天星"てんせい"の守護者【リング争奪戦編】
主人公の名前変更
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昨晩だけで色々あり過ぎたー…ランボが雷の守護者で、ヴァリアーの人に狙われて。ようやく助けられたと思ったらヴァリアーと対面して、ガチンコ勝負をしろって言われるし、命を賭けてって物騒な事は言われるし。何もかもが追い付かない。
挙句の果てに"天星の守護者"っていう全く聞かされていない8人目の守護者の話は出てくるし、それに選ばれたのがー…オレの妹だなんて。
寝て起きたら、全てが夢であって欲しかった。
だけど現実はそうはいかないみたいで。寝起き早々にリボーンへ当たり散らしても、アイツはアイツで「こっちが聞きてー」と返すだけ。
父さんに的を変えても、結局はオレたちみんな殺られるってリボーンに言われてしまえば返す言葉もなくなってヤケになってしまった。
修行に行きたくない!あんなの無駄だよ!と吠えれば珍しくリボーンは「そうか」とだけ返して、オレの部屋を後にする。
「学校には行けよ」と続けるアイツに拍子抜けしながらオレは学校へ向かう支度をした。
*
支度ができて部屋を出る。するとタイミングが合ったのか、ミツも部屋から出てきてオレを見るなり「あっ」と軽く目を見開いて次いでフイっと視線を逸らした。
いつからだ。
それこそ1週間程前になるだろうか。
ロン毛が襲撃してきたあの日からミツの様子がおかしかった。どこか元気はないし、姿を見かけたかと思えば浮かない顔をして毎日を過ごしていた。
何かあったのは一目瞭然。だけど、理由を聞き出すのはなんだか気が引けて。今の今まで気まずい空気を引き摺っている。
「ミツ」
声を掛ける前に彼女はオレに背を向けて1階へと駆け下り、そのまま飯を食べることなく外へと出て行ってしまった。リビングへ向かうとリボーンの姿がない。
「ツナ、ミーちゃん今日から朝練なの?」
「え?いや…オレはなにも」
「そう。朝練だって言ってくれたら早くお弁当作ったのに、あの子ったら」
ブツブツ言う母さんの言葉を聞き流しながらオレは用意された朝食の前に腰掛けて「いただきます」と手を合わせた。
・
・
昨日のことを引き摺って登校するも、獄寺くんや山本と出会ったらなんだか気持ちが落ち着いてきて、家を出てから生まれていた変な震えも気付けば無くなっていた。
そして話題は今日一緒に登校していないミツのことー…ミツの姿がないことにいち早く気付いた山本が「光奈ちゃんは?」と聞いてきたのがきっかけ。オレはオレでミツがどこで何をしてるのか全然知らないから曖昧に返すことしかできなかった。
「しっかし、天星の守護かぁ…」
「うん。7つを守護する守護者」
「天星の守護者なんて初耳ッスよ、オレ」
「獄寺くんがそうならあの人たちが言うように本当に"幻の守護者"なのかな」
「まさかそれに光奈ちゃんがな」
「………」
言葉を無くすオレに次いで二人も口を閉ざしてしまう。
「話はしたのか?」
「え」
山本に問われ思わず聞き返す。振り返ってみれば会話らしい会話をここ最近していない。
「いや」
「一度、話してみたらいいんじゃね?」
「え」
「そうッスよ10代目!妹様も何か抱えているかもしれませんし」
「………」
「それにさ、ツナも思ってること言ったらいいと思うぜ?」
山本と獄寺くんに諭され、それもそうだ、と思い直す。今日話ができるといいな、と思いながらオレたちは学校へと歩みを続けた。
・
・
京子ちゃんと京子ちゃんのお兄さん二人と話をして、それぞれの思い・それぞれの過去に触れた。
