突然の亀裂【黒曜編】
主人公の名前変更
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宿題を済ませ、ランボくんイーピンちゃんともしっかり遊んで二人がお昼寝を始めた頃。ふと時計を見上げると、新体操クラブの練習時間が迫ろうとしていた。
「ヤバい!!時間、遅れちゃう」
いつもは余裕を持って練習に向かうのだが、今日は例の事件のこともあって頭が回っていなかったらしい。時間を見る余裕が全くなかった。慌てて準備を始める私をママは「今日くらいお休みしたら?」と心配そうに言った。
「ツーくんたちも出掛けてるし、大丈夫だよ」
「けど、ミーちゃんはまだ中学生じゃないのよ?不安だわ」
「通い慣れてる道だし、平気だって。それにあともう少ししたら私も中学生だよ?ママ」
「そう??」
「うーん」と変わらず心配そうにしているママに大丈夫、と念を押してごり押すように準備を進め「行ってきます!!」と家を飛び出た。ざっと家からクラブまでの道のりを考えても、今からなら走って行けば全然間に合う。
正直ママの心配も分からない訳じゃないから、少しだけ"やっぱり大人しく休んでおけば良かったかな?"なんて考える。しかし、今さらここで引き返しても勢いで出てきたこの状況ー…やっぱり帰ってきました!なんて言うのも気恥ずかしくて。
寄り道しないで行けば大丈夫…!!!
そう言い聞かせて、クラブまで道のりを駆けた。
*
もう少しでクラブに着く、という所までやって来て駆けていた足をようやく止める。ハァハァ、と息が上がっているのを感じて結構走って来たなと後から知った。
そう言えば、飲み物忘れた、かも。
急いで出てきたため、本当に必要最低限の準備しかしていなかったので飲み物のことはすっかり忘れていた。結構走って喉もカラカラ。
寄り道しない!とは言ったが、こうも喉が渇いては練習にも支障が出る。時間を確認して、持ち歩くカバンの中に常備していた僅かに入っている小銭入れを持ち出し、自動販売機を探す。
少し戻った先を曲がれば、確かすぐに自動販売機があったはず。
朧気な記憶を頼りに、来た道を少し引き返し飲み物を買うため自動販売機へ向かう。
曲がり角に差し掛かり、記憶通りそこを曲がった時ー…視界に飛び込んで来た衝撃的な状況にヒュッと喉を鳴らした。
「ハル、ちゃん」
正面から歩いて来る一人の女性。それは、最近よく見掛けるようになったツーくんのお友だち三浦ハル、その人。
しかし、私が喉を鳴らした理由は別にあって。
「誰、あれッ」
彼女の後ろに明らかに怪しい人物がついて歩いている。ぬいぐるみを縫ったような顔をしたその人は、関節を変な方向に曲げながら一定の距離を保ってハルちゃんの後ろをピタッとついて歩いていた。
何あれ、気持ち悪っ!!
思わずお腹の方から込み上げてくる何かを抑え込むように口元を両手で覆って、唾を飲み込んだ。
待って、どういうこと。不審者?!
彼女たちの状況を見るにハルちゃんは後ろの人の存在に全く気付いていない。イヤフォンか何かで音楽でも聞いているのか、ニコニコしながら縦ノリでこちらへ向かって歩んで来ている。
その間にも彼女の後をついて歩くその人物は、ゴギゴギッと音が聞こえそうな程、変な方向に首や腕、足を曲げながらピタッと同じようにこちらへ歩いて来ていた。
明らか危ないよね?!アレ、普通じゃない!
どうしよう!と心が焦る。辺りを見回しても、ここには私とハルちゃん、そしてあの不審者しか居なくて、あまりの恐怖に涙が目に滲むのを感じた。
僅かに潤む視界の中、次いで見えた光景に目を見開く。
なに、あれ。
突然、不審者の手元に現れた小瓶。しかも、その液体をハルちゃんの頭から掛けようとしている。
えっ!!!
