天星"てんせい"の守護者【リング争奪戦編】
主人公の名前変更
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流派を捻り潰した、確かに彼はそう言った。
スクアーロは次いで自身の昔話を始める。
スクアーロは昔、極めた自身の剣を試すために強い相手を探し求めていたらしく、そんな彼が出会ったのが先輩の使う"時雨蒼燕流で、その継承者を殺ったのだと。
嘘のような話だ。でもスクアーロの口振り、それを観戦するツーくんたちやヴァリアーの人たちの様子を見れば嘘だとも思えない話。
先輩の攻撃は全て見切っていると豪語するスクアーロに。
「じゃあ、先輩の攻撃は全部」
当たらない、ってこと?
『聞いてねーな。そんな話』
「ッ!!」
考えれば考えるほど迫ってくる"絶望"の文字。
しかし、その絶望が一気に散布するかのように先輩の声が私の元へと届く。顔を上げれば傷を抑えながらも、諦めのみえない表情で立ち上がる先輩の姿がモニターに映し出されていた。
『オレの聞いた時雨蒼燕流は、完全無欠最強無敵なんでね』
その言葉に目を見開く。『バカか貴様は』と言われ、『やってみなきゃわかんねーって』と返す先輩。諦めない、諦めていないというような真っ直ぐとしたカッコ良さに、胸の奥がキラッと光る感覚がした。
『もう加減はしねぇぞぉ』
スクアーロの言葉を合図に再び戦いが動き出し、目にも止まらぬ早さでことが進んでいく。
柱の破片を飛ばして先輩の片目は潰されるし、スクアーロの衝撃波で動きが止まる先輩に、逃げて…!!なんて声にならない叫びが胸の中で響く。なんとか窮地を脱したかと思えば、止まらないスクアーロの猛攻に先輩は更なる傷を負って高い位置から水面へと打ち付けられてしまい。
見守れば見守る分だ胸がぎゅっと締め付けられる感覚を覚える。正直、スクリーン越しに展開される怒涛な戦いから目を逸らしたい気持ちになった。
だけど、逸らせない。
逸らしたらいけない、そんな気がしたんだ。
完全に動きが止まった先輩に、スクアーロが勝利を確信したかのように吠える。
『どぉしたぁ!!継承者は八つの型すべてを見せてくれたぜぇ。最後に八の型、秋雨を放ったと同時に無残に散ったがなぁ!!』
固唾を飲んで戦いの行く末を見守る。
見守ることしか、今はできない。
『ガキども!!』
スクアーロの声にビクッと体が反応したかと思えば、モニターに彼のアップが映し出されて『刀小僧の無様な最期を目ん玉かっぽじってよく見ておけぇ!!』と宣言される。グッと唇を噛み締め、私は祈るように両手を組んでスクリーンを見続けた。
スクリーンの画角が切り替わり今度は目を見開く。
水面に打ち付けられ立ち上がることなく動きを止めて居た先輩が。
立っていた。
立ち上がっていたんだ、フラフラした体で。
『寝ていろ!!そのままおろしてやるぞぉ!!』
もう終わりだ、最後だと言わんばかりの威勢で言い放つスクアーロに対し『そーはいかねーよ』と先輩が続ける。
『時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵だからな』
…本当、先輩の言動全てに何度もハッとさせられる。スクリーン越しの先輩はとてもフラフラしていて立っているのもやっとなはずなのに。
諦めてない。
諦めていないんだ、勝つことに。
瞬間、一気に駆け出していく先輩。『そのへらず口から切り落としてやるぞぉ!!』と再びスクアーロの猛攻が始まる。だけど、その攻撃から避けることなく先輩はただただ真っ直ぐに走り進んで。
『時雨蒼燕流…』
「山本、先輩っ」
『さぁ打てぇ!!秋雨を!!』
両者が同時に駆け込む。
「っ…!!」
ドッと音がして瞬間、宙を舞っていたのはー…スクアーロ。
水飛沫を立てて倒れるスクアーロにようやく先輩の技が決まったのだと実感する。グワッと込み上げる歓喜の気持ちにひとり、やった!とはしゃぐ中、スクリーンを見上げるヴァリアーの人たちやツーくんたちは驚きを隠せていないみたいで。
『貴様!!時雨蒼燕流以外の流派を使えるのかぁ!?』
『いんや。今のも時雨蒼燕流だぜ。八の型 篠突く雨はオヤジが作った型だ』
オヤジってことは山本先輩のお父さんが作った技?