京子ちゃんがお兄さんを心配する気持ち、お兄さんが京子ちゃんを心配かけたくない気持ちー…このふたつの思いが、今のオレとミツにもどこか関係ありそうな気がしてならなかった。
黒曜中との一件の後、しばらくミツは浮かない顔をして日々を送っていた。そりゃあボロボロになったオレたちを見てなんとも思わない方がおかしいと思う。ミツはよくオレを見てるんだ。きっと、今日の京子ちゃんみたいに。
オレは…当時も今も、ミツに心配なんてかけたくなかった。
ミツが絡んで彼女の心の傷になるようなものを作りたくない。ましてやボンゴレだマフィアだなんて物騒な世界にミツは似合わないんだ。
父さん母さんが大好きで、こんなダメダメなオレのことも"ツーくん"と呼んで、兄としてちゃんと慕ってくれる。最近になって恋愛というものにも触れだして、オレと同じ気持ちを共有できるようになってー…。
眩しい笑顔を顔いっぱいに咲かせて、平和の中を生きる方が彼女には合っているんだ。
だから、オレはあの時ー…チェルベッロとか言う女性二人から天星の守護者としてミツの名前が上がった時、すごくショックを受けた。
「…まだ、間に合うよな」
今からでも遅くない。
ふと時刻を確認し自室の扉の方へと目を向ける。「ランボも連れて行け」というリボーンに「嘘だろ?!」と返しながら、ふと過ぎるミツのことについてオレは噛み締めるようにリボーンへ訴えた。
「なぁリボーン」
「ん。なんだ」
「ミツも、行かないといけないの?」
「あぁ。幻とは言え守護者の一人だからな」
「…オレ、行かせたくないよ」
「………」
「ミツは、普通の女の子なんだ。それこそ獄寺くんや山本、京子ちゃんのお兄さんや雲雀さんとは違う。ランボも…5歳だけど、マフィアとかボンゴレとかよく分からない世界にミツを入れたくない」
「だけど、アイツは選ばれたんだぞ」
「父さんからじゃないんだろ?!9代目って人からでも無さそうだったし…いろいろ曖昧だし、いい加減なまま大事な妹を危険な目に遭わせられないよ」
そういうオレに、リボーンはしばらく口を噤んで「おまえが決めろ」とだけ言う。リボーンがそう言うならあとは言葉通りだ。
オレが決めるしかない。
「第一、なんでオレがこんな状況に巻き込まれなきゃならないんだよ!!他に強い人だっているだろ!?」
ふと思い出すようにオレはリボーンへ問い掛ける。だが、そんなオレに対してリボーンは「勘違いすんな」と極めて冷静に返した。
「ただXANXUS達を阻むために家光はそのリングを託したんじゃねーぞ。おまえが後継者にふさわしいと思ったから託したんだ」
「ッ」
「……時間までに光奈と話しておけよ」
そう言って背中を向けるリボーンに少し呆然としながらも、オレはすぐに思い出したかのように意を決してミツの部屋へと足を向けた。
・
・
「ど、どうしたのツーくん」
彼女の部屋の扉をノックして開けた先、入ってきたオレを見つめ固まるミツ。オレが入ってきたことに緊張でもしているのか彼女の表情はとても固かった。
ふと辺りを見れば、彼女の手元には例の指輪が握り込まれ、彼女の鞄には昨日まで見た事のない新しい新体操のクラブが突き刺さっている。しばらくそれを見つめ何も言わないオレに痺れを切らしたのか、ミツはその鞄を手にし動き出そうとする。
並盛中学へ行こうとしているのであろう彼女の行動を受け、オレは「ミツ」と口を開いた。
「その指輪、オレに渡して」
ミツの動きが止まる。オレの言葉が理解できないのか目だけがゆっくり見開いていった。
「ミツの持ってる指輪。オレに渡して」
手を差し出し訴えるオレに反し、彼女はなぜ?と言わんばかりの表情でオレを見返す。手に持つ指輪は一向にこちらへ渡ろうとしない。
「その指輪。今日、あの人たちに返すから」
今のうちに返すんだ。
彼女が深くこちらの世界へ飛び込んでしまうその前に。