一体、なんの小瓶かは分からない。だけど、現状それが彼女に掛けられていい物ではないと瞬時に判断できた。
「ダメッ!!!!」
途端にさっきまで全く出なかった声が音を成して響く。声が出てしまえば、体も自然と動いて、勢い良くハルちゃんの元へ駆け寄った。
「はひ?!光奈ちゃん??」
「ハルちゃん!!逃げてッ!!!」
「ほえっ??」
突然駆け込んできた私にハルちゃんも状況把握ができないみたいで、耳元に嵌めていたイヤフォンを取りながら。
「どうしたんですか?!そんな慌てた顔して」
「いいから!!早くッ!!!」
彼女越しに見える不審者が持っている瓶に視線を向けて"硫酸"と書かれてあるそれにさらに危機感を覚えて吠えた。
ゆっくりと傾けられる瓶ー…小口から、液体が、ハルちゃんの頭に。
「哈っ!!!」
「「!?!?!」」
液体がかかる寸前、突如として不審者の姿が視界から消える。
不審者が消えた代わりに現れたのはー…
「ランボくん、イーピンちゃん!!!」
お昼寝をさせたはずの二人が、10年後の姿になった彼女たちだった。
「やれやれ」
「ハルさん!!光奈さん!!おケガはありませんか?」
二人は私とハルちゃんを庇うように立って、不審者に対峙する。消えていた不審者は地面に横たわっていて、ビクビク震えながら立ち上がろうとしていた。
「許せないな、女性を狙うなんて」
イーピンちゃんの表情がキリッと引き締まる。状況が全く掴めていないハルちゃんは、私や二人を見回しながら軽く混乱している様子で。
「ランボ!」
「了解。さ、ハルさん、若きナイト。ここは危ないですからオレと一緒にあっちへ行きましょう」
「へ??あ、あの!!」
混乱しているハルちゃんを他所に、私は大人しくイーピンちゃんを残して、ランボくんたちと一緒にその場を後にした。
・
・
ランボくんとハルちゃんについてやって来たのは簡素な公園。ランボくん曰く「若きナイトのクラブにはお休みの連絡を入れています」とのことで、張り詰めていた緊張が一気に解けたのかドサッとその場に崩れ落ちるように私は膝を付いた。
「光奈ちゃん?!」
「いや…アハハ。ごめんね、ハルちゃん」
「い、いえ…ハルなんてもう何がなんだか…」
崩れ落ちた私を心配してか慌てて寄り添ってくれたハルちゃんも先程の出来事が今ひとつ頭の中で処理ができていないのか、不安気な表情を浮かべていた。ランボくんを見上げると彼はやれやれ、と首を振ってふいっとそっぽを向く。
「もしかして、このこと、分かってたの…?」
ランボくんに思わず問い掛ける。
「若きナイト、オレたちはただ言われた通り見張っていただけですよ」
「言われてたって誰に」
「リボーンさんです」
不意にランボくんではない声が聞こえて反射的に振り返る。そこには先程、ハルちゃんを襲おうとしていた不審者と戦っていたイーピンちゃんが立っていた。
「リボーンさん、てあのリボーンちゃんですか?」
「はい。ワタシたちはリボーンさんにハルさんを見張っててって頼まれてたんです」
「そこにたまたま若きナイトが居合わせた、と言うだけです」
二人から告げられる真実に目を見開く。そう言えば家で二人と遊んでいる時もリボーンくんの姿だけは見当たらなかった。
「なん、で」
ぼそっと言葉を呟いた瞬間、ボフン!!と目の前が突然煙にまみれて視界が遮られる。煙たい空気にしばらくむせ返り、落ち着く頃には10年後の彼らは姿を晦まし。
「んぁ?光奈!!ハル!!!!」
現在の二人がそこに立っていた。
「ランボくん!イーピンちゃん!!」
ハルちゃんは突然消えた二人のことなんて全く気にする様子はなく、現れた子ども二人にいそいそと這い寄って口を開いた。
「あの、ツナさんはどこに行ったんですか?!」
ド直球な質問?!
