彼らの出会い
レジスタンスのメディック
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「キンベエさんは特別なんです」
エリカさんはそう言って、困ったように笑った。
「なんだか、お父さんみたいだから。あ、本当のお父さんとは全然似てないんですけど」
基地にある水汲み場。俺はそこでエリカさんを見つけて立ち止まった。男の人が怖いというエリカさんの頭に置かれた、大きな手。
「お前さんは細っこいから、水汲みは大変じゃろう」
「大丈夫です!お屋敷で沢山やったし、少しずつ体力もついてきましたから!」
「じゃが、無理はいかんぞ?また倒れたら困るからな!」
そう言いながら豪快に笑うキンベエさんを見るエリカさんの目はちっとも怯えてはいなかった。
嫉妬なんて、したらダメだ、って思うけど、俺が抱き寄せたときはあんなに怯えたのに、って考えてしまう。ダメだ、ダメだ、って頭を振り払う俺が二人に見つかって、「わしは邪魔かの?」と笑いながらキンベエさんがいなくなったのがちょっと前。
「・・・あの、キンベエさんに頭撫でられてましたけど、大丈夫ですか?」
って恐る恐る聞いた俺に、エリカさんは苦笑いで頷く。
「最初は確かに怖かったんです。キンベエさんって声も大きいし。でも、なんだか、一緒にいると安心するようになって、なんでだろうな、って考えたんですけど、多分、キンベエさんってお父さんみたいだからかな、って」
エリカさんを売った父親。エリカさんは「優しかった」って言うけど、本当なのかな、ってちょっとだけ思う。
「私がお屋敷に行く直前にも、さっきみたいにお父さんが頭を撫でてくれたんです。『一生懸命働いて、必ず迎えに行くから』って。あのときは、誰も知らなかったんです。私が売られたお屋敷があんな怖いところだったなんて」
そう言って、エリカさんは下を向く。嫌なことを思い出させちゃった自分が嫌になる。
「・・・でも、もう家族には会えないでしょ?だから、レジスタンスの人に家族を重ねてるのかも知れない」
屋敷の主人が人身売買で捕まって、無理やり帰された故郷にはエリカさんの家族はいなかった。だから、レジスタンスがエリカさんの「家族」だ。
「・・・そう、ですよね。家族、ですからね・・・」
自分に言い聞かせるように呟いた俺に首を傾げて、エリカさんは俺をじっと見た。嫉妬したことに気づかれちゃったかな、って焦る俺に「・・・ワガママ言って良いですか?」と甘えてくる。
「な、なんでしょう!?」
エリカさんのワガママなら勿論叶えてあげたいけど。
「・・・頭を撫でてください!」
「え?」
「だって、ローレンツさんも私の『特別』なんです!ひょっとしたら、ローレンツさんに撫でられるのも本当は怖くないのかも知れないから!」
「・・・・・・」
ああ、俺は今、なんて幸せな言葉を聞いたんだろう。俺が「特別」?それって、「家族」と違う「特別」ってことだよね?
俺は小さく深呼吸して、そろそろと腕をあげる。エリカさんの小さな頭に手を乗せると、なめらかな感触がした。
「・・・だ、大丈夫ですか?」
「・・・」
エリカさんは少し考える顔をして、そしてにこりと笑った。
「ローレンツさん!」
ローレンツさんの手、温かくて、優しくて、なんだか嬉しくなります!
「ちょっとドキドキするけど、すごく嬉しいです!」
そう言ってはにかむエリカさんがかわいすぎて、俺はその場にくずれおちた。
→
エリカさんはそう言って、困ったように笑った。
「なんだか、お父さんみたいだから。あ、本当のお父さんとは全然似てないんですけど」
基地にある水汲み場。俺はそこでエリカさんを見つけて立ち止まった。男の人が怖いというエリカさんの頭に置かれた、大きな手。
「お前さんは細っこいから、水汲みは大変じゃろう」
「大丈夫です!お屋敷で沢山やったし、少しずつ体力もついてきましたから!」
「じゃが、無理はいかんぞ?また倒れたら困るからな!」
そう言いながら豪快に笑うキンベエさんを見るエリカさんの目はちっとも怯えてはいなかった。
嫉妬なんて、したらダメだ、って思うけど、俺が抱き寄せたときはあんなに怯えたのに、って考えてしまう。ダメだ、ダメだ、って頭を振り払う俺が二人に見つかって、「わしは邪魔かの?」と笑いながらキンベエさんがいなくなったのがちょっと前。
「・・・あの、キンベエさんに頭撫でられてましたけど、大丈夫ですか?」
って恐る恐る聞いた俺に、エリカさんは苦笑いで頷く。
「最初は確かに怖かったんです。キンベエさんって声も大きいし。でも、なんだか、一緒にいると安心するようになって、なんでだろうな、って考えたんですけど、多分、キンベエさんってお父さんみたいだからかな、って」
エリカさんを売った父親。エリカさんは「優しかった」って言うけど、本当なのかな、ってちょっとだけ思う。
「私がお屋敷に行く直前にも、さっきみたいにお父さんが頭を撫でてくれたんです。『一生懸命働いて、必ず迎えに行くから』って。あのときは、誰も知らなかったんです。私が売られたお屋敷があんな怖いところだったなんて」
そう言って、エリカさんは下を向く。嫌なことを思い出させちゃった自分が嫌になる。
「・・・でも、もう家族には会えないでしょ?だから、レジスタンスの人に家族を重ねてるのかも知れない」
屋敷の主人が人身売買で捕まって、無理やり帰された故郷にはエリカさんの家族はいなかった。だから、レジスタンスがエリカさんの「家族」だ。
「・・・そう、ですよね。家族、ですからね・・・」
自分に言い聞かせるように呟いた俺に首を傾げて、エリカさんは俺をじっと見た。嫉妬したことに気づかれちゃったかな、って焦る俺に「・・・ワガママ言って良いですか?」と甘えてくる。
「な、なんでしょう!?」
エリカさんのワガママなら勿論叶えてあげたいけど。
「・・・頭を撫でてください!」
「え?」
「だって、ローレンツさんも私の『特別』なんです!ひょっとしたら、ローレンツさんに撫でられるのも本当は怖くないのかも知れないから!」
「・・・・・・」
ああ、俺は今、なんて幸せな言葉を聞いたんだろう。俺が「特別」?それって、「家族」と違う「特別」ってことだよね?
俺は小さく深呼吸して、そろそろと腕をあげる。エリカさんの小さな頭に手を乗せると、なめらかな感触がした。
「・・・だ、大丈夫ですか?」
「・・・」
エリカさんは少し考える顔をして、そしてにこりと笑った。
「ローレンツさん!」
ローレンツさんの手、温かくて、優しくて、なんだか嬉しくなります!
「ちょっとドキドキするけど、すごく嬉しいです!」
そう言ってはにかむエリカさんがかわいすぎて、俺はその場にくずれおちた。
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