「ミツは関係ないんだよ」
ミツには関係がない。
そう、関係ないはずなんだ。
「ミツがこんな事に巻き込まれる必要なんて無いんだよ!ボンゴレだマフィアだなんて、元々オレは反対なんだ!こんな戦いに参加する必要なんて」
「巻き込まれる必要ないって、なんで私だけに言うの?」
突如遮られるオレの言葉。遮った彼女の言葉・声は、なんだかとても震えていた。
「っ、ミツは」
「女の子だから?最近まで中学生じゃなかったから?!」
「そうじゃなくて」
線がぶつんと切れたようにミツが声を荒らげて吠えかかる。
「じゃあなに?!獄寺さんや山本先輩は良くて!!なんで私だけ参加しちゃダメなの?!」
「オレはミツを危険な目に!」
「危険な目にってなに!?今日、ビアンキさんと初めて修行したけど、ツーくんたちはあれ以上のことをしてるんでしょ?!」
「ッ」
こちらの話を聞こうとしない、聞く耳をもとうとしない。ただただ彼女の中に眠っていた怒り・悲しみが溢れ出るかのように言葉となってオレへと向かう。
「関係ないって突き放さないで!!私だって、みんなの力になりたい…!!選ばれたんだよ?!天星の守護者に!!私、選ばれたの!!」
「なぁミツ!!」
「毎日ツーくんがボロボロになって帰って来てるの知ってる!!何してるかなんてもう分かってる!!ママや京子ちゃんたちは騙せても、私は騙されないッ!!」
「聞けって!!」
「ツーくんたちが頑張って、私だけが頑張らないなんてイヤ!!」
「ッ」
はぁ…はぁ…と肩で呼吸をしながらミツは胸の内を訴え終える。最後の言葉は、悲痛な叫びに近いものを感じた。
ミツの中で…彼女の中で、いろんな気持ちを抱え、苦しんで、今を選んだ。そう感じた気がしたんだ。
「ミツっ」
よく見れば彼女の目尻には涙が滲んでいる。
「私、行くから」
そう言ってオレを押し退け出て行ったミツを慌てて追い掛ける。
話すことなんてない。
かける言葉が見当たらなかった。
オレは、どうしたらよかったんだろう。
答えは見つからないままオレたちは並盛中学校へと辿り着いた。
挙句の果てに"天星の守護者"っていう全く聞かされていない8人目の守護者の話は出てくるし、それに選ばれたのがー…オレの妹だなんて。
寝て起きたら、全てが夢であって欲しかった。
だけど現実はそうはいかないみたいで。寝起き早々にリボーンへ当たり散らしても、アイツはアイツで「こっちが聞きてー」と返すだけ。
父さんに的を変えても、結局はオレたちみんな殺られるってリボーンに言われてしまえば返す言葉もなくなってヤケになってしまった。
修行に行きたくない!あんなの無駄だよ!と吠えれば珍しくリボーンは「そうか」とだけ返して、オレの部屋を後にする。
「学校には行けよ」と続けるアイツに拍子抜けしながらオレは学校へ向かう支度をした。
*
支度ができて部屋を出る。するとタイミングが合ったのか、ミツも部屋から出てきてオレを見るなり「あっ」と軽く目を見開いて次いでフイっと視線を逸らした。
いつからだ。
それこそ1週間程前になるだろうか。
ロン毛が襲撃してきたあの日からミツの様子がおかしかった。どこか元気はないし、姿を見かけたかと思えば浮かない顔をして毎日を過ごしていた。
何かあったのは一目瞭然。だけど、理由を聞き出すのはなんだか気が引けて。今の今まで気まずい空気を引き摺っている。
「ミツ」
声を掛ける前に彼女はオレに背を向けて1階へと駆け下り、そのまま飯を食べることなく外へと出て行ってしまった。リビングへ向かうとリボーンの姿がない。
「ツナ、ミーちゃん今日から朝練なの?」
「え?いや…オレはなにも」
「そう。朝練だって言ってくれたら早くお弁当作ったのに、あの子ったら」
