天星"てんせい"の守護者【リング争奪戦編】
主人公の名前変更
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ビアンキさんとの修行に打ち込んで気付けば日も暮れていて辺りは暗くなり始めている。
「今日はここまでにしましょう、光奈」
よく頑張ったわ、と優しい笑みを浮かべて頭を撫でてくれるビアンキさん。修行の時は真剣そのものだからすごく怖くなる分、こういうひと時は正直ホッとする。あ、いつものビアンキさんだって思えて。
頭を撫で終えるとビアンキさんは「さぁ帰るわよ」と身支度を始めようとしていて、私はふるふると首を横に振り帰らないと意思表示する。
「え、だって今日は霧の守護者の」
「今日の戦いは見に行きません」
「アナタ」
「違います!逃げてるんじゃない…きっと、もうすぐだから、私の戦い。あの中じゃあ誰よりも弱い私だから。今、できる限りのことをしておきたいんです!」
「………」
自分の中の思いを、覚悟を再確認するかのようにビアンキさんへと伝える。視線を逸らすことなく真っ直ぐに私を見つめたビアンキさんは、一度ゆっくり瞬きをすると「そう、分かったわ」と少し困ったように笑った。
「でも今日はここまでにしなさい」
「え、ビアンキさん!私さっき」
「戦いに慣れていないアナタが今ここで無茶をすると実践で大ケガするわよ。少しでも取れるなら休息は必要」
「で、でも」
「光奈」
諭されるように名前を呼ばれ言葉を詰まらせる。俯き気味にビアンキさんを見上げると、彼女は再び私の頭へと手を伸ばして話を続けた。
「アナタが焦る気持ちはすごく分かるわ。みんなのため少しでも強くなっていたいのよね。でも、無理をしてまで頑張らなくていいの。ツナたちは、私たちは」
"アナタに生きていて欲しいから"
その言葉に俯き気味だった顔がグッとビアンキさんを見上げる。
そっか、無茶し過ぎてもダメなんだ。無茶をし過ぎた先、笑えなくなる未来が来てしまっては元も子もない。
「だから、今日は帰りましょう」
ね?と目を細めるビアンキさんに私は大きく頷いて答え、帰りの身支度を始めた。
・
・
翌日、今日も朝早く並盛神社へ向かうと既にビアンキさんが待っていて、私を見つけると「待ってたわよ」と口調柔らかく迎え入れてくれた。
「おはようございます、今日もお願いします!」
「えぇ。と、その前に」
昨日の話を少ししましょうか、とビアンキさんは霧戦での出来事を私に教えてくれた。
霧戦で戦ったのはクローム髑髏という女の子だったらしく、勝負の結果は彼女の勝利。つまりはこちら側がリングの数としては有利な展開になったのだ。
「霧の人が、繋げてくれたんだ」
「そうね」
「あの…その、霧の人って」
「幻覚を操る術師よ」
「げ、幻覚…?」
「……今のアナタにはもう隠す必要もないわね」
「え」
少し言葉を詰まらせたビアンキさんが私から視線を逸らして呟く。意味深なその態度に少しドキドキしながら話の続きを待つ。
「光奈も出来事としては覚えてるでしょ?並中生襲撃事件」
「あ」
出てきた言葉は、忘れもしないあの出来事。
突然の虚無感に襲われた、あの。
「はい」
「その事件の主犯よ」
それって、元敵ってこと?