流派だ、型だなんて話ははっきり言ってよく分かんないけれど要は先輩の攻撃がスクアーロに効いたってことだよね。そうだよね…!!
諦めず勝負に出た先輩の勇姿がとても眩しい。ハァハァと息を切らしながらも、確かに立っている先輩の姿に自然と目がキラキラ輝く。
『う゛お゛ぉい!!ガキ…正直ここまでやるとは思ってなかったぞ。だからこそその峰打ちは解せねぇ。真剣勝負を舐めやがって』
「峰打ち、」
スクアーロの言葉に目を凝らしてスクリーンを見つめる。注意深く見てみると確かに切り付けたはずのスクアーロには先輩のような深い傷はない。
峰打ちということはそういうことだ。あくまで先輩は相手を傷つけずに勝つということを選んでいる。それは彼もさっき言っていた。
「そうだよ」
ボソリとひとり確かめるように呟く。
確かに京子ちゃんのお兄さんの時だって、山本先輩の今の戦いだって二人は勝って"繋げること"を目標に頑張っていた。命を懸けてとチェルベッロは言っていたけど、彼らは、先輩たちは誰も死なせようなんて思ってない。
真剣勝負だけど、私たちは人を殺してまで勝つことを目標にしてるんじゃないんだ。
グッと戦いを見守る目にも力が入る。
『んじゃいってみっか。時雨蒼燕流 九の型』
『何だぁそのふざけた構えは。野球でもするつもりか!?』
『あいにく野球しとりえがないんでね』
この攻撃で全てが決まる。
『死ねぇ!!』
『いくぜ。時雨蒼燕流 攻式 九の型』
何となくだけど、直感的にそう思えて私は祈るようにゆっくりと手を組みスクリーンへと顔を上げた。この勝負を見逃さぬよう、しっかりとこの目に焼き付けるために。
・
・
帰り道ー…誰も居ない夜道をひとり歩く。
雨戦の勝敗は山本先輩の勝利で幕を閉じた。最後の攻撃、うつし雨を決めた先輩にスクアーロは敗れ私たちはようやく2つ目のリングを手にすることができた。
スクアーロの義手には一瞬ヒヤッとさせられたが、刺された先輩はどうやら偽物だったらしく無傷というわけではないけど『勝ったぜ』ってスクリーン越しに久しい彼の笑顔を見ることができたんだ。
そこまでは良かった。
そこまでは、良かったんだ。
問題はその後。
「………」
思い出すだけでも胸がムカムカする。うっと込み上げる吐き気に慌てて手で口を抑えて、グッと眉間に皺を寄せた。
『ざまぁねぇ!!負けやがった!!カスが!!』
あの男の…ザンザスとか言う男の声が、耳から離れない。
人の負けを盛大に笑い飛ばし、心配もしない。ましてや"用済みだ"と切り捨てていた。
「なんでっ」
全く理解できない。
一緒に戦ってきた仲間なんじゃないの…?
ザンザスだけじゃない。他の人たちもスクアーロの負けを笑っていた。手を掛けようかとも提案していたし、その座を仲間内で取り合ったりしていて…そんな彼らに全く理解ができなかった。
そしてもうひとつ。あの中に一人、全く表情を変えなかった人物もいて。
「ノーニス…っ」
笑いもせず悲しみもせず…ただただスクリーン越しに起こったことを見つめていただけの彼。
初対面の頃から表情がないと思っていたが、感情という感情を削ぎ落としたかのようなそれに、なんでなんとも思わないの?と悔しいような苛立つような思いが込み上げていた。
それにスクアーロは…勝敗が終わったにも関わらず、対戦場の構造で水位が基準値まで上がったら獰猛な海洋生物が放たれる仕掛けだったらしく。勝負に敗れた彼はその犠牲になってしまったのだ。
あれを見て、あれを目の当たりにして、あの表情?
