転生したレジスタンスのメディック
彼らの再会
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下宿の部屋はそんなに広くなくて、机と本棚がそれを更に圧迫している。そんな空間をエリカさんはキョロキョロて見回して首を傾げる。
「全然散らかってないじゃないですか」
「まあ・・・掃除したので・・・」
好きな女の子が部屋に来るんだ。掃除くらい俺だってする。
「適当に座ってください」という俺にしたがってちょこんとクッションに座るエリカさんは可愛い。見た目はあの頃のまま。なのに天真爛漫な性格になったのは、やっぱり「違うエリカさん」なんだ。
そう思うのに・・・。
「ローレンツさん」
もっとくっついて良いですか?
「え、あ、いや、その・・・」
触れるのに躊躇しているのは今度は俺のほう。エリカさんはそんな俺をじっと見て小首を傾げる。
「ダメ、ですか?」
「ダメじゃないんですけど・・・」
「嫌?」
「い、嫌でもないんですけど・・・」
怯えられるのが怖い。嫌われるのが怖い。
「わ、笑わない、ですか・・・?」
躊躇いがちに言う俺を不思議そうに見てエリカさんは続きを促す視線を寄越すから、俺は言葉を探す。
「レオポルトさんのお店にはじめて行ったとき、マルガリータ君がエリカさんに似た人とエリカさんを間違えたことがあったの、覚えてますか?その人、俺も知ってるんです。すごく、すごく昔、お互いに大事に思ってて」
「ローレンツさんの昔の恋人?」
「・・・そう、なります」
今の体を持つ前の、だけど。
「だから、はじめて私と会ったときに泣いていたんですか?」
「・・・そう思ってもらってもかまわないかと・・・」
歯切れの悪い俺に首をかしげてエリカさんは続きを促す。
「その女性は幼い頃に男性から暴行を受けて、男性恐怖症になってしまって」
「でも、ローレンツさんを好きになった?」
こくんと頷く俺にエリカさんは考えこむ。確かにおかしな話だ。男性恐怖症なのに男の俺を好きになるなんて。
「・・・それ、わからないけど、分かる気がします」
「え?」
「だって、ローレンツさんは穏やかで優しくてなんでも知ってて、一緒にいるとすごく安心するから」
「・・・そう、ですか?」
そんなのはきっとエリカさんの勘違いだ。・・・勿論嬉しいけど。
「確かに俺は他のきじゅ・・・男の人よりは強くなかったけど・・・」
ドジで弱くて役立たずで・・・。でも、そんな俺を認めてくれた。それがマスターだったエリカさんだ。
「俺はそんな彼女が怯えるのが怖くて、その・・・スキンシップをとるのが怖くなってしまって・・・」
「それで私とイチャイチャするのが嫌だったんですか?」
「・・・情けない、ですよね・・・。でも、本当に大切な人だったんです」
こんなこと、記憶のないエリカさんに言うのは失礼だ。でも、だからこそ少しの嘘を混ぜながら説明するしかない。
俺の話を聞いて黙り込んだエリカさんはぽつんと「でも、私はその人とは違います」と呟く。
「私は私です。スキンシップは怖くないし、今だってもっともっとくっつきたい。・・・私、そんなにその人に似てますか?」
「・・・ま、まあ・・・」
「本当に?」
そう言ってエリカさんは身を乗り出す。キスができる距離まで近寄って俺をじっと見るから、逆に照れくさくて視線を逸らしたくなる。
「・・・似て、ます」
だって、あなたは・・・。
「・・・それって・・・」
俺の返事にそう呟くエリカさんにどきりとする。あの日、博物館で一瞬取り戻した記憶をまた思い出したのかも知れない。
「・・・それってドッペルゲンガー、っていうのですか!?」
「・・・そう・・・って、ええ!?」
「私、本で読んだことあります!この世には自分にそっくりな存在がいる、って!会ったら死んじゃうって!」
大きな目をまん丸にするエリカさんに拍子抜けして、俺はなんだかおかしくなる。くすくすと笑う俺を不満そうに見るエリカさんに「そういうのとは違うと思いますよ」って言いながら、俺は勇気を出してその頬に掠めるようなキスをした。
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「全然散らかってないじゃないですか」
「まあ・・・掃除したので・・・」
好きな女の子が部屋に来るんだ。掃除くらい俺だってする。
「適当に座ってください」という俺にしたがってちょこんとクッションに座るエリカさんは可愛い。見た目はあの頃のまま。なのに天真爛漫な性格になったのは、やっぱり「違うエリカさん」なんだ。
そう思うのに・・・。
「ローレンツさん」
もっとくっついて良いですか?
