彼らの出会い
レジスタンスのメディック
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ぼんやりしていた。昨日の夜、あんまり眠れなくて、マルガリータさんの言葉が頭から離れなくて。
「好きな人とはハグとかしたくなるじゃん?」
多分、それが普通なんだと思う。可愛い猫を見たら抱っこしたくなるみたいに、大好きな人の側にいたら触れたいと思う、はずなんだ。
だって、確かに、あのとき繋いだ手が離れるのはちょっとだけ寂しかった。すごくドキドキしたけど、手が離れた瞬間になんだか悲しくて、でも、その意味なんて考えなかった。
これが「好き」ってこと?だったら、ローレンツさんにハグされても私はちっとも怖くないのかしら?
そう言えば、「お客様」は私にキスはしなかった。私の体を舐めてきたから気持ち悪くて「嫌だ」って言ったらぶたれた。だから、キスだって気持ち悪いんだって思ってた。ハグだって、されたわけじゃない。ただ、体をなぞる指が気持ち悪くて、嫌なところを執拗に触れる手が怖くて、だから、男の人が怖かった。男の人は怖くて痛いことをするんだ、って思った。でも、もしそれが私がお客様を好きじゃなかったから、だったら?ローレンツさんにだったら、されても嫌な気持ちにはならないのかな?
ローレンツさんを見上げる。私を心配してくれる優しい人。私を守る、って、嫌なことはしない、って約束してくれた人。
「エリカ、さん?」
私を覗きこむ瞳を見つめて、私は小さく深呼吸した。狭い穴の中。ちょっと手を伸ばしたら、すぐにローレンツさんに触れられる。
「大丈夫、ですか?」
「・・・ローレンツさん・・・」
好きな人とはハグしたくなる、って本当ですか?
「え?」
「私、昨日マルガリータさんに言われて、ずっと考えてたんです。そしたら、穴に落ちちゃって・・・ローレンツさんは私をハグしたい、ですか?」
「そ、それは・・・まあ・・・」
困ったようなローレンツさんが少し考えて、「・・・そりゃあ、したいですよ?」と呟く。
「でも、エリカさんに嫌われる方が嫌ですから」
「・・・ローレンツさん・・・」
ひょっとして、私、すごくひどいことしてたのかな?ローレンツさんはずっと我慢してくれた?
「・・・ローレンツさん、私・・・」
ローレンツさんになら、ハグしてもらいたいです!
勇気を振り絞って言うはずだった言葉は、頭上から聞こえた声のせいで飲み込んでしまった。私たちを見つけてくれた恭遠さんの声。びっくりして見上げる私たちをやっぱりびっくりした顔で見て、「今、梯子を持ってくる」と立ち上がる。
「・・・あの、ローレンツさん・・・」
「俺は平気ですよ」
「え?」
「俺はただ、エリカさんが笑ってくれたら、それで」
そう言って笑ってくれたローレンツさんの笑顔がなんだか悲しくて、私はついに本当に言葉を飲み込んでしまった。
→
「好きな人とはハグとかしたくなるじゃん?」
多分、それが普通なんだと思う。可愛い猫を見たら抱っこしたくなるみたいに、大好きな人の側にいたら触れたいと思う、はずなんだ。
だって、確かに、あのとき繋いだ手が離れるのはちょっとだけ寂しかった。すごくドキドキしたけど、手が離れた瞬間になんだか悲しくて、でも、その意味なんて考えなかった。
これが「好き」ってこと?だったら、ローレンツさんにハグされても私はちっとも怖くないのかしら?
そう言えば、「お客様」は私にキスはしなかった。私の体を舐めてきたから気持ち悪くて「嫌だ」って言ったらぶたれた。だから、キスだって気持ち悪いんだって思ってた。ハグだって、されたわけじゃない。ただ、体をなぞる指が気持ち悪くて、嫌なところを執拗に触れる手が怖くて、だから、男の人が怖かった。男の人は怖くて痛いことをするんだ、って思った。でも、もしそれが私がお客様を好きじゃなかったから、だったら?ローレンツさんにだったら、されても嫌な気持ちにはならないのかな?
ローレンツさんを見上げる。私を心配してくれる優しい人。私を守る、って、嫌なことはしない、って約束してくれた人。
「エリカ、さん?」
私を覗きこむ瞳を見つめて、私は小さく深呼吸した。狭い穴の中。ちょっと手を伸ばしたら、すぐにローレンツさんに触れられる。
「大丈夫、ですか?」
「・・・ローレンツさん・・・」
好きな人とはハグしたくなる、って本当ですか?
「え?」
「私、昨日マルガリータさんに言われて、ずっと考えてたんです。そしたら、穴に落ちちゃって・・・ローレンツさんは私をハグしたい、ですか?」
「そ、それは・・・まあ・・・」
困ったようなローレンツさんが少し考えて、「・・・そりゃあ、したいですよ?」と呟く。
「でも、エリカさんに嫌われる方が嫌ですから」
「・・・ローレンツさん・・・」
ひょっとして、私、すごくひどいことしてたのかな?ローレンツさんはずっと我慢してくれた?
「・・・ローレンツさん、私・・・」
ローレンツさんになら、ハグしてもらいたいです!
勇気を振り絞って言うはずだった言葉は、頭上から聞こえた声のせいで飲み込んでしまった。私たちを見つけてくれた恭遠さんの声。びっくりして見上げる私たちをやっぱりびっくりした顔で見て、「今、梯子を持ってくる」と立ち上がる。
「・・・あの、ローレンツさん・・・」
「俺は平気ですよ」
「え?」
「俺はただ、エリカさんが笑ってくれたら、それで」
そう言って笑ってくれたローレンツさんの笑顔がなんだか悲しくて、私はついに本当に言葉を飲み込んでしまった。
→