⚰️ 人魚姫パロ ※童話パロ夢
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ある夜のことです。
海の中にある人魚の王国の末の姫は、嵐に遭い船から投げ出されてしまった王子様を助けました。
人魚には、決して人間に見つかってはならないという掟があります。人間たちは人魚の肉を食べると不老不死になれるという噂を信じていて、捕まれば食べられてしまう、だから人間には絶対に姿を見られてはいけないのだと、姫は幼い頃から周囲に言い聞かせられて育ちました。
しかし心の優しい人魚姫には、目の前で海に落ちてしまった王子様を見捨てることができませんでした。姫は気を失った王子様を連れて、荒れ狂う波の中を懸命に泳ぎました。
なんとか陸へとたどり着いて王子様を砂浜へ寝かせると、すっかり夜が明けていました。水平線から朝日が少しずつ顔を出していきます。
その時でした。陽の光に気がついたのか、王子様の瞳がゆっくりと開いたのです。
「(!?いけない、見られてしまう!)」
人魚姫は掟のことを思い出してどきりとしました。遠くから人間たちが数名、こちらへ向かってくるのも見えます。王子様を探しにやって来た大臣や兵士たちです。
姫は慌てて海に飛び込んで、近くにあった岩の陰に隠れました。
「イソップ王子!ご無事でしたか!」
「ここは…海岸…?あ、あの…近くで、女性を見ませんでしたか?たぶん、その方に助けていただいたんです」
「…?女性ですか?いえ、辺りには誰もいませんが…」
「…そうですか…」
目を覚ました王子様ーーイソップは大臣と兵士たちにそう尋ねましたが、誰も人魚姫の姿を見てはいませんでした。
「…?何か落ちている…?これは…」
「(…あっ…!)」
イソップが砂浜から何かを拾い上げたのを見て、姫は気がつきました。大切な真珠の耳飾りの片方を、砂浜に落としてしまっていたのです。
「…あの人が、落としていったのでしょうか…?」
イソップは拾った姫の耳飾りと、波が寄せる海をじっと見つめると、兵士たちに連れられてお城へと戻っていきました。
「そんな…!あぁ、どうしよう…とても大事なものなのに…!」
人魚姫は困りました。あの真珠の耳飾りは、人魚の王家に代々伝わる宝物です。いくら片方とはいえ、無くしてしまいましたなんて言おうものなら親・兄弟姉妹・親戚縁者一同からどんな目に遭うかわかったものじゃありません。
悩み抜いた末にひとつの決意をした姫は深海に棲む魔女のところへ行き『お願いです、私を人間にしてください!』と願いました。
魔女は姫の事情を聞くと、魚の尾鰭を人間の足に変える薬をくれました。
ですが薬を飲めば代わりに姫の愛らしい声が失われること、足で歩けばナイフで抉られるような痛みがすること、3日後の日没までに耳飾りを取り戻すことができなければ姫は泡になって消えてしまうことを伝えました。
「(代償は怖いけれど、人魚の姿のままじゃ陸で耳飾りを探すことなんてできない…!)」
喋れなくなろうと足が痛もうと、とにかく3日後の日没までにイソップから耳飾りを取り返せば万事解決です。
姫はよし、と気合いを入れて、魔女の薬を一気に飲み干しました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
人魚姫が目を覚ますと、見知らぬ場所の、大きな天蓋付きのベッドの上でした。
そこは海辺のお城の客間の一室だったのですが、魔女の薬のせいで気を失って眠っていた姫には知る由もありません。
「…気がつきましたか?」
目の前にいたのは、なんとあの王子様、イソップでした。いきなりお目当ての人物に対面するとは思っていなかった姫はとても驚きました。
しかし魔女が言っていたとおり、まったく声を出すことが…
「王子様……えっ、私…声が…??」
……何故でしょう。以前と変わらず当たり前のようにできました。
姫は不思議に思って自分の耳に触れてみると、そこには失くしたはずの真珠の耳飾りがちゃんとついているではありませんか。
「やっぱり…その耳飾りは、あなたのものだったんですね。眠っている間にお返しさせてもらいました、人魚姫」
「!?」
知らない場所のベッドの上で目が覚めたこと、失うと言われていた声が戻っていたこと、そしてなぜかイソップに正体がばれていること。色んなことが起きすぎて、姫はパニックを起こしそうになりました。
