彼らの出会い
レジスタンスのメディック
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それが正しいことだったことはわかっている。今の世界が正解で、これがあるべき世界だ、って。
私は自分の手を眺めて、目を閉じた。
もう、顕れることはない薔薇の傷。これで良いんだ、って頭ではわかっていても、胸はぎゅっと苦しくなる。
戦いは終わった。
人々は自由と尊厳を取り戻し、いろんなものがキラキラ輝いている。
みんな、あるべき姿に戻った。それは、人だけじゃない。
ケースに入った古銃たちはもう人の姿になることはない。
私は頭の中に浮かぶ姿を思い出して、唇を噛んだ。私が唯一愛した、大事な人。優しくて、努力家で、でもちょっと不器用で・・・。あの人だから、私は恋をする幸せを知れたのに。
「・・・ローレンツさん・・・」
思い出す度に胸が締め付けられる。
でも、忘れたくもない人。
もっと一緒にいられると信じた、あの頃の私はなんて浅はかだったんだろう。もっと勇気を出して彼に触れていれば良かった。数えられるだけのハグとキス。体のつながりは一度もないままに、彼はもとの姿に戻ってしまった。
「・・・ローレンツさん・・・」
繰り返し呟いて、その姿を思い浮かべる。眠る前にするおまじない。夢のなかだけで良い。もう一度ローレンツさんに会えますように・・・。
「・・・さん・・・」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「・・・さん・・・」
この声は・・・。
「エリカさん・・・」
「ローレンツさん・・・」
ああ、やっと願いが届いた。これはきっと夢のなかだ。
「お久しぶりです!エリカさん・・・」
ローレンツさんは優しく笑ってくれる。
「俺、ずっと会いたかったんです!」
「わ、私だって!」
会いたくて、会いたくて。毎晩願ってようやく見れた、大好きなローレンツさんの姿。
「ずっとずっと・・・会いたくて・・・」
思わずあふれる涙をローレンツさんがあわてて拭いてくれる。
「ダメですよ?泣いたら。俺、エリカさんの笑顔が大好きなんです!」
「・・・でも・・・」
「知ってましたか?俺、エリカさんの笑顔に一目惚れしたんですよ?」
「え?」
「俺が自己紹介したとき、エリカさん、笑ってくれたでしょう?その笑顔が可愛いくて、俺、ドキドキしたんです」
「えへへ」と笑うローレンツさんに顔が熱くなる。なんて幸せな夢なんだろう。
「俺、ずっとずっとエリカさんが大好きで、だから、もう一度だけ会いたい、って強く願って、ようやく会えたんです。だから、笑顔を見せてくださいね」
そう言われて笑顔を作りたかったけど、うまく笑えない私にローレンツさんは困った顔をする。
「俺、また必ず会いに来ますから!絶対、会いに来ますから。だから、少しだけ待ってて、くれませんか?俺、不器用だし、ドジだし、どれくらい時間がかかるかわからないけど・・・でも、絶対エリカさんを探しだしますから・・・!」
「探す?」
ローレンツさんの本体は私の家にある。恭遠さんがくれた、私の大切な宝物。
「・・・えっと、うまく言えないんですけど、また会いに来ますから。だから、少しだけ待っててくださいね」
ローレンツさんの言葉の意味はよく分からなかったけど、ローレンツさんを困らせたくなくて、私はこくんと頷く。そんな私の頬に触れた、大きな手。私を優しく上を向かせて、ローレンツさんは小さく囁く。
「・・・キス、しても良いですか?」
こくんと頷く私にキスをしたローレンツさんの唇が柔らかくて、私は涙を流した。
目を開ける。幸せな夢は終わってしまった。まだ明るくなりきらない時間だけど、私はベッドから起き上がる。お水を飲めば、少しは落ち着くかしら。締め付けられるように痛む胸と裏腹に私はどこか満たされていて、他人事のようにそんなことを思った。
ベッドから立ち上がった私は気づかなかった。ベッドから少し離れたところに、古銃が一挺、収納されているはずのケースから飛び出ているのを。