「クローム髑髏…いえ、実際のところ、この戦いを繋いだのは六道骸という男。以前、その事件に関与していた人物なの」
「え、なんで、そんな人が」
「詳しいことは私も分からない。ただ…彼はアナタのパパンが選んだ守護者の一人。リボーンからは何も心配するな、としか聞かされてないわ」
なんか、複雑。
でも…それでも、ツーくんの敵だった人がこの戦いを繋いだって言うのは紛れもない事実で。今そのことをビアンキさんが私に話してくれたということ。
それは、ちゃんと私がツーくんたちのいる世界に飛び込んできたんだという証明にもなっている気がした。
「そ、っか」
嬉しいような心配なような、なんとも言えない感情。上手く言い表せない気持ちのままぽつりと一言そう零せば、ビアンキさんは眉を顰めるだけで「それで、話は今日の戦いについてよ」と話題を変える。
「今日の対戦」
「はい」
「アナタの番になったわ」
ヒュッと血の気が引くような感覚。
だけどこれは予感していたこと。
覚悟していた、私の番。
「今晩の対戦が天星の守護者になったらしい。リボーンがそう教えてくれたわ」
「いよいよ、私の、」
「…光奈」
ビアンキさんの声色が少し心配の色を含んでいる。
無理もない。だって私、
震えてる。
「……怖くて当然よ。だってアナタはこちらの世界に来てまだ数日。実践も積んでない。何が起こるのか、私だって検討がつかないもの」
腕を組みながらビアンキさんが静かに話す。返す言葉もなくてしばらく沈黙が続いた。
だけど、その沈黙は意外にも早く私が打ち破って。
「大丈夫、です」
私の返答に勢い良くビアンキさんの顔が上げられる。そんな彼女に届くよう、また、自分に言い聞かせるように言葉を続ける。
「確かに怖いです。でも私、決めたから!もう逃げないって」
そう、そうだよ私。
「この戦いはみんなで戦ってる」
京子ちゃんのお兄さん、ランボくんに獄寺さん、クローム髑髏っていう人、六道骸っていう人、並中の風紀委員長である雲雀さん。
ツーくんにー…山本先輩。
「みんなが戦って、みんなが繋いだこのバトンを、私はしっかりと受け取らなきゃいけない。受け取って…今度は私が次に繋げるの」
誰のために?
「みんなの、ために」
もう迷いなんてない。今もまだ震えてはいるけど、この言葉この思いに嘘偽りはないんだ。
真っ直ぐにビアンキさんを見つめ訴える。この視線を受けて彼女は少し目元を潤ませながら、小さく笑った。
「この短時間で本当に頼もしくなったわね、光奈」
「ビアンキさん」
「さぁ、最後の追い込みよ。今すぐ準備しなさい」
サラッと髪を靡かせて威勢よく言うビアンキさんに瞳を輝かせ「はい!!」と返事する。
私の戦いまであと数時間。
-続く-
「今日はここまでにしましょう、光奈」
よく頑張ったわ、と優しい笑みを浮かべて頭を撫でてくれるビアンキさん。修行の時は真剣そのものだからすごく怖くなる分、こういうひと時は正直ホッとする。あ、いつものビアンキさんだって思えて。
頭を撫で終えるとビアンキさんは「さぁ帰るわよ」と身支度を始めようとしていて、私はふるふると首を横に振り帰らないと意思表示する。
「え、だって今日は霧の守護者の」
「今日の戦いは見に行きません」
「アナタ」
「違います!逃げてるんじゃない…きっと、もうすぐだから、私の戦い。あの中じゃあ誰よりも弱い私だから。今、できる限りのことをしておきたいんです!」
「………」
自分の中の思いを、覚悟を再確認するかのようにビアンキさんへと伝える。視線を逸らすことなく真っ直ぐに私を見つめたビアンキさんは、一度ゆっくり瞬きをすると「そう、分かったわ」と少し困ったように笑った。
「でも今日はここまでにしなさい」
「え、ビアンキさん!私さっき」
「戦いに慣れていないアナタが今ここで無茶をすると実践で大ケガするわよ。少しでも取れるなら休息は必要」
「で、でも」
「光奈」
諭されるように名前を呼ばれ言葉を詰まらせる。俯き気味にビアンキさんを見上げると、彼女は再び私の頭へと手を伸ばして話を続けた。
「アナタが焦る気持ちはすごく分かるわ。みんなのため少しでも強くなっていたいのよね。でも、無理をしてまで頑張らなくていいの。ツナたちは、私たちは」
"アナタに生きていて欲しいから"
その言葉に俯き気味だった顔がグッとビアンキさんを見上げる。
そっか、無茶し過ぎてもダメなんだ。無茶をし過ぎた先、笑えなくなる未来が来てしまっては元も子もない。
「だから、今日は帰りましょう」
ね?と目を細めるビアンキさんに私は大きく頷いて答え、帰りの身支度を始めた。
・
・
翌日、今日も朝早く並盛神社へ向かうと既にビアンキさんが待っていて、私を見つけると「待ってたわよ」と口調柔らかく迎え入れてくれた。
「おはようございます、今日もお願いします!」
「えぇ。と、その前に」
昨日の話を少ししましょうか、とビアンキさんは霧戦での出来事を私に教えてくれた。
霧戦で戦ったのはクローム髑髏という女の子だったらしく、勝負の結果は彼女の勝利。つまりはこちら側がリングの数としては有利な展開になったのだ。
「霧の人が、繋げてくれたんだ」
「そうね」
「あの…その、霧の人って」
「幻覚を操る術師よ」
「げ、幻覚…?」
「……今のアナタにはもう隠す必要もないわね」
「え」
少し言葉を詰まらせたビアンキさんが私から視線を逸らして呟く。意味深なその態度に少しドキドキしながら話の続きを待つ。
「光奈も出来事としては覚えてるでしょ?並中生襲撃事件」
「あ」
出てきた言葉は、忘れもしないあの出来事。
突然の虚無感に襲われた、あの。
「はい」
「その事件の主犯よ」
それって、元敵ってこと?