「な…なにかの、見間違いでは…?人魚なんて…」
「僕は、一度見た人の容姿や服装、装飾品をすべて鮮明に覚えていられるんです。目が覚めた時、僕はあなたの姿を見ました」
姫は『人魚なんていない』と言って誤魔化そうとしましたが、なんということでしょう。見つからないようにしていたのにも関わらず、イソップに人魚の自分の姿をばっちり見られてしまっていたのです。下手な言い逃れはできそうにありません。
「姿や身につけているものを記憶していましたから…この耳飾りも、すぐにあなたのものだとわかったんです」
「じゃああの時、耳飾りを拾って、持っていったのは…!」
「すみません、盗むつもりはありませんでしたが…持っていればあなたがまた現れるのでは、と…」
姫はショックを受けました。これではまるでイソップに罠を仕掛けられ、そして姫はその罠に自ら飛び込んでまんまと捕まってしまったようなものです。
自分はこのままイソップに食べられてしまうのでしょうか。そう思った姫は恐ろしくなりました。
「わ、私を…食べるんですか…?」
「…?食べる…?何故です?」
「に、人間は不老不死になりたいから、人魚を捕まえて食べてしまうって…」
「あぁ、確かに昔はそんな迷信があったようですが…僕はあなたを食べたりしませんよ」
そう言うとイソップは、恐怖で震えている人魚姫をとても愛おしそうに抱きしめました。
「ーーどうやら、僕はあなたに恋をしたようなんです。姫」
「…え?」
「どうか、僕と結婚してください」
「け…結婚…!?」
あまりにも突然のプロポーズの言葉に、姫は固まってしまいました。イソップは姫の髪を優しく梳くように撫でます。
「あなたにもう一度逢いたくて、何度も海岸に足を運びました。倒れていたところを見つけた時には嬉しかったですけれど、驚きましたよ」
「…足が変わっていたから、ですか…?」
「それだけじゃありません。だって…あなたはとても無防備な姿だったんですから」
「…!」
イソップの言葉に、姫ははっとしました。人魚の世界には衣服がなく、女性は貝殻などで胸を隠すのが一般的です。恐らく海岸でイソップに助けられた時、姫は何も身に纏っていない状態だったのでしょう。
恥ずかしくなった姫はイソップの視線から逃れたくて顔を背け、身体を捩りました。
イソップは隠れようとする姫の頬にキスをし、そのまま露わになった首筋にもキスを落としました。
「ひゃっ…!」
「可愛らしい反応…敏感なんですね。僕以外の男に見つかって犯されていたらと思うとぞっとしますよ。もしそうなったらどうするつもりだったんです?」
思わぬキスに、姫は身体をびくんと震わせました。海の王国で蝶よ花よならぬ蝶々魚よ珊瑚よと大切に育てられてきた人魚姫です。男性からこんなキスはされたことがありません。
「恥ずかしがってばかりいないで、こっちを向いてください?」
「人間に見つかって…そのうえ裸まで見られて…もうお嫁に行けません…」
「なら、もう僕の花嫁になるしかありませんね」
イソップの言葉には、優しく諭して言い聞かせるような、しかしどこか有無を言わさないような静かな圧力を感じます。
そのままベッドへと、姫の身体をゆっくりと押し倒したのでした。
「は、花嫁なんて…困ります!私…!」
「安心してください。ちゃんと優しくしますから」
「あの、待っ…!」
まったくこれっぽっちも安心できない不穏な気配を感じながらも、姫がイソップの腕の中から逃げ出すことは叶いませんでした。
…こうして無事に耳飾りを返してもらったので泡になって消えてしまうことはありませんでしたが、姫はイソップによって3日間、ベッドから出してもらえませんでした。
後日、突然いなくなってしまった妹のことを心配した人魚姫のお姉さんたちが海から偵察にやって来ましたが、無事ではあるものの少しぐったりして海に帰ることを諦めたような姫の様子と、王子様のあまりの溺愛っぷりに何かを悟ったようで
「…あの子はもう海に戻れないんじゃないかしら」
「…元気そうで安心したわ、って言えたらよかったんだけど…あの様子は…」
「お父様に何て言いましょうか…」
「私たちの可愛い妹…」
と、哀れみと同情の眼差しを浮かべながら帰っていきました。
めでたしめでたし?
