天星"てんせい"の守護者【リング争奪戦編】
主人公の名前変更
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朝起きた瞬間から自室にはご飯の香ばしい匂いが漂っていた。2階にまで香るこの匂いが不思議で、まだまだ眠たい目を擦りながらリビングへと足を向ける。
「おはよ………わっ」
リビングを覗けば豪華なご馳走がずらりとテーブルへ並んでいる。これを作ったであろう張本人へ視線を向ければ、彼女はご機嫌そうに鼻歌を奏でてまだ足りないとばかりにご馳走を作っていた。リボーンくんやビアンキさんは既に椅子に座っていて、私を見るなり「ちゃおっす」「おはよう」とモグモグ口を動かしながら挨拶をしてくれた。
「おはよー」
朝一番の不思議な光景に気を取られていると階段から声が聞こえてくる。どうやらツーくんが起きてきたみたいで、リビングへやって来ると「うわ、なにこれ?!」と目を見開いて私の方へと顔を向けてきた。
「私も起きたばかりで何がなんだか」
「朝から上機嫌なのよママン。ツナ、昨日なにかいいことでもあったの?」
「え…?昨日は…」
ビアンキさんに聞かれ昨日のことを思い出すツーくんは軽く百面相しながら「いや、昨日も普通にダメライフだったけど…」と返す。「ミツは?」と問われ昨日のことを振り返ってみるも、こちらもこれ!と言った思い当たる節はない。
あるとするならママと一緒に山本先輩へのおにぎりを手作りして、食べて貰って喜んでもらった、という事ぐらい。
「ううん。特には」
「だよなー」
大きなため息をつくツーくんを横目に、未だ上機嫌に料理をするママを見つめる。ママ、と呼んでみてもこちらの声は全然届いていない様子で。
「母さん!!」
代わりにツーくんが声を張ってママを呼んでくれた。ツーくんの声にようやく反応してくれたママは、何をそんなに浮かれているのか持っている包丁をブンブンと振り回す勢いで私たちに答えてくれた。
「危ない危ない!!包丁危ないって!!」
「ママ、朝からこんなにご飯作ってどうしたの?」
「えぇ?あ、そうだ!ツーくんたちにはまだ話してなかったわね」
「へ?」
「え、なに?」
もったいぶって笑うママにツーくんは早く言ってよ、と顔を顰める。そう言えば今日ツーくんたちは補習があるって言ってたような気がする。時間も時間だし、私もママがこんなにご機嫌な理由を早く知りたい。
「2年振りにお父さんが帰ってくるって!」
「え」
「は…ええぇぇえ?!?!」
聞き間違いでなければ、今パパが帰ってくるって言った?
本当に…?!と嬉しくなる私とは対照的にツーくんは凄く驚いた様子で「見つかったんだ!あの人!」と母さんに問い掛けていた。
「見つかったって、なに言ってるのツーくん」
「なにって覚えてないのミツ?!言ってたじゃないか昔、あの人蒸発したって…」
「やーねー!ツナったら!」
どうやらママの話によるとパパは家をしばらく空ける前に、私たちには"星になったと伝えてくれ"と頼んでいたらしい。2年前のことなんて結構最近なはずなのに、その話は私の頭から完全に抜け落ちていたみたいで、意外に記憶力のいいツーくんに感心してしまった。
「そんなの納得できるかー!!」とママに返しながら、もう時間だしオレ行ってくる!!と鞄を持って走って行くツーくんを見送る。
「慌ただしいわね」
「全くだ。光奈、お前も食べるか?」
ツーくんが行ってしまい、一人残され立ち尽くす私をビアンキさんとリボーンくんが誘ってくれる。「うん、じゃあ食べよっかな」とリボーンくんの隣に腰掛けていただきます、と手を合わせた。