彼女の問いに思わず心の中で突っ込んでしまう。しかし、子どもとなった二人にそんなこと答えられるわけはない。だって、ついさっきまで私と遊んで、昼寝して…。
「ツナぁ??ツナねぇ!!犯人のところに行った!!わるーいヤツ、倒しに行ったもんね!!!」
「ランボ!!それ言っちゃダメ!!」
「え」
「はひー!!」
信じ難い言葉を、聞いた。
犯人って、なんのこと。
思考停止している私を他所にハルちゃんと他二人の会話は結構盛り上がっている様子で「アジト」だ「マフィアの妻」だの言葉が飛び交っている。内容は何ひとつ耳に入ってこなかった。
*
あの後は正直どうやって帰ったのか分からない。気付けばランボくんイーピンちゃんに手を引かれ、ハルちゃんが家まで送ってくれてサヨナラをした。ママも帰ってきた私やランボくんたちを「おかえりなさい」と迎えてくれるだけで、他に何も言わない。
時間は随分と経ったと言うのに、ツーくんたちはまだ帰って来ていない。
こうなることは分かっていたこと、なの?
朝から例の襲撃事件で一日が狂わされている気がする。並盛中学の生徒だけでなく、ハルちゃんまで巻き込まれようとしていた。それに不審者の着ていた制服は並盛中のものでは無く、他校のー…隣町の黒曜中学校の制服。
"ツナは犯人を倒しに行った"
確かにランボくんはそう言ったんだ。
お買い物、って言ったじゃん。
考えても考えても、答えは分からないし、今がどうなってるのかも全く分からない。
「ツーくん…山本さん…ッ」
ついさっき目にした光景があまりにも心に傷だったらしく、今まで何度も込み上げるだけで流れなかった涙がボロボロと枕を濡らす。
彼らが一秒でも早く帰って来て「大丈夫だよ」って言って欲しくて仕方がない。そう思い、願い、今はただ、待つしかなかった。
-続く-
「ヤバい!!時間、遅れちゃう」
いつもは余裕を持って練習に向かうのだが、今日は例の事件のこともあって頭が回っていなかったらしい。時間を見る余裕が全くなかった。慌てて準備を始める私をママは「今日くらいお休みしたら?」と心配そうに言った。
「ツーくんたちも出掛けてるし、大丈夫だよ」
「けど、ミーちゃんはまだ中学生じゃないのよ?不安だわ」
「通い慣れてる道だし、平気だって。それにあともう少ししたら私も中学生だよ?ママ」
「そう??」
「うーん」と変わらず心配そうにしているママに大丈夫、と念を押してごり押すように準備を進め「行ってきます!!」と家を飛び出た。ざっと家からクラブまでの道のりを考えても、今からなら走って行けば全然間に合う。
正直ママの心配も分からない訳じゃないから、少しだけ"やっぱり大人しく休んでおけば良かったかな?"なんて考える。しかし、今さらここで引き返しても勢いで出てきたこの状況ー…やっぱり帰ってきました!なんて言うのも気恥ずかしくて。
寄り道しないで行けば大丈夫…!!!