「え、あ、いや、その・・・」
触れるのに躊躇しているのは今度は俺のほう。エリカさんはそんな俺をじっと見て小首を傾げる。
「ダメ、ですか?」
「ダメじゃないんですけど・・・」
「嫌?」
「い、嫌でもないんですけど・・・」
怯えられるのが怖い。嫌われるのが怖い。
「わ、笑わない、ですか・・・?」
躊躇いがちに言う俺を不思議そうに見てエリカさんは続きを促す視線を寄越すから、俺は言葉を探す。
「レオポルトさんのお店にはじめて行ったとき、マルガリータ君がエリカさんに似た人とエリカさんを間違えたことがあったの、覚えてますか?その人、俺も知ってるんです。すごく、すごく昔、お互いに大事に思ってて」
「ローレンツさんの昔の恋人?」
「・・・そう、なります」
今の体を持つ前の、だけど。
「だから、はじめて私と会ったときに泣いていたんですか?」
「・・・そう思ってもらってもかまわないかと・・・」
歯切れの悪い俺に首をかしげてエリカさんは続きを促す。
「その女性は幼い頃に男性から暴行を受けて、男性恐怖症になってしまって」
「でも、ローレンツさんを好きになった?」
こくんと頷く俺にエリカさんは考えこむ。確かにおかしな話だ。男性恐怖症なのに男の俺を好きになるなんて。
「・・・それ、わからないけど、分かる気がします」
「え?」
「だって、ローレンツさんは穏やかで優しくてなんでも知ってて、一緒にいるとすごく安心するから」
「・・・そう、ですか?」
そんなのはきっとエリカさんの勘違いだ。・・・勿論嬉しいけど。
「確かに俺は他のきじゅ・・・男の人よりは強くなかったけど・・・」
ドジで弱くて役立たずで・・・。でも、そんな俺を認めてくれた。それがマスターだったエリカさんだ。
「俺はそんな彼女が怯えるのが怖くて、その・・・スキンシップをとるのが怖くなってしまって・・・」
「それで私とイチャイチャするのが嫌だったんですか?」
「・・・情けない、ですよね・・・。でも、本当に大切な人だったんです」
こんなこと、記憶のないエリカさんに言うのは失礼だ。でも、だからこそ少しの嘘を混ぜながら説明するしかない。
俺の話を聞いて黙り込んだエリカさんはぽつんと「でも、私はその人とは違います」と呟く。
「私は私です。スキンシップは怖くないし、今だってもっともっとくっつきたい。・・・私、そんなにその人に似てますか?」
「・・・ま、まあ・・・」
「本当に?」
そう言ってエリカさんは身を乗り出す。キスができる距離まで近寄って俺をじっと見るから、逆に照れくさくて視線を逸らしたくなる。
「・・・似て、ます」
だって、あなたは・・・。
「・・・それって・・・」
俺の返事にそう呟くエリカさんにどきりとする。あの日、博物館で一瞬取り戻した記憶をまた思い出したのかも知れない。
「・・・それってドッペルゲンガー、っていうのですか!?」
「・・・そう・・・って、ええ!?」
「私、本で読んだことあります!この世には自分にそっくりな存在がいる、って!会ったら死んじゃうって!」
大きな目をまん丸にするエリカさんに拍子抜けして、俺はなんだかおかしくなる。くすくすと笑う俺を不満そうに見るエリカさんに「そういうのとは違うと思いますよ」って言いながら、俺は勇気を出してその頬に掠めるようなキスをした。
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