彼らの出会い
レジスタンスのメディック
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お姫様は王子様と末永く幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。
繰り返し聞いた物語の結末はいつだってこれ。いつか私も幸せになれると信じてた。
廊下からひょこりと中を覗く。ローレンツさんたちのお部屋。キョロキョロと見渡せば、探していた金色の髪。
「ローレンツさん」
「・・・マ、マスターさん?どうしたんですか?」
「食堂に姿が見えないから、ってタバティエールさんが」
「・・・あ」
「お昼ご飯、食べ損ねちゃいますよ?」
私の言葉にローレンツさんは「そうですね」と立ち上がる。その時に聞こえてきたお腹の音にローレンツさんは「はわわ!」と真っ赤になった。
「ほ、本に夢中になってて、お腹空いてるの忘れてました・・・」
真っ赤な顔で笑うローレンツさんの手元には、一冊の本。
「ローレンツさんは本がお好きなんですね!すごいです!」
「え?」
「だって、私は本が読めないから」
簡単な文字しか読めない無学な私。本当に、こんな自分が「マスター」なんて呼ばれて良いのか、時々分からなくなる。
「私、本当に学がなくて。なんにも取り柄も無いんです。あ、でも、お裁縫と、野菜の皮剥きならお屋敷で沢山やったから得意ですけど!」
って、こんなこと、なんの自慢にもなりはしない。エカチェリーナ様にお洋服の作り方を教えたら、それは喜んでくださったけど、レジスタンスの活動にはなんの役にもたたない。
しゅんとうなだれた私は、ある物語を思い出した。
「でも!子供のころ、お母さんが話してくれたおとぎ話が大好きだったんです!」
お姫様が王子様と結ばれて、幸せになる話。
「特にシンデレラが大好きで・・・」
お屋敷に行く前の晩にも聞かせてくれた。「いつか、きっと幸せになれるから。シンデレラみたいに、毎日一生懸命生きて、希望を捨てずにいれば、きっと運命の王子様が現れるから」そう言って悲しそうに笑っていたお母さんを思い出した。
「・・・本が読めたら、素敵な物語に沢山出会えるのかな・・・」
シンデレラは大好きだけど、お母さんを思い出す。私がもっと楽しい物語を知れば、こんな悲しい思い出ばかりを思い出すこともないのだろうか。
そう考える私に、ローレンツさんが「あ、あの!」と声をかけた。
「お、俺で良かったら、その、お、教えましょうか!?」
「え?」
「その、文字の読み方・・・って、うまく教えられるか分からないんですけど・・・」
困ったように笑うローレンツさんに私は目を丸くして、そして、大きく頷いた。
→
繰り返し聞いた物語の結末はいつだってこれ。いつか私も幸せになれると信じてた。
廊下からひょこりと中を覗く。ローレンツさんたちのお部屋。キョロキョロと見渡せば、探していた金色の髪。
「ローレンツさん」
「・・・マ、マスターさん?どうしたんですか?」
「食堂に姿が見えないから、ってタバティエールさんが」
「・・・あ」
「お昼ご飯、食べ損ねちゃいますよ?」
私の言葉にローレンツさんは「そうですね」と立ち上がる。その時に聞こえてきたお腹の音にローレンツさんは「はわわ!」と真っ赤になった。
「ほ、本に夢中になってて、お腹空いてるの忘れてました・・・」
真っ赤な顔で笑うローレンツさんの手元には、一冊の本。
「ローレンツさんは本がお好きなんですね!すごいです!」
「え?」
「だって、私は本が読めないから」
簡単な文字しか読めない無学な私。本当に、こんな自分が「マスター」なんて呼ばれて良いのか、時々分からなくなる。
「私、本当に学がなくて。なんにも取り柄も無いんです。あ、でも、お裁縫と、野菜の皮剥きならお屋敷で沢山やったから得意ですけど!」
って、こんなこと、なんの自慢にもなりはしない。エカチェリーナ様にお洋服の作り方を教えたら、それは喜んでくださったけど、レジスタンスの活動にはなんの役にもたたない。
しゅんとうなだれた私は、ある物語を思い出した。
「でも!子供のころ、お母さんが話してくれたおとぎ話が大好きだったんです!」
お姫様が王子様と結ばれて、幸せになる話。
「特にシンデレラが大好きで・・・」
お屋敷に行く前の晩にも聞かせてくれた。「いつか、きっと幸せになれるから。シンデレラみたいに、毎日一生懸命生きて、希望を捨てずにいれば、きっと運命の王子様が現れるから」そう言って悲しそうに笑っていたお母さんを思い出した。
「・・・本が読めたら、素敵な物語に沢山出会えるのかな・・・」
シンデレラは大好きだけど、お母さんを思い出す。私がもっと楽しい物語を知れば、こんな悲しい思い出ばかりを思い出すこともないのだろうか。
そう考える私に、ローレンツさんが「あ、あの!」と声をかけた。
「お、俺で良かったら、その、お、教えましょうか!?」
「え?」
「その、文字の読み方・・・って、うまく教えられるか分からないんですけど・・・」
困ったように笑うローレンツさんに私は目を丸くして、そして、大きく頷いた。
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