・
・
時刻は昼過ぎー…私は今、ツーくんや獄寺さん、京子ちゃんやハルちゃん、ランボくん、イーピンちゃんにフゥ太くん、そして山本先輩といった大所帯で遊びに来ていた。
こうなったのはつい先程、ツーくんたちから「遊びに行かない?」と声が掛かったのがきっかけ。補習は?と聞いたら、山本先輩が「たまにはいーかなって。息抜きも大事だろ?」と言ったんだ。ふとツーくんを見るとどこか浮かない顔をしていて、なんとなくのことを(本当になんとなくだけど)察し「じゃあ行く」と答えた。
「ハルたちもお声が掛かるなんて!」
「ふふふっ、そうだね」
「僕、ゲームセンター行きたい!!」
「おっ、勝負すっか?」
「負けねーぞコラ!!」
「アハハ!それはオレもな。あ、光奈ちゃんも行くか?」
「え、あ、はい!!」
山本先輩に誘われゲームセンターでカーレースをしたり、エアホッケーをしたりして楽しい時間を過ごす。2対2のゲームでは意図されてかどうかは分からないけど山本先輩と組まされることが多くて、ゲームに勝つとハイタッチしてくれたり、子供のように「勝ったな!」って喜んでくれる彼を見るのが嬉しかった。
だけど、度々居なくなるランボくんにツーくんと二人でどこどこ?!と慌ただしく探したり、お店の人に迷惑を掛けて二人で頭下げて謝ってる姿を見られるのは正直恥ずかしかった。
この気持ちはどうやらツーくんも一緒みたいで、私と目が合えば「ごめんなミツ」と小さく笑って謝った。
「ううん、私の方こそごめんね」
「いやいいよ。全てはランボのせいだから、全く…」
「そんなこと言ったらまた…」
「ああああああ!!ごめんなさい!!ランボ様ー!!」
*
ようやくひと息着く頃には、結構遊び尽くした感じがあって軽く小腹が空いてくる。喉が渇いた!と騒ぐランボくんに飲み物を渡して、零さないように見守りながら私も何かお腹に入れようかな…と考え辺りを見回した。
「何かいるか?」
不意に声が掛かり顔を上げるとリボーンくんを肩に乗せた山本先輩が私へと問い掛ける。どうやら私の欲しいものを買いに行ってくれようとしているらしい。しかし何も考えを用意していなかった私は「え、あ」と言葉に詰まってしまった。
「だ、大丈夫です!自分で買いに」
「ランボが気になるならオレが見とくよ」
ようやく返事を返せたと思ったらツーくんが被せるように提案する。そんなツーくんを今度は見上げると、私を気にかけているということが分かるほどの優しい笑みを浮かべて小さく頷いた。彼の優しさに素直に甘えることにし、席を立って山本先輩の近くへ歩み寄る。
「すぐそこだからな」
「うん、オレも後ですぐ行くね」
行ってきます、とツーくんに手を振って山本先輩と隣合い売店へ向かう。今度は何すっかな!と楽しそうに言う先輩に相槌を返しながら会話に花を咲かせた。
「光奈ちゃん結構ゲームするの得意だよな!」
「ツーくんとよく一緒にしてるので」
「なるほどなー!正直強くて驚いたぜ」
「そ、そんなことないですよ!今回なんてたまたま」
「またゲーセン行ったら絶対チーム組もうな!」
「!!」
サラッと次を約束してくれる山本先輩に心がときめく。じんわりとあたたかくなる胸元へ無意識に片手を当てて、早くなる鼓動を抑えようと小さく深呼吸を繰り返した。
「山本、オレはこれを買うぞ」
「あいよー」
そんな私なんかお構いなしに先輩とリボーンくんは自分の欲しいものを買っていて、その光景を見てるだけなのになぜか幸せを感じることができた。
ドゴォッッ!!!!