「クローム髑髏…いえ、実際のところ、この戦いを繋いだのは六道骸という男。以前、その事件に関与していた人物なの」
「え、なんで、そんな人が」
「詳しいことは私も分からない。ただ…彼はアナタのパパンが選んだ守護者の一人。リボーンからは何も心配するな、としか聞かされてないわ」
なんか、複雑。
でも…それでも、ツーくんの敵だった人がこの戦いを繋いだって言うのは紛れもない事実で。今そのことをビアンキさんが私に話してくれたということ。
それは、ちゃんと私がツーくんたちのいる世界に飛び込んできたんだという証明にもなっている気がした。
「そ、っか」
嬉しいような心配なような、なんとも言えない感情。上手く言い表せない気持ちのままぽつりと一言そう零せば、ビアンキさんは眉を顰めるだけで「それで、話は今日の戦いについてよ」と話題を変える。
「今日の対戦」
「はい」
「アナタの番になったわ」
ヒュッと血の気が引くような感覚。
だけどこれは予感していたこと。
覚悟していた、私の番。
「今晩の対戦が天星の守護者になったらしい。リボーンがそう教えてくれたわ」
「いよいよ、私の、」
「…光奈」
ビアンキさんの声色が少し心配の色を含んでいる。
無理もない。だって私、
震えてる。
「……怖くて当然よ。だってアナタはこちらの世界に来てまだ数日。実践も積んでない。何が起こるのか、私だって検討がつかないもの」
腕を組みながらビアンキさんが静かに話す。返す言葉もなくてしばらく沈黙が続いた。
だけど、その沈黙は意外にも早く私が打ち破って。
「大丈夫、です」
私の返答に勢い良くビアンキさんの顔が上げられる。そんな彼女に届くよう、また、自分に言い聞かせるように言葉を続ける。
「確かに怖いです。でも私、決めたから!もう逃げないって」
そう、そうだよ私。
「この戦いはみんなで戦ってる」
京子ちゃんのお兄さん、ランボくんに獄寺さん、クローム髑髏っていう人、六道骸っていう人、並中の風紀委員長である雲雀さん。
ツーくんにー…山本先輩。
「みんなが戦って、みんなが繋いだこのバトンを、私はしっかりと受け取らなきゃいけない。受け取って…今度は私が次に繋げるの」
誰のために?
「みんなの、ために」
もう迷いなんてない。今もまだ震えてはいるけど、この言葉この思いに嘘偽りはないんだ。
真っ直ぐにビアンキさんを見つめ訴える。この視線を受けて彼女は少し目元を潤ませながら、小さく笑った。
「この短時間で本当に頼もしくなったわね、光奈」
「ビアンキさん」
「さぁ、最後の追い込みよ。今すぐ準備しなさい」
サラッと髪を靡かせて威勢よく言うビアンキさんに瞳を輝かせ「はい!!」と返事する。
私の戦いまであと数時間。
-続く-