彼らの出会い
レジスタンスのメディック
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ローレンツさんに初めて会ったとき、私は「怖い」と思わなかった。倒れた私を助けてくれた人。少しだけ困ったような顔がローレンツさんの優しさを物語っていた。
なのに、なんで今の私はこんなにローレンツさんに緊張しているんだろう。お互いの気持ちを知ってからの方が、私はローレンツさんに怯えている。
「恋人」と「友達」の差ってなんだろう。そんなことを考えるたびに、私はその先にあるだろう結論に怯えてしまう。
でも、だからってローレンツさんに甘えちゃダメなんだ。
って思ったのは、食堂で見かけた光景が頭から離れないから。ローレンツさんの向かいに座る女の人。ローレンツさんに話しかける女の人の顔が幸せそうで、私はハッとする。
あの人もきっと、ローレンツさんが好きなんだ。
ローレンツさんを疑いたくはないけど、触れることを許さない私がローレンツさんの心変わりを怒る資格は多分ない。
小さくため息を吐いて、視界に映る背中を見つめる。私より大きな背中。優しい笑顔。ローレンツさんは自分のことをあんまり良く言わないけど、私からしたらとても魅力的だ。
もし、市場の女の人がローレンツさんを好きになったら・・・。私は一瞬そんなことを考えて、頭を振る。
「エリカさん?」
私に気づいて首を傾げるローレンツさんに曖昧に笑って、私は下を向いた。
『ちょっとお使いを頼まれてくれないか?シャスポーの世話で忙しいんだわ』
そう言ってきたタバティエールさんは片目をつぶって私に囁いた。
『荷物持ちにローレンツをつけるから、デートだと思って行ってきな』
「デート」の響きに恥ずかしさを感じてたけど、ひょっとしたらタバティエールさんは私があの女の人にやきもちを妬いてることをお見通しだったのかな、って思うとさらに恥ずかしくなる。
「あの、エリカさん?」
私を覗きこむローレンツさんに私の心臓が跳ねる。裏返った声の変な返事にローレンツさんは首を傾げると、「疲れましたか?」と聞いてきた。
「もしそうなら、どこかで休憩でも・・・」
そう言ってくれるローレンツさんの手には頼まれてた砂糖と小麦粉。手ぶらの私なんかより、ローレンツさんの方が絶対疲れてるはずなのに。
「だ、大丈夫です!」
そう言って、バレないように小さく息を吸った。今から口に出す言葉をどう言ったら良いかわからなくて、目が泳ぐ。
「あ、あの・・・」
手を、繋いでくれますか!?
「え?」
あ、やっぱり変、だよね。自分で触るなって言っておいて、こんなこと言うなんて。でも、なんとなく怖かった。ローレンツさんが誰かにとられるのは、多分、体に触れられるより嫌だ。
私は手を差し出したまま、ぎゅっと目を瞑った。ローレンツさんの視線に耐えられなくて、心臓がうるさい。
「良い、んですか?」
恐る恐る、といったふうに聞いてきたローレンツさんが私の手を包む。大きな手は優しくて、私はそっと目を開いた。
「エリカさん?」
私を覗きこむローレンツさんが不安そうで、私はもう一度小さく深呼吸した。
「・・・ドキドキします」
でも、多分、このドキドキは嫌なドキドキじゃない。私はローレンツさんを見上げた。
「ローレンツさんの手、大きくて、温かくて、優しくて、ドキドキします」
そう言って笑顔を作った私に少しほっとした顔をして、ローレンツさんは少しだけぎゅっと手を握りなおしてくれた。
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なのに、なんで今の私はこんなにローレンツさんに緊張しているんだろう。お互いの気持ちを知ってからの方が、私はローレンツさんに怯えている。
「恋人」と「友達」の差ってなんだろう。そんなことを考えるたびに、私はその先にあるだろう結論に怯えてしまう。
でも、だからってローレンツさんに甘えちゃダメなんだ。
って思ったのは、食堂で見かけた光景が頭から離れないから。ローレンツさんの向かいに座る女の人。ローレンツさんに話しかける女の人の顔が幸せそうで、私はハッとする。
あの人もきっと、ローレンツさんが好きなんだ。
ローレンツさんを疑いたくはないけど、触れることを許さない私がローレンツさんの心変わりを怒る資格は多分ない。
小さくため息を吐いて、視界に映る背中を見つめる。私より大きな背中。優しい笑顔。ローレンツさんは自分のことをあんまり良く言わないけど、私からしたらとても魅力的だ。
もし、市場の女の人がローレンツさんを好きになったら・・・。私は一瞬そんなことを考えて、頭を振る。
「エリカさん?」
私に気づいて首を傾げるローレンツさんに曖昧に笑って、私は下を向いた。
『ちょっとお使いを頼まれてくれないか?シャスポーの世話で忙しいんだわ』
そう言ってきたタバティエールさんは片目をつぶって私に囁いた。
『荷物持ちにローレンツをつけるから、デートだと思って行ってきな』
「デート」の響きに恥ずかしさを感じてたけど、ひょっとしたらタバティエールさんは私があの女の人にやきもちを妬いてることをお見通しだったのかな、って思うとさらに恥ずかしくなる。
「あの、エリカさん?」
私を覗きこむローレンツさんに私の心臓が跳ねる。裏返った声の変な返事にローレンツさんは首を傾げると、「疲れましたか?」と聞いてきた。
「もしそうなら、どこかで休憩でも・・・」
そう言ってくれるローレンツさんの手には頼まれてた砂糖と小麦粉。手ぶらの私なんかより、ローレンツさんの方が絶対疲れてるはずなのに。
「だ、大丈夫です!」
そう言って、バレないように小さく息を吸った。今から口に出す言葉をどう言ったら良いかわからなくて、目が泳ぐ。
「あ、あの・・・」
手を、繋いでくれますか!?
「え?」
あ、やっぱり変、だよね。自分で触るなって言っておいて、こんなこと言うなんて。でも、なんとなく怖かった。ローレンツさんが誰かにとられるのは、多分、体に触れられるより嫌だ。
私は手を差し出したまま、ぎゅっと目を瞑った。ローレンツさんの視線に耐えられなくて、心臓がうるさい。
「良い、んですか?」
恐る恐る、といったふうに聞いてきたローレンツさんが私の手を包む。大きな手は優しくて、私はそっと目を開いた。
「エリカさん?」
私を覗きこむローレンツさんが不安そうで、私はもう一度小さく深呼吸した。
「・・・ドキドキします」
でも、多分、このドキドキは嫌なドキドキじゃない。私はローレンツさんを見上げた。
「ローレンツさんの手、大きくて、温かくて、優しくて、ドキドキします」
そう言って笑顔を作った私に少しほっとした顔をして、ローレンツさんは少しだけぎゅっと手を握りなおしてくれた。
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