彼らの出会い
レジスタンスのメディック
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私はお屋敷に奉公に出た。10歳のときだ。街は貧乏で、私の家族も配給だけじゃ食べていけなかったから。私よりもっと小さな弟たちや、生まれたばかりの妹にお腹いっぱいご飯を食べさせるには、そうするのが良いと思った。お屋敷に行けば、ご飯も食べさせてもらえる。そう言ってきた、使用人のおじさんは優しかった。
私が仕えたお屋敷には、女の子がたくさんいた。皆、近隣の貧しい街から奉公に来ていて、とても可愛かった。仲の良い子もいたけど、一人、また一人と違うお屋敷に移った。
彼女達が「売られた」んだ、ってことは、お姉さんたちの話を立ち聞きして知った。お屋敷のパーティーに来るゲスト。彼らは気に入ったメイドをお屋敷から買っていた。私も誰かに売るつもりで旦那様は召し抱えたんだろうけど、ついに買い手がつかないまま、旦那様は人身売買の罪で世界帝軍に捕まった。お屋敷も、旦那様の財産も没収されて、私は故郷に帰された。帰されたところで、故郷は世界帝軍の爆撃を受け、無惨なことになっていた。家族の行方は分からない。でも、あまり期待できないことはわかっている。だから、私は一人で、なにもない故郷で、泣き続けていた。そんな私が今生きているのは、レジスタンスの人に救われたから、そして、貴銃士をけんげんできるという力を持っていたから。理由なんて分からない。私なんかに分かるはずもない。ただ、ここが私の唯一の居場所だから、精一杯レジスタンスの皆さんのお役にたちたいと思う。
それにしても。
「やっぱり貧弱だよなぁ」
小さくため息をついた。私がお屋敷のゲストに買われなかった理由。
小さな体。食べ物に恵まれなかったせいか、身長も体つきもまるで子供みたいで、顔も童顔。「女」としての魅力が無さすぎて、私は買い手がつかなかった。それが良いことなのか、悪いことなのかは私には判断できない。ただ、私の年齢を聞いたローレンツさんの狼狽ぶりが、なんだか心にちくっときた。大人っぽくなりたい、なんて、今まで考えたこともないのに。・・・もう、売られる心配もないからかな・・・。
「・・・はぁ・・・」
小さなため息。骨ばった手。力仕事もさせられていたから、余計ゴツゴツとしている。貧相な胸。今までなら気になんかならなかったけど、レジスタンスの女の人と比べて貧相すぎて悲しくなる。小さな身長はニコラ様とノエル様に「ぼくらより小さい」と言われてしまうし、散々だ。
「・・・もっと大人っぽくなりたいなぁ」
そうすれば、自分に自信がつくのだろうか。私がまたため息をついた、その時だった。
「どうしたんですか?ため息などついて」
柔らかい声に振り返る。穏やかに微笑むケインさんが私の返事を待っていた。
「・・・ちょっと、嫌なことを思い出してしまって・・・」
曖昧に返事をすれば、ケインさんは少し考えて、そして、微笑む。
「それならば、気晴らしにマジックを披露いたしましょう」
「マジック?」
「はい。今からこの杖に魔法をかけます」
ワン
ツー
スリー
「・・・おや?」
「また失敗してしまいました」と苦笑いのケインさんに、つられて私も笑ってしまう。
「けれども、エリカさんが笑ってくださったということは、エリカさんの気持ちを晴らす手助けにはなったのでしょうか」
そう言って、ケインさんは穏やかに笑う。
「あなたが笑ってくださることが、私の喜びです」
そう言ってくれるケインさんが優しくて、私は少しだけ元気になった。
→
私が仕えたお屋敷には、女の子がたくさんいた。皆、近隣の貧しい街から奉公に来ていて、とても可愛かった。仲の良い子もいたけど、一人、また一人と違うお屋敷に移った。
彼女達が「売られた」んだ、ってことは、お姉さんたちの話を立ち聞きして知った。お屋敷のパーティーに来るゲスト。彼らは気に入ったメイドをお屋敷から買っていた。私も誰かに売るつもりで旦那様は召し抱えたんだろうけど、ついに買い手がつかないまま、旦那様は人身売買の罪で世界帝軍に捕まった。お屋敷も、旦那様の財産も没収されて、私は故郷に帰された。帰されたところで、故郷は世界帝軍の爆撃を受け、無惨なことになっていた。家族の行方は分からない。でも、あまり期待できないことはわかっている。だから、私は一人で、なにもない故郷で、泣き続けていた。そんな私が今生きているのは、レジスタンスの人に救われたから、そして、貴銃士をけんげんできるという力を持っていたから。理由なんて分からない。私なんかに分かるはずもない。ただ、ここが私の唯一の居場所だから、精一杯レジスタンスの皆さんのお役にたちたいと思う。
それにしても。
「やっぱり貧弱だよなぁ」
小さくため息をついた。私がお屋敷のゲストに買われなかった理由。
小さな体。食べ物に恵まれなかったせいか、身長も体つきもまるで子供みたいで、顔も童顔。「女」としての魅力が無さすぎて、私は買い手がつかなかった。それが良いことなのか、悪いことなのかは私には判断できない。ただ、私の年齢を聞いたローレンツさんの狼狽ぶりが、なんだか心にちくっときた。大人っぽくなりたい、なんて、今まで考えたこともないのに。・・・もう、売られる心配もないからかな・・・。
「・・・はぁ・・・」
小さなため息。骨ばった手。力仕事もさせられていたから、余計ゴツゴツとしている。貧相な胸。今までなら気になんかならなかったけど、レジスタンスの女の人と比べて貧相すぎて悲しくなる。小さな身長はニコラ様とノエル様に「ぼくらより小さい」と言われてしまうし、散々だ。
「・・・もっと大人っぽくなりたいなぁ」
そうすれば、自分に自信がつくのだろうか。私がまたため息をついた、その時だった。
「どうしたんですか?ため息などついて」
柔らかい声に振り返る。穏やかに微笑むケインさんが私の返事を待っていた。
「・・・ちょっと、嫌なことを思い出してしまって・・・」
曖昧に返事をすれば、ケインさんは少し考えて、そして、微笑む。
「それならば、気晴らしにマジックを披露いたしましょう」
「マジック?」
「はい。今からこの杖に魔法をかけます」
ワン
ツー
スリー
「・・・おや?」
「また失敗してしまいました」と苦笑いのケインさんに、つられて私も笑ってしまう。
「けれども、エリカさんが笑ってくださったということは、エリカさんの気持ちを晴らす手助けにはなったのでしょうか」
そう言って、ケインさんは穏やかに笑う。
「あなたが笑ってくださることが、私の喜びです」
そう言ってくれるケインさんが優しくて、私は少しだけ元気になった。
→