「え」
「?!」
しかし、その幸せは束の間。
突然の爆撃音と共に慌ただしくなる人々。反射的に駆け出す先輩の後を追って、私も慌てて彼の背中を追った。
立ち込める土煙の中、僅かに晴れて見えてきたのはー…ツーくんと同じような炎を額から出している男の子と、その彼の下敷きになっているツーくん。
そして、
「なんだぁ?外野がゾロゾロとぉ」
「だ、誰…あの人」
長い白銀色の髪をした男の、人。
「邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ!!」
ただならぬ雰囲気にビリビリと肌が痛痒くなっていくのを感じる。
「嵐の予感だな」
ぼそりとリボーンくんが呟いた。瞬間脳裏を駆け巡ったのは、記憶に根付いているあの日の出来事ー…また訪れようとしている不穏を僅かながらに感じた。
ー続くー
「おはよ………わっ」
リビングを覗けば豪華なご馳走がずらりとテーブルへ並んでいる。これを作ったであろう張本人へ視線を向ければ、彼女はご機嫌そうに鼻歌を奏でてまだ足りないとばかりにご馳走を作っていた。リボーンくんやビアンキさんは既に椅子に座っていて、私を見るなり「ちゃおっす」「おはよう」とモグモグ口を動かしながら挨拶をしてくれた。
「おはよー」
朝一番の不思議な光景に気を取られていると階段から声が聞こえてくる。どうやらツーくんが起きてきたみたいで、リビングへやって来ると「うわ、なにこれ?!」と目を見開いて私の方へと顔を向けてきた。
「私も起きたばかりで何がなんだか」
「朝から上機嫌なのよママン。ツナ、昨日なにかいいことでもあったの?」
「え…?昨日は…」
ビアンキさんに聞かれ昨日のことを思い出すツーくんは軽く百面相しながら「いや、昨日も普通にダメライフだったけど…」と返す。「ミツは?」と問われ昨日のことを振り返ってみるも、こちらもこれ!と言った思い当たる節はない。
あるとするならママと一緒に山本先輩へのおにぎりを手作りして、食べて貰って喜んでもらった、という事ぐらい。
「ううん。特には」
「だよなー」
大きなため息をつくツーくんを横目に、未だ上機嫌に料理をするママを見つめる。ママ、と呼んでみてもこちらの声は全然届いていない様子で。
「母さん!!」
代わりにツーくんが声を張ってママを呼んでくれた。ツーくんの声にようやく反応してくれたママは、何をそんなに浮かれているのか持っている包丁をブンブンと振り回す勢いで私たちに答えてくれた。
「危ない危ない!!包丁危ないって!!」
「ママ、朝からこんなにご飯作ってどうしたの?」
「えぇ?あ、そうだ!ツーくんたちにはまだ話してなかったわね」
「へ?」
「え、なに?」
もったいぶって笑うママにツーくんは早く言ってよ、と顔を顰める。そう言えば今日ツーくんたちは補習があるって言ってたような気がする。時間も時間だし、私もママがこんなにご機嫌な理由を早く知りたい。
「2年振りにお父さんが帰ってくるって!」
「え」
「は…ええぇぇえ?!?!」
聞き間違いでなければ、今パパが帰ってくるって言った?
本当に…?!と嬉しくなる私とは対照的にツーくんは凄く驚いた様子で「見つかったんだ!あの人!」と母さんに問い掛けていた。
「見つかったって、なに言ってるのツーくん」
「なにって覚えてないのミツ?!言ってたじゃないか昔、あの人蒸発したって…」
「やーねー!ツナったら!」
どうやらママの話によるとパパは家をしばらく空ける前に、私たちには"星になったと伝えてくれ"と頼んでいたらしい。2年前のことなんて結構最近なはずなのに、その話は私の頭から完全に抜け落ちていたみたいで、意外に記憶力のいいツーくんに感心してしまった。
「そんなの納得できるかー!!」とママに返しながら、もう時間だしオレ行ってくる!!と鞄を持って走って行くツーくんを見送る。
「慌ただしいわね」
「全くだ。光奈、お前も食べるか?」
ツーくんが行ってしまい、一人残され立ち尽くす私をビアンキさんとリボーンくんが誘ってくれる。「うん、じゃあ食べよっかな」とリボーンくんの隣に腰掛けていただきます、と手を合わせた。
・
・
時刻は昼過ぎー…私は今、ツーくんや獄寺さん、京子ちゃんやハルちゃん、ランボくん、イーピンちゃんにフゥ太くん、そして山本先輩といった大所帯で遊びに来ていた。