彼は一体、あの時なにを思っていたの?
なにを思ってのあの表情なの…?
考えれば考えるほどどツボにハマる。結局はひとりでグルグル考えていても仕方がないこと。
全ては起こってしまった。もう元には、戻らない。
込み上げてきたものをグッと飲み込み、真っ直ぐに前を見据える。ゆっくりと息を大きく吸い込んで私は心に誓った。
もう逃げない。
晴れの戦からずっと目を背けてきた戦いー…今日の戦いでようやく私は前を向く決心をする。
みんなが繋いで繋いでようやくここまで来た。ピンチだった現状を、山本先輩が最後まで諦めないで明日の人へと繋いでくれた。明日は霧の守護者の人が戦う。
きっと、私の戦いも近い。
ー…すごく怖かったんだ。
憧れていた世界にいざ飛び込んでみれば、目の前にあった壁があまりにも高く立ちはだかっていて。私が飛び込もうとしている世界に場違い感を覚えて、すぐに逃げ出してしまった。
でも、この戦いはひとりじゃない。
みんながみんなを思い、繋いで、戦っている。
これは個人戦のようで、団体戦。
それに、命を落としてまでの勝負なんてこちら側は誰一人していない。あの優しいツーくんたちがするはずなかったんだ。思い返せば、本当にひとり逃げていた自分が恥ずかしい。
「明日ビアンキさんに謝って、一日中修行してもらおう」
明日の戦いは見に行かない。逃げるんじゃなくて、今は一分一秒がとても惜しい。
自分が決めた道だ。もう逃げたりなんかしない。
私もこの戦いに挑んで勝ちに行く。
ここまで繋いだ、みんなのために。
ー続くー
スクアーロは次いで自身の昔話を始める。
スクアーロは昔、極めた自身の剣を試すために強い相手を探し求めていたらしく、そんな彼が出会ったのが先輩の使う"時雨蒼燕流で、その継承者を殺ったのだと。
嘘のような話だ。でもスクアーロの口振り、それを観戦するツーくんたちやヴァリアーの人たちの様子を見れば嘘だとも思えない話。
先輩の攻撃は全て見切っていると豪語するスクアーロに。
「じゃあ、先輩の攻撃は全部」
当たらない、ってこと?
『聞いてねーな。そんな話』
「ッ!!」
考えれば考えるほど迫ってくる"絶望"の文字。
しかし、その絶望が一気に散布するかのように先輩の声が私の元へと届く。顔を上げれば傷を抑えながらも、諦めのみえない表情で立ち上がる先輩の姿がモニターに映し出されていた。
『オレの聞いた時雨蒼燕流は、完全無欠最強無敵なんでね』
その言葉に目を見開く。『バカか貴様は』と言われ、『やってみなきゃわかんねーって』と返す先輩。諦めない、諦めていないというような真っ直ぐとしたカッコ良さに、胸の奥がキラッと光る感覚がした。
『もう加減はしねぇぞぉ』
スクアーロの言葉を合図に再び戦いが動き出し、目にも止まらぬ早さでことが進んでいく。
柱の破片を飛ばして先輩の片目は潰されるし、スクアーロの衝撃波で動きが止まる先輩に、逃げて…!!なんて声にならない叫びが胸の中で響く。なんとか窮地を脱したかと思えば、止まらないスクアーロの猛攻に先輩は更なる傷を負って高い位置から水面へと打ち付けられてしまい。
見守れば見守る分だ胸がぎゅっと締め付けられる感覚を覚える。正直、スクリーン越しに展開される怒涛な戦いから目を逸らしたい気持ちになった。
だけど、逸らせない。
逸らしたらいけない、そんな気がしたんだ。
完全に動きが止まった先輩に、スクアーロが勝利を確信したかのように吠える。
『どぉしたぁ!!継承者は八つの型すべてを見せてくれたぜぇ。最後に八の型、秋雨を放ったと同時に無残に散ったがなぁ!!』
