思いつきのネタ帳

ディをママがシルパパに渡さなかったら…⑧

2025/01/13 07:46
テランスは崩れていくディオンを受け止める。
「ディオン!」
呼びかけに応えるようにディオンの額にあの瞳が現れ、ゆっくりと開かれた。辺りに光が溢れ、ディオンの体がテランスの腕から離れていく。
「……」
「な、なんなんだ」
ディオンを斬りつけた兵はその場から動けない。
『……此奴を傷つけたのは…お前か』
声は額の瞳から聞こえてくる。頭には角の様なものがあり、背にはゴツゴツとした岩のような皮膚の翼。脚の間からは長い尾が見えている。
「…勝手に飛び出してきたんだろうが!」
血のついた剣を構えながら兵は答える。
「ディオン…」
『……お主を…はぁ…此奴のやりそうなことだ』
呆れたように盛大にため息をつく。
「こいつ…人ではないのか?」
『…人ではない。此奴の意識は封印したからな。わたしは…』
「……バハムート…」
テランスの口からその名が漏れ出た。
昔、絵本や教会の壁画で見たバハムートは目が三つ。頭に長い角と大きな翼と長い尾を持っていた。
『……』
「…じゃぁ、こいつがドミナント…」
兵はディオンを捕まえようと脚を掴む。
『……………』
どこからともなく光の玉が現れ、脚を掴んでいた兵に纏わりつくとさらに光り輝く。
「うっ!!」
兵が腕で目を覆い隠そうとした瞬間、体が光となって消えていった。
「……ディオン。これは…」
光が消えるとその場には何も存在していなかった。
「は、早くドミナントを捕まえるんだ!」
我に返った残った兵たちはバハムートを捕らえるために取り囲む。
「ディオン逃げるよ」
『…?』
浮いているディオンの手を取りテランスは部屋の窓から飛び降りた。
が…着地の衝撃は来ず、いつまでも身体が浮いている感覚。
『…なぜ逃げる。あのまま全員灼いてしまえば良かろう』
手を取って飛び降りたはずなのに、ディオンに抱えられていた。
「……それではディオンが人殺しになってしまう」
『この皇国ではバハムートは必ず戰場へ駆り出される。半顕現とは言え顕現をした此奴は、時期に完全なる姿を得るのだ』
「それでも…だ」
面白くなさそうな表情を作り、テランスをその場に放り投げた。仮にも竜騎士である。普段通りの着地を見せるテランスにバハムートは言う。
『お主は…怖くないのか?今の私なら片手で亡き者にできるのだぞ』
「…怖くはありません。あなたの中にはディオンがいるのです」
降りてきたバハムートと同じ目線になる。
『…永遠に戻らないかもしれないのだぞ』
「それでも、僕には十分です。ディオンと一緒にいられるのなら…」
そう言ってバハムートの頬を撫で、艷やかな唇にカサついた自分の唇を重ねた。

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可
  • ぐりまる2025/01/13 23:31

    バハムートきちゃー!

    名前
    コメント内容
    削除用パスワード ※空欄可
    • アヤトロ2025/01/13 23:59

      きちゃー!!!(このあとどうしよう🤔www)

      名前
      コメント内容
      削除用パスワード ※空欄可