こうなったのはつい先程、ツーくんたちから「遊びに行かない?」と声が掛かったのがきっかけ。補習は?と聞いたら、山本先輩が「たまにはいーかなって。息抜きも大事だろ?」と言ったんだ。ふとツーくんを見るとどこか浮かない顔をしていて、なんとなくのことを(本当になんとなくだけど)察し「じゃあ行く」と答えた。
「ハルたちもお声が掛かるなんて!」
「ふふふっ、そうだね」
「僕、ゲームセンター行きたい!!」
「おっ、勝負すっか?」
「負けねーぞコラ!!」
「アハハ!それはオレもな。あ、光奈ちゃんも行くか?」
「え、あ、はい!!」
山本先輩に誘われゲームセンターでカーレースをしたり、エアホッケーをしたりして楽しい時間を過ごす。2対2のゲームでは意図されてかどうかは分からないけど山本先輩と組まされることが多くて、ゲームに勝つとハイタッチしてくれたり、子供のように「勝ったな!」って喜んでくれる彼を見るのが嬉しかった。
だけど、度々居なくなるランボくんにツーくんと二人でどこどこ?!と慌ただしく探したり、お店の人に迷惑を掛けて二人で頭下げて謝ってる姿を見られるのは正直恥ずかしかった。
この気持ちはどうやらツーくんも一緒みたいで、私と目が合えば「ごめんなミツ」と小さく笑って謝った。
「ううん、私の方こそごめんね」
「いやいいよ。全てはランボのせいだから、全く…」
「そんなこと言ったらまた…」
「ああああああ!!ごめんなさい!!ランボ様ー!!」
*
ようやくひと息着く頃には、結構遊び尽くした感じがあって軽く小腹が空いてくる。喉が渇いた!と騒ぐランボくんに飲み物を渡して、零さないように見守りながら私も何かお腹に入れようかな…と考え辺りを見回した。
「何かいるか?」
不意に声が掛かり顔を上げるとリボーンくんを肩に乗せた山本先輩が私へと問い掛ける。どうやら私の欲しいものを買いに行ってくれようとしているらしい。しかし何も考えを用意していなかった私は「え、あ」と言葉に詰まってしまった。
「だ、大丈夫です!自分で買いに」
「ランボが気になるならオレが見とくよ」
ようやく返事を返せたと思ったらツーくんが被せるように提案する。そんなツーくんを今度は見上げると、私を気にかけているということが分かるほどの優しい笑みを浮かべて小さく頷いた。彼の優しさに素直に甘えることにし、席を立って山本先輩の近くへ歩み寄る。
「すぐそこだからな」
「うん、オレも後ですぐ行くね」
行ってきます、とツーくんに手を振って山本先輩と隣合い売店へ向かう。今度は何すっかな!と楽しそうに言う先輩に相槌を返しながら会話に花を咲かせた。
「光奈ちゃん結構ゲームするの得意だよな!」
「ツーくんとよく一緒にしてるので」
「なるほどなー!正直強くて驚いたぜ」
「そ、そんなことないですよ!今回なんてたまたま」
「またゲーセン行ったら絶対チーム組もうな!」
「!!」
サラッと次を約束してくれる山本先輩に心がときめく。じんわりとあたたかくなる胸元へ無意識に片手を当てて、早くなる鼓動を抑えようと小さく深呼吸を繰り返した。
「山本、オレはこれを買うぞ」
「あいよー」
そんな私なんかお構いなしに先輩とリボーンくんは自分の欲しいものを買っていて、その光景を見てるだけなのになぜか幸せを感じることができた。
ドゴォッッ!!!!
「え」
「?!」
しかし、その幸せは束の間。
突然の爆撃音と共に慌ただしくなる人々。反射的に駆け出す先輩の後を追って、私も慌てて彼の背中を追った。
立ち込める土煙の中、僅かに晴れて見えてきたのはー…ツーくんと同じような炎を額から出している男の子と、その彼の下敷きになっているツーくん。
そして、
「なんだぁ?外野がゾロゾロとぉ」
「だ、誰…あの人」
長い白銀色の髪をした男の、人。
「邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ!!」
ただならぬ雰囲気にビリビリと肌が痛痒くなっていくのを感じる。
「嵐の予感だな」
ぼそりとリボーンくんが呟いた。瞬間脳裏を駆け巡ったのは、記憶に根付いているあの日の出来事ー…また訪れようとしている不穏を僅かながらに感じた。
ー続くー