ブツブツ言う母さんの言葉を聞き流しながらオレは用意された朝食の前に腰掛けて「いただきます」と手を合わせた。
・
・
昨日のことを引き摺って登校するも、獄寺くんや山本と出会ったらなんだか気持ちが落ち着いてきて、家を出てから生まれていた変な震えも気付けば無くなっていた。
そして話題は今日一緒に登校していないミツのことー…ミツの姿がないことにいち早く気付いた山本が「光奈ちゃんは?」と聞いてきたのがきっかけ。オレはオレでミツがどこで何をしてるのか全然知らないから曖昧に返すことしかできなかった。
「しっかし、天星の守護かぁ…」
「うん。7つを守護する守護者」
「天星の守護者なんて初耳ッスよ、オレ」
「獄寺くんがそうならあの人たちが言うように本当に"幻の守護者"なのかな」
「まさかそれに光奈ちゃんがな」
「………」
言葉を無くすオレに次いで二人も口を閉ざしてしまう。
「話はしたのか?」
「え」
山本に問われ思わず聞き返す。振り返ってみれば会話らしい会話をここ最近していない。
「いや」
「一度、話してみたらいいんじゃね?」
「え」
「そうッスよ10代目!妹様も何か抱えているかもしれませんし」
「………」
「それにさ、ツナも思ってること言ったらいいと思うぜ?」
山本と獄寺くんに諭され、それもそうだ、と思い直す。今日話ができるといいな、と思いながらオレたちは学校へと歩みを続けた。
・
・
京子ちゃんと京子ちゃんのお兄さん二人と話をして、それぞれの思い・それぞれの過去に触れた。
京子ちゃんがお兄さんを心配する気持ち、お兄さんが京子ちゃんを心配かけたくない気持ちー…このふたつの思いが、今のオレとミツにもどこか関係ありそうな気がしてならなかった。
黒曜中との一件の後、しばらくミツは浮かない顔をして日々を送っていた。そりゃあボロボロになったオレたちを見てなんとも思わない方がおかしいと思う。ミツはよくオレを見てるんだ。きっと、今日の京子ちゃんみたいに。
オレは…当時も今も、ミツに心配なんてかけたくなかった。
ミツが絡んで彼女の心の傷になるようなものを作りたくない。ましてやボンゴレだマフィアだなんて物騒な世界にミツは似合わないんだ。
父さん母さんが大好きで、こんなダメダメなオレのことも"ツーくん"と呼んで、兄としてちゃんと慕ってくれる。最近になって恋愛というものにも触れだして、オレと同じ気持ちを共有できるようになってー…。
眩しい笑顔を顔いっぱいに咲かせて、平和の中を生きる方が彼女には合っているんだ。
だから、オレはあの時ー…チェルベッロとか言う女性二人から天星の守護者としてミツの名前が上がった時、すごくショックを受けた。
「…まだ、間に合うよな」
今からでも遅くない。
ふと時刻を確認し自室の扉の方へと目を向ける。「ランボも連れて行け」というリボーンに「嘘だろ?!」と返しながら、ふと過ぎるミツのことについてオレは噛み締めるようにリボーンへ訴えた。
「なぁリボーン」
「ん。なんだ」
「ミツも、行かないといけないの?」
「あぁ。幻とは言え守護者の一人だからな」
「…オレ、行かせたくないよ」
「………」
「ミツは、普通の女の子なんだ。それこそ獄寺くんや山本、京子ちゃんのお兄さんや雲雀さんとは違う。ランボも…5歳だけど、マフィアとかボンゴレとかよく分からない世界にミツを入れたくない」
「だけど、アイツは選ばれたんだぞ」
「父さんからじゃないんだろ?!9代目って人からでも無さそうだったし…いろいろ曖昧だし、いい加減なまま大事な妹を危険な目に遭わせられないよ」
そういうオレに、リボーンはしばらく口を噤んで「おまえが決めろ」とだけ言う。リボーンがそう言うならあとは言葉通りだ。
オレが決めるしかない。
