転生したレジスタンスのメディック
彼らの再会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
白い顔を覗きこんで、過去にもこんなことがあったな、とぼんやりと考えた。俺たちが初めて出会ったあの日も、俺はこうやって意識のないエリカさんを眺めていたんだ。
ゆっくりと開いた翡翠色の瞳が俺を写して、不思議そうに俺を見つめる。緊張した面持ちで俺を見てきた少女が、瞬間見せた安心したような笑顔が可愛くて、俺の胸は高鳴った。
もし、目覚めたエリカさんがあの日の記憶を思い出したとして、彼女はまた男の人に怯えるのだろうか。エリカさんの心の枷になるなら、記憶なんて戻らないほうが良い。
そんなことをぼんやり考えていたときだった。
ゆっくりと開く翡翠色の瞳。天井を見つめて、そして、俺を映す。
「・・・ローレンツ、さん・・・」
かすれる声に「大丈夫ですか?」と尋ねたら、エリカさんは起き上がろうとするから、あわててその背中に手を添える。
「私・・・」
「倒れたんですよ。ローレンツライフルを見たあと、急に硬直して」
多分、だけど、恭遠さんの名前を呼んで。
「大丈夫ですか?」と再度尋ねると、エリカさんは俯いて、ぽつりと呟く。
「何かが見えたんです」
「何か?」
「何か、とても大切なもの・・・でも・・・っ」
そう言いながらエリカさんは頭をおさえてうめき声をあげた。
「・・・思い、だせな・・・っ・・・」
身悶えるエリカさんにどうしたら良いか分からなくて、俺はあわあわとその小さな背中に手を添える。
「・・・あ、頭が・・・」
「痛い、ですか?」
こくこくと頷くエリカさんの体を抱きしめて、俺は言い聞かせるように囁く。
「だ、大丈夫です。思い出さなくて」
「・・・でも・・・っ」
「良いんです。エリカさんは今のままで」
何も知らずに笑えるエリカさんで。
「俺は、今のエリカさんが大好きだから」
何も覚えてなくても。マスターとしての力がなくても。それでも、今の、ありのままのエリカさんが大好きだから。
「・・・ローレンツ、さん・・・」
息も絶え絶えなエリカさんは俺を見上げて、そして目を逸らす。
「・・・知ってるんですか?ローレンツさんは、私が知らないなにかを・・・」
「そ、それは・・・多分」
でも、口にすればあまりに非現実的で、俺は回答に迷う。
「・・・でも、知らなくて良いことですから」
「そんな・・・」
「今のエリカさんには必要のないことで・・・そ、それに、頭痛くなってまで思い出す必要はない、って言うか・・・」
うまく言えない俺の言葉に唇を噛んで、エリカさんはシーツを見つめる。博物館の医務室はあの基地の衛生室より格段に綺麗だ。
「記憶がなくても、今のエリカさんがエリカさんであることに変わりはないんです。だから、今のままで良い、って俺は思います」
「・・・ローレンツさん・・・」
少しの沈黙のあと、エリカさんは「はっ」とした顔で俺を見つめる。
「・・・ローレンツさん、さっき、私のこと『大好き』って、言いました?」
「・・・え?」
「今の私が大好き、って・・・それって・・・」
え?
俺とエリカさんは互いに間抜けなほど硬直した表情で、暫く互いに見つめあっていた。
→
ゆっくりと開いた翡翠色の瞳が俺を写して、不思議そうに俺を見つめる。緊張した面持ちで俺を見てきた少女が、瞬間見せた安心したような笑顔が可愛くて、俺の胸は高鳴った。
もし、目覚めたエリカさんがあの日の記憶を思い出したとして、彼女はまた男の人に怯えるのだろうか。エリカさんの心の枷になるなら、記憶なんて戻らないほうが良い。
そんなことをぼんやり考えていたときだった。
ゆっくりと開く翡翠色の瞳。天井を見つめて、そして、俺を映す。
「・・・ローレンツ、さん・・・」
かすれる声に「大丈夫ですか?」と尋ねたら、エリカさんは起き上がろうとするから、あわててその背中に手を添える。
「私・・・」
「倒れたんですよ。ローレンツライフルを見たあと、急に硬直して」
多分、だけど、恭遠さんの名前を呼んで。
「大丈夫ですか?」と再度尋ねると、エリカさんは俯いて、ぽつりと呟く。
「何かが見えたんです」
「何か?」
「何か、とても大切なもの・・・でも・・・っ」
そう言いながらエリカさんは頭をおさえてうめき声をあげた。
「・・・思い、だせな・・・っ・・・」
身悶えるエリカさんにどうしたら良いか分からなくて、俺はあわあわとその小さな背中に手を添える。
「・・・あ、頭が・・・」
「痛い、ですか?」
こくこくと頷くエリカさんの体を抱きしめて、俺は言い聞かせるように囁く。
「だ、大丈夫です。思い出さなくて」
「・・・でも・・・っ」
「良いんです。エリカさんは今のままで」
何も知らずに笑えるエリカさんで。
「俺は、今のエリカさんが大好きだから」
何も覚えてなくても。マスターとしての力がなくても。それでも、今の、ありのままのエリカさんが大好きだから。
「・・・ローレンツ、さん・・・」
息も絶え絶えなエリカさんは俺を見上げて、そして目を逸らす。
「・・・知ってるんですか?ローレンツさんは、私が知らないなにかを・・・」
「そ、それは・・・多分」
でも、口にすればあまりに非現実的で、俺は回答に迷う。
「・・・でも、知らなくて良いことですから」
「そんな・・・」
「今のエリカさんには必要のないことで・・・そ、それに、頭痛くなってまで思い出す必要はない、って言うか・・・」
うまく言えない俺の言葉に唇を噛んで、エリカさんはシーツを見つめる。博物館の医務室はあの基地の衛生室より格段に綺麗だ。
「記憶がなくても、今のエリカさんがエリカさんであることに変わりはないんです。だから、今のままで良い、って俺は思います」
「・・・ローレンツさん・・・」
少しの沈黙のあと、エリカさんは「はっ」とした顔で俺を見つめる。
「・・・ローレンツさん、さっき、私のこと『大好き』って、言いました?」
「・・・え?」
「今の私が大好き、って・・・それって・・・」
え?
俺とエリカさんは互いに間抜けなほど硬直した表情で、暫く互いに見つめあっていた。
→