彼らの出会い
レジスタンスのメディック
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夕暮れ。他に誰もいない空間にローレンツさんと二人。沢山の机。壁には黒板。これは、そう、学校。
「あとは日誌を書いたら終わりですね」
そう言って開いたノートに書かれた、綺麗な字。
「今日起こったことは・・・」
「ローレンツさん、居眠りしてましたよね」
「ええっ、み、見てたんですかぁ!?」
慌てた顔のローレンツさんは真っ赤になって、その姿に私はくすりと笑う。
「先生にバレないかヒヤヒヤしました」
「お、起こしてくださいよぉ」
唇を尖らせる姿も愛しくて、私はドキドキしてしまう。
起こすわけないじゃない。だって、こんなに大好きなんだから。
「ずっとずっと見ていたくて」
「・・・そ、それはそれで恥ずかしいです・・・」
ゴニョゴニョと呟くローレンツさんに笑って、私は考える。今日あったこと・・・。
「掃除の時間にモップが壊れましたね」
「ああ、ユキムラさんとイエヤスさんが決闘?して」
「ドライゼさんがすぐ直してくれて、すごかったですね」
「そうですね。俺も見習わないと・・・」
「あ、バケツの水、こぼしてましたけど、大丈夫でしたか?」
「シャスポーさんに怒られちゃいました」
うなだれるローレンツさんが愛しい。ううん、いつだって、どんなときだって、私はこの人が大好きだ。
「カール君が難しい問題をスラスラ答えたときは流石だなぁ、って感心しました」
「数学の時間ですよね、すごかったです!」
埋まっていくノート。これが埋まったらローレンツさんと二人の時間は終わってしまう。
また会えなくなってしまう・・・。
「・・・待って」
「エリカさん?」
首を傾げるローレンツさんに慌てて「な、なんでもないんです」と首を横に振る。でも、心のなかで繰り返す。
待って、待って、まだ醒めないで・・・。
「大丈夫ですよ。また会いに来ますから」
「え?」
「毎回は無理そうですけど、必ず・・・」
「ローレンツさん?」
「だから、待ってて・・・」
ローレンツさんの姿が遠くなる。意識が浮上する。
「ん・・・んぅ・・・」
目が醒めた。朝の日差し、鳥の声。あれは、夢・・・。
「なんで・・・」
ぼんやり呟いて、そして思い出す。昨日の手紙。士官学校の話。そこで学ぶ新しい貴銃士の皆さん。
・・・違うローレンツさん・・・。
『あのときの貴銃士たちと、似ているようで違っていて、皆個性豊かで面白い』
きっと、恭遠さんがくれた手紙のせいだ。
学校には行ってない。行くはずだったけど、家の手伝いをしていたから、そして、お屋敷に売られたから。だから、人から聞いた記憶を頼りに作られた夢のなかの「学校」で、私は多分ローレンツさんと日誌を書いていた。
「・・・あんなこと、やってみたかったなぁ・・・」
思わず呟いて、ため息をつく。起き上がって、私の宝物の置かれた場所に向かう。沢山の古銃。そのうちの一挺に触れて、そっと囁いた。
「ローレンツさん、夢のなかに出てきてくれてありがとうございます」
もう聞こえないかも知れないけど。
「私、すっごく幸せです」
でも・・・。
会いたい・・・。
夢に見ると余計に思ってしまう、その一言は口には出さず、私はその銃身にそっとキスを落とした。
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「あとは日誌を書いたら終わりですね」
そう言って開いたノートに書かれた、綺麗な字。
「今日起こったことは・・・」
「ローレンツさん、居眠りしてましたよね」
「ええっ、み、見てたんですかぁ!?」
慌てた顔のローレンツさんは真っ赤になって、その姿に私はくすりと笑う。
「先生にバレないかヒヤヒヤしました」
「お、起こしてくださいよぉ」
唇を尖らせる姿も愛しくて、私はドキドキしてしまう。
起こすわけないじゃない。だって、こんなに大好きなんだから。
「ずっとずっと見ていたくて」
「・・・そ、それはそれで恥ずかしいです・・・」
ゴニョゴニョと呟くローレンツさんに笑って、私は考える。今日あったこと・・・。
「掃除の時間にモップが壊れましたね」
「ああ、ユキムラさんとイエヤスさんが決闘?して」
「ドライゼさんがすぐ直してくれて、すごかったですね」
「そうですね。俺も見習わないと・・・」
「あ、バケツの水、こぼしてましたけど、大丈夫でしたか?」
「シャスポーさんに怒られちゃいました」
うなだれるローレンツさんが愛しい。ううん、いつだって、どんなときだって、私はこの人が大好きだ。
「カール君が難しい問題をスラスラ答えたときは流石だなぁ、って感心しました」
「数学の時間ですよね、すごかったです!」
埋まっていくノート。これが埋まったらローレンツさんと二人の時間は終わってしまう。
また会えなくなってしまう・・・。
「・・・待って」
「エリカさん?」
首を傾げるローレンツさんに慌てて「な、なんでもないんです」と首を横に振る。でも、心のなかで繰り返す。
待って、待って、まだ醒めないで・・・。
「大丈夫ですよ。また会いに来ますから」
「え?」
「毎回は無理そうですけど、必ず・・・」
「ローレンツさん?」
「だから、待ってて・・・」
ローレンツさんの姿が遠くなる。意識が浮上する。
「ん・・・んぅ・・・」
目が醒めた。朝の日差し、鳥の声。あれは、夢・・・。
「なんで・・・」
ぼんやり呟いて、そして思い出す。昨日の手紙。士官学校の話。そこで学ぶ新しい貴銃士の皆さん。
・・・違うローレンツさん・・・。
『あのときの貴銃士たちと、似ているようで違っていて、皆個性豊かで面白い』
きっと、恭遠さんがくれた手紙のせいだ。
学校には行ってない。行くはずだったけど、家の手伝いをしていたから、そして、お屋敷に売られたから。だから、人から聞いた記憶を頼りに作られた夢のなかの「学校」で、私は多分ローレンツさんと日誌を書いていた。
「・・・あんなこと、やってみたかったなぁ・・・」
思わず呟いて、ため息をつく。起き上がって、私の宝物の置かれた場所に向かう。沢山の古銃。そのうちの一挺に触れて、そっと囁いた。
「ローレンツさん、夢のなかに出てきてくれてありがとうございます」
もう聞こえないかも知れないけど。
「私、すっごく幸せです」
でも・・・。
会いたい・・・。
夢に見ると余計に思ってしまう、その一言は口には出さず、私はその銃身にそっとキスを落とした。
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