「第一、なんでオレがこんな状況に巻き込まれなきゃならないんだよ!!他に強い人だっているだろ!?」
ふと思い出すようにオレはリボーンへ問い掛ける。だが、そんなオレに対してリボーンは「勘違いすんな」と極めて冷静に返した。
「ただXANXUS達を阻むために家光はそのリングを託したんじゃねーぞ。おまえが後継者にふさわしいと思ったから託したんだ」
「ッ」
「……時間までに光奈と話しておけよ」
そう言って背中を向けるリボーンに少し呆然としながらも、オレはすぐに思い出したかのように意を決してミツの部屋へと足を向けた。
・
・
「ど、どうしたのツーくん」
彼女の部屋の扉をノックして開けた先、入ってきたオレを見つめ固まるミツ。オレが入ってきたことに緊張でもしているのか彼女の表情はとても固かった。
ふと辺りを見れば、彼女の手元には例の指輪が握り込まれ、彼女の鞄には昨日まで見た事のない新しい新体操のクラブが突き刺さっている。しばらくそれを見つめ何も言わないオレに痺れを切らしたのか、ミツはその鞄を手にし動き出そうとする。
並盛中学へ行こうとしているのであろう彼女の行動を受け、オレは「ミツ」と口を開いた。
「その指輪、オレに渡して」
ミツの動きが止まる。オレの言葉が理解できないのか目だけがゆっくり見開いていった。
「ミツの持ってる指輪。オレに渡して」
手を差し出し訴えるオレに反し、彼女はなぜ?と言わんばかりの表情でオレを見返す。手に持つ指輪は一向にこちらへ渡ろうとしない。
「その指輪。今日、あの人たちに返すから」
今のうちに返すんだ。
彼女が深くこちらの世界へ飛び込んでしまうその前に。
「ミツは関係ないんだよ」
ミツには関係がない。
そう、関係ないはずなんだ。
「ミツがこんな事に巻き込まれる必要なんて無いんだよ!ボンゴレだマフィアだなんて、元々オレは反対なんだ!こんな戦いに参加する必要なんて」
「巻き込まれる必要ないって、なんで私だけに言うの?」
突如遮られるオレの言葉。遮った彼女の言葉・声は、なんだかとても震えていた。
「っ、ミツは」
「女の子だから?最近まで中学生じゃなかったから?!」
「そうじゃなくて」
線がぶつんと切れたようにミツが声を荒らげて吠えかかる。
「じゃあなに?!獄寺さんや山本先輩は良くて!!なんで私だけ参加しちゃダメなの?!」
「オレはミツを危険な目に!」
「危険な目にってなに!?今日、ビアンキさんと初めて修行したけど、ツーくんたちはあれ以上のことをしてるんでしょ?!」
「ッ」
こちらの話を聞こうとしない、聞く耳をもとうとしない。ただただ彼女の中に眠っていた怒り・悲しみが溢れ出るかのように言葉となってオレへと向かう。
「関係ないって突き放さないで!!私だって、みんなの力になりたい…!!選ばれたんだよ?!天星の守護者に!!私、選ばれたの!!」
「なぁミツ!!」
「毎日ツーくんがボロボロになって帰って来てるの知ってる!!何してるかなんてもう分かってる!!ママや京子ちゃんたちは騙せても、私は騙されないッ!!」
「聞けって!!」
「ツーくんたちが頑張って、私だけが頑張らないなんてイヤ!!」
「ッ」
はぁ…はぁ…と肩で呼吸をしながらミツは胸の内を訴え終える。最後の言葉は、悲痛な叫びに近いものを感じた。
ミツの中で…彼女の中で、いろんな気持ちを抱え、苦しんで、今を選んだ。そう感じた気がしたんだ。
「ミツっ」
よく見れば彼女の目尻には涙が滲んでいる。
「私、行くから」
そう言ってオレを押し退け出て行ったミツを慌てて追い掛ける。
話すことなんてない。
かける言葉が見当たらなかった。
オレは、どうしたらよかったんだろう。
答えは見つからないままオレたちは並盛中学校へと辿り着いた。