海の中にある人魚の王国の末の姫は、嵐に遭い船から投げ出されてしまった王子様を助けました。
人魚には、決して人間に見つかってはならないという掟があります。人間たちは人魚の肉を食べると不老不死になれるという噂を信じていて、捕まれば食べられてしまう、だから人間には絶対に姿を見られてはいけないのだと、姫は幼い頃から周囲に言い聞かせられて育ちました。
しかし心の優しい人魚姫には、目の前で海に落ちてしまった王子様を見捨てることができませんでした。姫は気を失った王子様を連れて、荒れ狂う波の中を懸命に泳ぎました。
なんとか陸へとたどり着いて王子様を砂浜へ寝かせると、すっかり夜が明けていました。水平線から朝日が少しずつ顔を出していきます。
その時でした。陽の光に気がついたのか、王子様の瞳がゆっくりと開いたのです。
「(!?いけない、見られてしまう!)」
人魚姫は掟のことを思い出してどきりとしました。遠くから人間たちが数名、こちらへ向かってくるのも見えます。王子様を探しにやって来た大臣や兵士たちです。
姫は慌てて海に飛び込んで、近くにあった岩の陰に隠れました。
「イソップ王子!ご無事でしたか!」
「ここは…海岸…?あ、あの…近くで、女性を見ませんでしたか?たぶん、その方に助けていただいたんです」
「…?女性ですか?いえ、辺りには誰もいませんが…」
「…そうですか…」
目を覚ました王子様ーーイソップは大臣と兵士たちにそう尋ねましたが、誰も人魚姫の姿を見てはいませんでした。
「…?何か落ちている…?これは…」
「(…あっ…!)」
イソップが砂浜から何かを拾い上げたのを見て、姫は気がつきました。大切な真珠の耳飾りの片方を、砂浜に落としてしまっていたのです。
「…あの人が、落としていったのでしょうか…?」
イソップは拾った姫の耳飾りと、波が寄せる海をじっと見つめると、兵士たちに連れられてお城へと戻っていきました。
「そんな…!あぁ、どうしよう…とても大事なものなのに…!」
人魚姫は困りました。あの真珠の耳飾りは、人魚の王家に代々伝わる宝物です。いくら片方とはいえ、無くしてしまいましたなんて言おうものなら親・兄弟姉妹・親戚縁者一同からどんな目に遭うかわかったものじゃありません。
悩み抜いた末にひとつの決意をした姫は深海に棲む魔女のところへ行き『お願いです、私を人間にしてください!』と願いました。
魔女は姫の事情を聞くと、魚の尾鰭を人間の足に変える薬をくれました。
ですが薬を飲めば代わりに姫の愛らしい声が失われること、足で歩けばナイフで抉られるような痛みがすること、3日後の日没までに耳飾りを取り戻すことができなければ姫は泡になって消えてしまうことを伝えました。
「(代償は怖いけれど、人魚の姿のままじゃ陸で耳飾りを探すことなんてできない…!)」
喋れなくなろうと足が痛もうと、とにかく3日後の日没までにイソップから耳飾りを取り返せば万事解決です。
姫はよし、と気合いを入れて、魔女の薬を一気に飲み干しました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
人魚姫が目を覚ますと、見知らぬ場所の、大きな天蓋付きのベッドの上でした。
そこは海辺のお城の客間の一室だったのですが、魔女の薬のせいで気を失って眠っていた姫には知る由もありません。
「…気がつきましたか?」
目の前にいたのは、なんとあの王子様、イソップでした。いきなりお目当ての人物に対面するとは思っていなかった姫はとても驚きました。
しかし魔女が言っていたとおり、まったく声を出すことが…
「王子様……えっ、私…声が…??」
……何故でしょう。以前と変わらず当たり前のようにできました。
姫は不思議に思って自分の耳に触れてみると、そこには失くしたはずの真珠の耳飾りがちゃんとついているではありませんか。
「やっぱり…その耳飾りは、あなたのものだったんですね。眠っている間にお返しさせてもらいました、人魚姫」
「!?」
知らない場所のベッドの上で目が覚めたこと、失うと言われていた声が戻っていたこと、そしてなぜかイソップに正体がばれていること。色んなことが起きすぎて、姫はパニックを起こしそうになりました。