固唾を飲んで戦いの行く末を見守る。
見守ることしか、今はできない。
『ガキども!!』
スクアーロの声にビクッと体が反応したかと思えば、モニターに彼のアップが映し出されて『刀小僧の無様な最期を目ん玉かっぽじってよく見ておけぇ!!』と宣言される。グッと唇を噛み締め、私は祈るように両手を組んでスクリーンを見続けた。
スクリーンの画角が切り替わり今度は目を見開く。
水面に打ち付けられ立ち上がることなく動きを止めて居た先輩が。
立っていた。
立ち上がっていたんだ、フラフラした体で。
『寝ていろ!!そのままおろしてやるぞぉ!!』
もう終わりだ、最後だと言わんばかりの威勢で言い放つスクアーロに対し『そーはいかねーよ』と先輩が続ける。
『時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵だからな』
…本当、先輩の言動全てに何度もハッとさせられる。スクリーン越しの先輩はとてもフラフラしていて立っているのもやっとなはずなのに。
諦めてない。
諦めていないんだ、勝つことに。
瞬間、一気に駆け出していく先輩。『そのへらず口から切り落としてやるぞぉ!!』と再びスクアーロの猛攻が始まる。だけど、その攻撃から避けることなく先輩はただただ真っ直ぐに走り進んで。
『時雨蒼燕流…』
「山本、先輩っ」
『さぁ打てぇ!!秋雨を!!』
両者が同時に駆け込む。
「っ…!!」
ドッと音がして瞬間、宙を舞っていたのはー…スクアーロ。
水飛沫を立てて倒れるスクアーロにようやく先輩の技が決まったのだと実感する。グワッと込み上げる歓喜の気持ちにひとり、やった!とはしゃぐ中、スクリーンを見上げるヴァリアーの人たちやツーくんたちは驚きを隠せていないみたいで。
『貴様!!時雨蒼燕流以外の流派を使えるのかぁ!?』
『いんや。今のも時雨蒼燕流だぜ。八の型 篠突く雨はオヤジが作った型だ』
オヤジってことは山本先輩のお父さんが作った技?
流派だ、型だなんて話ははっきり言ってよく分かんないけれど要は先輩の攻撃がスクアーロに効いたってことだよね。そうだよね…!!
諦めず勝負に出た先輩の勇姿がとても眩しい。ハァハァと息を切らしながらも、確かに立っている先輩の姿に自然と目がキラキラ輝く。
『う゛お゛ぉい!!ガキ…正直ここまでやるとは思ってなかったぞ。だからこそその峰打ちは解せねぇ。真剣勝負を舐めやがって』
「峰打ち、」
スクアーロの言葉に目を凝らしてスクリーンを見つめる。注意深く見てみると確かに切り付けたはずのスクアーロには先輩のような深い傷はない。
峰打ちということはそういうことだ。あくまで先輩は相手を傷つけずに勝つということを選んでいる。それは彼もさっき言っていた。
「そうだよ」
ボソリとひとり確かめるように呟く。
確かに京子ちゃんのお兄さんの時だって、山本先輩の今の戦いだって二人は勝って"繋げること"を目標に頑張っていた。命を懸けてとチェルベッロは言っていたけど、彼らは、先輩たちは誰も死なせようなんて思ってない。
真剣勝負だけど、私たちは人を殺してまで勝つことを目標にしてるんじゃないんだ。
グッと戦いを見守る目にも力が入る。
『んじゃいってみっか。時雨蒼燕流 九の型』
『何だぁそのふざけた構えは。野球でもするつもりか!?』
『あいにく野球しとりえがないんでね』
この攻撃で全てが決まる。
『死ねぇ!!』
『いくぜ。時雨蒼燕流 攻式 九の型』
