結局ロクに抵抗も出来ず、手首を縛られ皆が待つ部屋まで連れてこられてしまった。
（……どうする気だ）
ルサージュ家の子息探し。と言う噂話しか知らない皆はソワソワとこれから始まる何かを心待ちにしている。

「これで全員だな？」
部屋には、店の主人や用心棒はいない。恐らく金で引き払っているのであろう。
「…端から始めるか」
「そこの娘。こちらへ」
指名された娘は嬉しそうに兵達の前に歩み出た。
そして…
「！！！」
兵の一人が娘の服に手をかけ乱暴に剥ぎ取った。
突然の事に、娘は立ち尽くしたまま声が出せないでいる。
「早くしろ」
一人だけ腰から長い布を巻きつけている兵が横にいる者に命令した。
「はい」
返事をするとその兵はその場に娘を押し倒し、露わになってしまった胸に手をかけ始めた。
「やめて！何なのよ！！」
娘が大きな声で抗議の声を上げる。
「何って…我々はドミナントを探しに来ただけだ」
「身の危険を感じると召喚獣になるって言われたからなぁ」
胸を弄られている娘は、信じられない。と言う表情をして、コチラを見た。
（このまま召喚獣にならなければ、殺されるかもしれない…）
娘が襲われている様子を静観している兵は、いつの間にか剣を抜いている。
テランスが言っていたのはこの事であろう。

「？」
ちょうど街へ巡回に出ていたテランスは、ディオンのいる娼館の方角へ向う四人の兵を見かける。
（なんだろう…）
「…アレだよ。例のルサージュ家のやつ」
一緒に歩いていた団員に耳打ちされた。
（あの方角は…）
嫌な予感がする。本能的にそう感じて、テランスは彼らの後を追いかけた。
やはり彼らは娼館へと入っていく。遅れてテランスが中へと入ると、青ざめた顔の店主がいた。
「何か…あったのですか？」
「じつは…」
店主が話し始めようとした瞬間、館の奥から大きな音がした。
「……入ります」
厳しい顔をしてテランスは店主に告げ、音のした部屋を探す。