「な…なにかの、見間違いでは…?人魚なんて…」
「僕は、一度見た人の容姿や服装、装飾品をすべて鮮明に覚えていられるんです。目が覚めた時、僕はあなたの姿を見ました」
姫は『人魚なんていない』と言って誤魔化そうとしましたが、なんということでしょう。見つからないようにしていたのにも関わらず、イソップに人魚の自分の姿をばっちり見られてしまっていたのです。下手な言い逃れはできそうにありません。
「姿や身につけているものを記憶していましたから…この耳飾りも、すぐにあなたのものだとわかったんです」
「じゃああの時、耳飾りを拾って、持っていったのは…!」
「すみません、盗むつもりはありませんでしたが…持っていればあなたがまた現れるのでは、と…」
姫はショックを受けました。これではまるでイソップに罠を仕掛けられ、そして姫はその罠に自ら飛び込んでまんまと捕まってしまったようなものです。
自分はこのままイソップに食べられてしまうのでしょうか。そう思った姫は恐ろしくなりました。
「わ、私を…食べるんですか…?」
「…?食べる…?何故です?」
「に、人間は不老不死になりたいから、人魚を捕まえて食べてしまうって…」
「あぁ、確かに昔はそんな迷信があったようですが…僕はあなたを食べたりしませんよ」
そう言うとイソップは、恐怖で震えている人魚姫をとても愛おしそうに抱きしめました。
「ーーどうやら、僕はあなたに恋をしたようなんです。姫」
「…え?」
「どうか、僕と結婚してください」
「け…結婚…!?」
あまりにも突然のプロポーズの言葉に、姫は固まってしまいました。イソップは姫の髪を優しく梳くように撫でます。
「あなたにもう一度逢いたくて、何度も海岸に足を運びました。倒れていたところを見つけた時には嬉しかったですけれど、驚きましたよ」
「…足が変わっていたから、ですか…?」
「それだけじゃありません。だって…あなたはとても無防備な姿だったんですから」
「…!」
イソップの言葉に、姫ははっとしました。人魚の世界には衣服がなく、女性は貝殻などで胸を隠すのが一般的です。恐らく海岸でイソップに助けられた時、姫は何も身に纏っていない状態だったのでしょう。
恥ずかしくなった姫はイソップの視線から逃れたくて顔を背け、身体を捩りました。
イソップは隠れようとする姫の頬にキスをし、そのまま露わになった首筋にもキスを落としました。
「ひゃっ…!」
「可愛らしい反応…敏感なんですね。僕以外の男に見つかって犯されていたらと思うとぞっとしますよ。もしそうなったらどうするつもりだったんです?」
思わぬキスに、姫は身体をびくんと震わせました。海の王国で蝶よ花よならぬ蝶々魚よ珊瑚よと大切に育てられてきた人魚姫です。男性からこんなキスはされたことがありません。
「恥ずかしがってばかりいないで、こっちを向いてください?」
「人間に見つかって…そのうえ裸まで見られて…もうお嫁に行けません…」
「なら、もう僕の花嫁になるしかありませんね」
イソップの言葉には、優しく諭して言い聞かせるような、しかしどこか有無を言わさないような静かな圧力を感じます。
そのままベッドへと、姫の身体をゆっくりと押し倒したのでした。
「は、花嫁なんて…困ります!私…!」
「安心してください。ちゃんと優しくしますから」
「あの、待っ…!」
まったくこれっぽっちも安心できない不穏な気配を感じながらも、姫がイソップの腕の中から逃げ出すことは叶いませんでした。
…こうして無事に耳飾りを返してもらったので泡になって消えてしまうことはありませんでしたが、姫はイソップによって3日間、ベッドから出してもらえませんでした。
後日、突然いなくなってしまった妹のことを心配した人魚姫のお姉さんたちが海から偵察にやって来ましたが、無事ではあるものの少しぐったりして海に帰ることを諦めたような姫の様子と、王子様のあまりの溺愛っぷりに何かを悟ったようで
「…あの子はもう海に戻れないんじゃないかしら」
「…元気そうで安心したわ、って言えたらよかったんだけど…あの様子は…」
「お父様に何て言いましょうか…」
「私たちの可愛い妹…」
と、哀れみと同情の眼差しを浮かべながら帰っていきました。
めでたしめでたし?