何となくだけど、直感的にそう思えて私は祈るようにゆっくりと手を組みスクリーンへと顔を上げた。この勝負を見逃さぬよう、しっかりとこの目に焼き付けるために。
・
・
帰り道ー…誰も居ない夜道をひとり歩く。
雨戦の勝敗は山本先輩の勝利で幕を閉じた。最後の攻撃、うつし雨を決めた先輩にスクアーロは敗れ私たちはようやく2つ目のリングを手にすることができた。
スクアーロの義手には一瞬ヒヤッとさせられたが、刺された先輩はどうやら偽物だったらしく無傷というわけではないけど『勝ったぜ』ってスクリーン越しに久しい彼の笑顔を見ることができたんだ。
そこまでは良かった。
そこまでは、良かったんだ。
問題はその後。
「………」
思い出すだけでも胸がムカムカする。うっと込み上げる吐き気に慌てて手で口を抑えて、グッと眉間に皺を寄せた。
『ざまぁねぇ!!負けやがった!!カスが!!』
あの男の…ザンザスとか言う男の声が、耳から離れない。
人の負けを盛大に笑い飛ばし、心配もしない。ましてや"用済みだ"と切り捨てていた。
「なんでっ」
全く理解できない。
一緒に戦ってきた仲間なんじゃないの…?
ザンザスだけじゃない。他の人たちもスクアーロの負けを笑っていた。手を掛けようかとも提案していたし、その座を仲間内で取り合ったりしていて…そんな彼らに全く理解ができなかった。
そしてもうひとつ。あの中に一人、全く表情を変えなかった人物もいて。
「ノーニス…っ」
笑いもせず悲しみもせず…ただただスクリーン越しに起こったことを見つめていただけの彼。
初対面の頃から表情がないと思っていたが、感情という感情を削ぎ落としたかのようなそれに、なんでなんとも思わないの?と悔しいような苛立つような思いが込み上げていた。
それにスクアーロは…勝敗が終わったにも関わらず、対戦場の構造で水位が基準値まで上がったら獰猛な海洋生物が放たれる仕掛けだったらしく。勝負に敗れた彼はその犠牲になってしまったのだ。
あれを見て、あれを目の当たりにして、あの表情?
彼は一体、あの時なにを思っていたの?
なにを思ってのあの表情なの…?
考えれば考えるほどどツボにハマる。結局はひとりでグルグル考えていても仕方がないこと。
全ては起こってしまった。もう元には、戻らない。
込み上げてきたものをグッと飲み込み、真っ直ぐに前を見据える。ゆっくりと息を大きく吸い込んで私は心に誓った。
もう逃げない。
晴れの戦からずっと目を背けてきた戦いー…今日の戦いでようやく私は前を向く決心をする。
みんなが繋いで繋いでようやくここまで来た。ピンチだった現状を、山本先輩が最後まで諦めないで明日の人へと繋いでくれた。明日は霧の守護者の人が戦う。
きっと、私の戦いも近い。
ー…すごく怖かったんだ。
憧れていた世界にいざ飛び込んでみれば、目の前にあった壁があまりにも高く立ちはだかっていて。私が飛び込もうとしている世界に場違い感を覚えて、すぐに逃げ出してしまった。
でも、この戦いはひとりじゃない。
みんながみんなを思い、繋いで、戦っている。
これは個人戦のようで、団体戦。
それに、命を落としてまでの勝負なんてこちら側は誰一人していない。あの優しいツーくんたちがするはずなかったんだ。思い返せば、本当にひとり逃げていた自分が恥ずかしい。
「明日ビアンキさんに謝って、一日中修行してもらおう」
明日の戦いは見に行かない。逃げるんじゃなくて、今は一分一秒がとても惜しい。
自分が決めた道だ。もう逃げたりなんかしない。
私もこの戦いに挑んで勝ちに行く。
ここまで繋いだ、みんなのために。
ー続くー