からない。それでも、隣にいることはできるから、一緒の時間を過ごして笑ったり泣いたりすることはできるから。
銃に戻ったあの日みたいに、エリカさんを泣かせることだけはないと誓えるから。
「だから、せめて抱きしめて良いですか?」
眠るエリカさんに聞いたって、返事はないのに、思わず囁いて、その小さな、柔らかい体を抱き寄せる。首筋に顔を埋めて、香りを感じる。今はこれだけでじゅうぶん幸せだ。そんなことを考えながら、気づけば俺も眠っていた。
→
柔らかい頬に触れる。滑らかで、柔らかで、それが幸福の証なんだ、って知ったのはいつだっただろう。これがきっと、エリカさんの本来あるべき姿。
小さく身動ぐ。起こしてしまったかと焦る俺の方を向いて、エリカさんは寝息をたてる。
博物館に行ったときもそうだった。多分、だけど、エリカさんはあの日の記憶を取り戻そうとすると眠ってしまう。それは、あの忌まわしい記憶から自分の心を守る防衛本能なのかもしれない。柔らかい髪を撫でる。あの頃の俺が心から願って、でも怖くて叶えられなかったこと。エリカさんに触れること。それが叶っただけで、こんなに俺は嬉しくて、満たされている。泣けるくらいに嬉しいのに、それ以上のことなんて望めるはずがない。頭のてっぺんにキスして、額にキスして。目が覚めたら、また拒絶されるだろうか。それとも、嬉しそうに笑ってくれるだろうか。
本当は教えたくなんかなかった。あんな過去、知らないほうが幸せだし、第一今のエリカさんには関係ない。荒唐無稽な話だと一蹴して笑ってくれたら良かったのに、なんで強い恐怖は今になってもエリカさんを蝕むんだろう。
「大好きですよ」
あの頃、何度も囁いた言葉。触れられるのが怖いエリカさんは、そんな自分に負い目も感じているのはなんとなく気づいていた。だから、俺は囁き続けたんだ。俺は弱かったけど、不器用な旧式で、なにもできなかったけど、それでも大好きな貴女は絶対守る、って。
「それは、今も変わりませんから」
今も特別な何かができるわけじゃない。相変わらず不器用でどんくさくて、まだ学生の俺が何ができるかは分からない。それでも、隣にいることはできるから、一緒の時間を過ごして笑ったり泣いたりすることはできるから。
銃に戻ったあの日みたいに、エリカさんを泣かせることだけはないと誓えるから。
「だから、せめて抱きしめて良いですか?」
眠るエリカさんに聞いたって、返事はないのに、思わず囁いて、その小さな、柔らかい体を抱き寄せる。首筋に顔を埋めて、香りを感じる。今はこれだけでじゅうぶん幸せだ。そんなことを考えながら、気づけば俺も眠っていた。
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