そう言い聞かせて、クラブまで道のりを駆けた。
*
もう少しでクラブに着く、という所までやって来て駆けていた足をようやく止める。ハァハァ、と息が上がっているのを感じて結構走って来たなと後から知った。
そう言えば、飲み物忘れた、かも。
急いで出てきたため、本当に必要最低限の準備しかしていなかったので飲み物のことはすっかり忘れていた。結構走って喉もカラカラ。
寄り道しない!とは言ったが、こうも喉が渇いては練習にも支障が出る。時間を確認して、持ち歩くカバンの中に常備していた僅かに入っている小銭入れを持ち出し、自動販売機を探す。
少し戻った先を曲がれば、確かすぐに自動販売機があったはず。
朧気な記憶を頼りに、来た道を少し引き返し飲み物を買うため自動販売機へ向かう。
曲がり角に差し掛かり、記憶通りそこを曲がった時ー…視界に飛び込んで来た衝撃的な状況にヒュッと喉を鳴らした。
「ハル、ちゃん」
正面から歩いて来る一人の女性。それは、最近よく見掛けるようになったツーくんのお友だち三浦ハル、その人。
しかし、私が喉を鳴らした理由は別にあって。
「誰、あれッ」
彼女の後ろに明らかに怪しい人物がついて歩いている。ぬいぐるみを縫ったような顔をしたその人は、関節を変な方向に曲げながら一定の距離を保ってハルちゃんの後ろをピタッとついて歩いていた。
何あれ、気持ち悪っ!!
思わずお腹の方から込み上げてくる何かを抑え込むように口元を両手で覆って、唾を飲み込んだ。
待って、どういうこと。不審者?!
彼女たちの状況を見るにハルちゃんは後ろの人の存在に全く気付いていない。イヤフォンか何かで音楽でも聞いているのか、ニコニコしながら縦ノリでこちらへ向かって歩んで来ている。
その間にも彼女の後をついて歩くその人物は、ゴギゴギッと音が聞こえそうな程、変な方向に首や腕、足を曲げながらピタッと同じようにこちらへ歩いて来ていた。
明らか危ないよね?!アレ、普通じゃない!
どうしよう!と心が焦る。辺りを見回しても、ここには私とハルちゃん、そしてあの不審者しか居なくて、あまりの恐怖に涙が目に滲むのを感じた。
僅かに潤む視界の中、次いで見えた光景に目を見開く。
なに、あれ。
突然、不審者の手元に現れた小瓶。しかも、その液体をハルちゃんの頭から掛けようとしている。
えっ!!!
一体、なんの小瓶かは分からない。だけど、現状それが彼女に掛けられていい物ではないと瞬時に判断できた。
「ダメッ!!!!」
途端にさっきまで全く出なかった声が音を成して響く。声が出てしまえば、体も自然と動いて、勢い良くハルちゃんの元へ駆け寄った。
「はひ?!光奈ちゃん??」
「ハルちゃん!!逃げてッ!!!」
「ほえっ??」
突然駆け込んできた私にハルちゃんも状況把握ができないみたいで、耳元に嵌めていたイヤフォンを取りながら。
「どうしたんですか?!そんな慌てた顔して」
「いいから!!早くッ!!!」
彼女越しに見える不審者が持っている瓶に視線を向けて"硫酸"と書かれてあるそれにさらに危機感を覚えて吠えた。
ゆっくりと傾けられる瓶ー…小口から、液体が、ハルちゃんの頭に。
「哈っ!!!」
「「!?!?!」」
液体がかかる寸前、突如として不審者の姿が視界から消える。
不審者が消えた代わりに現れたのはー…
「ランボくん、イーピンちゃん!!!」
お昼寝をさせたはずの二人が、10年後の姿になった彼女たちだった。
「やれやれ」
「ハルさん!!光奈さん!!おケガはありませんか?」
二人は私とハルちゃんを庇うように立って、不審者に対峙する。消えていた不審者は地面に横たわっていて、ビクビク震えながら立ち上がろうとしていた。
「許せないな、女性を狙うなんて」
イーピンちゃんの表情がキリッと引き締まる。状況が全く掴めていないハルちゃんは、私や二人を見回しながら軽く混乱している様子で。
「ランボ!」
「了解。さ、ハルさん、若きナイト。ここは危ないですからオレと一緒にあっちへ行きましょう」