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私は自分の手を眺めて、目を閉じた。
もう、顕れることはない薔薇の傷。これで良いんだ、って頭ではわかっていても、胸はぎゅっと苦しくなる。
戦いは終わった。
人々は自由と尊厳を取り戻し、いろんなものがキラキラ輝いている。
みんな、あるべき姿に戻った。それは、人だけじゃない。
ケースに入った古銃たちはもう人の姿になることはない。
私は頭の中に浮かぶ姿を思い出して、唇を噛んだ。私が唯一愛した、大事な人。優しくて、努力家で、でもちょっと不器用で・・・。あの人だから、私は恋をする幸せを知れたのに。
「・・・ローレンツさん・・・」
思い出す度に胸が締め付けられる。
でも、忘れたくもない人。
もっと一緒にいられると信じた、あの頃の私はなんて浅はかだったんだろう。もっと勇気を出して彼に触れていれば良かった。数えられるだけのハグとキス。体のつながりは一度もないままに、彼はもとの姿に戻ってしまった。
「・・・ローレンツさん・・・」
繰り返し呟いて、その姿を思い浮かべる。眠る前にするおまじない。夢のなかだけで良い。もう一度ローレンツさんに会えますように・・・。
「・・・さん・・・」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「・・・さん・・・」
この声は・・・。
「エリカさん・・・」
「ローレンツさん・・・」
ああ、やっと願いが届いた。これはきっと夢のなかだ。
「お久しぶりです!エリカさん・・・」
ローレンツさんは優しく笑ってくれる。
「俺、ずっと会いたかったんです!」
「わ、私だって!」
会いたくて、会いたくて。毎晩願ってようやく見れた、大好きなローレンツさんの姿。
「ずっとずっと・・・会いたくて・・・」
思わずあふれる涙をローレンツさんがあわてて拭いてくれる。
「ダメですよ?泣いたら。俺、エリカさんの笑顔が大好きなんです!」
「・・・でも・・・」
「知ってましたか?俺、エリカさんの笑顔に一目惚れしたんですよ?」
「え?」
「俺が自己紹介したとき、エリカさん、笑ってくれたでしょう?その笑顔が可愛いくて、俺、ドキドキしたんです」
「えへへ」と笑うローレンツさんに顔が熱くなる。なんて幸せな夢なんだろう。
「俺、ずっとずっとエリカさんが大好きで、だから、もう一度だけ会いたい、って強く願って、ようやく会えたんです。だから、笑顔を見せてくださいね」
そう言われて笑顔を作りたかったけど、うまく笑えない私にローレンツさんは困った顔をする。
「俺、また必ず会いに来ますから!絶対、会いに来ますから。だから、少しだけ待ってて、くれませんか?俺、不器用だし、ドジだし、どれくらい時間がかかるかわからないけど・・・でも、絶対エリカさんを探しだしますから・・・!」
「探す?」
ローレンツさんの本体は私の家にある。恭遠さんがくれた、私の大切な宝物。
「・・・えっと、うまく言えないんですけど、また会いに来ますから。だから、少しだけ待っててくださいね」
ローレンツさんの言葉の意味はよく分からなかったけど、ローレンツさんを困らせたくなくて、私はこくんと頷く。そんな私の頬に触れた、大きな手。私を優しく上を向かせて、ローレンツさんは小さく囁く。
「・・・キス、しても良いですか?」
こくんと頷く私にキスをしたローレンツさんの唇が柔らかくて、私は涙を流した。
目を開ける。幸せな夢は終わってしまった。まだ明るくなりきらない時間だけど、私はベッドから起き上がる。お水を飲めば、少しは落ち着くかしら。締め付けられるように痛む胸と裏腹に私はどこか満たされていて、他人事のようにそんなことを思った。
ベッドから立ち上がった私は気づかなかった。ベッドから少し離れたところに、古銃が一挺、収納されているはずのケースから飛び出ているのを。
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