「へ??あ、あの!!」
混乱しているハルちゃんを他所に、私は大人しくイーピンちゃんを残して、ランボくんたちと一緒にその場を後にした。
・
・
ランボくんとハルちゃんについてやって来たのは簡素な公園。ランボくん曰く「若きナイトのクラブにはお休みの連絡を入れています」とのことで、張り詰めていた緊張が一気に解けたのかドサッとその場に崩れ落ちるように私は膝を付いた。
「光奈ちゃん?!」
「いや…アハハ。ごめんね、ハルちゃん」
「い、いえ…ハルなんてもう何がなんだか…」
崩れ落ちた私を心配してか慌てて寄り添ってくれたハルちゃんも先程の出来事が今ひとつ頭の中で処理ができていないのか、不安気な表情を浮かべていた。ランボくんを見上げると彼はやれやれ、と首を振ってふいっとそっぽを向く。
「もしかして、このこと、分かってたの…?」
ランボくんに思わず問い掛ける。
「若きナイト、オレたちはただ言われた通り見張っていただけですよ」
「言われてたって誰に」
「リボーンさんです」
不意にランボくんではない声が聞こえて反射的に振り返る。そこには先程、ハルちゃんを襲おうとしていた不審者と戦っていたイーピンちゃんが立っていた。
「リボーンさん、てあのリボーンちゃんですか?」
「はい。ワタシたちはリボーンさんにハルさんを見張っててって頼まれてたんです」
「そこにたまたま若きナイトが居合わせた、と言うだけです」
二人から告げられる真実に目を見開く。そう言えば家で二人と遊んでいる時もリボーンくんの姿だけは見当たらなかった。
「なん、で」
ぼそっと言葉を呟いた瞬間、ボフン!!と目の前が突然煙にまみれて視界が遮られる。煙たい空気にしばらくむせ返り、落ち着く頃には10年後の彼らは姿を晦まし。
「んぁ?光奈!!ハル!!!!」
現在の二人がそこに立っていた。
「ランボくん!イーピンちゃん!!」
ハルちゃんは突然消えた二人のことなんて全く気にする様子はなく、現れた子ども二人にいそいそと這い寄って口を開いた。
「あの、ツナさんはどこに行ったんですか?!」
ド直球な質問?!
彼女の問いに思わず心の中で突っ込んでしまう。しかし、子どもとなった二人にそんなこと答えられるわけはない。だって、ついさっきまで私と遊んで、昼寝して…。
「ツナぁ??ツナねぇ!!犯人のところに行った!!わるーいヤツ、倒しに行ったもんね!!!」
「ランボ!!それ言っちゃダメ!!」
「え」
「はひー!!」
信じ難い言葉を、聞いた。
犯人って、なんのこと。
思考停止している私を他所にハルちゃんと他二人の会話は結構盛り上がっている様子で「アジト」だ「マフィアの妻」だの言葉が飛び交っている。内容は何ひとつ耳に入ってこなかった。
*
あの後は正直どうやって帰ったのか分からない。気付けばランボくんイーピンちゃんに手を引かれ、ハルちゃんが家まで送ってくれてサヨナラをした。ママも帰ってきた私やランボくんたちを「おかえりなさい」と迎えてくれるだけで、他に何も言わない。
時間は随分と経ったと言うのに、ツーくんたちはまだ帰って来ていない。
こうなることは分かっていたこと、なの?
朝から例の襲撃事件で一日が狂わされている気がする。並盛中学の生徒だけでなく、ハルちゃんまで巻き込まれようとしていた。それに不審者の着ていた制服は並盛中のものでは無く、他校のー…隣町の黒曜中学校の制服。
"ツナは犯人を倒しに行った"
確かにランボくんはそう言ったんだ。
お買い物、って言ったじゃん。
考えても考えても、答えは分からないし、今がどうなってるのかも全く分からない。
「ツーくん…山本さん…ッ」
ついさっき目にした光景があまりにも心に傷だったらしく、今まで何度も込み上げるだけで流れなかった涙がボロボロと枕を濡らす。
彼らが一秒でも早く帰って来て「大丈夫だよ」って言って欲しくて仕方がない。そう思い、願い、今はただ、待つしかなかった。
-続く-