保カフ その他 

保カフ 新人店員保✕スーパーの店長カフ


 「いらっしゃいませ! 今日はハチゴウの日、お安くなってますよー」

 店の入り口でそう声を張り上げているこの男。こちらのスーパーの雇われ店長であり、名を日比野カフカという。髭面で上背のある32歳だが、明るくて人柄も良く客にも店員にも優しいともっぱらの評判である。
 こちらの『ハチゴウスーパー』立川店は全国展開されている有名なスーパーの支店である。本店は大阪にありスーパー事業の他に、ファミレスやコンビニなど事業元は手広くやっていて、大阪でその名を知らぬ者はいないというほどである。

 「列の最後尾はこちらになります! こちらからお並び下さい!」

 特売日とあって店内は客でごった返していて、今日一番の目玉商品には買い求める客の長蛇の列ができていた。そのため、店長自ら最後尾はこちらと書かれたプラカードを持ち列の整理を行っている。

 「あ! さいこーびおじさんだ!」

 そこへ常連客の親子連れがやって来た。その子どもは母親の手から離れ店長のもとへと駆け寄ってくる。

 「かずくん、おじさんはやめてくれって言ってるだろ? せめて、おにいさんにしてくれよお」

 母親が子どもの後を追いかけて来て、やめるように言い聞かせている。すみません、店長さんと謝りながら。

 「だって、みるからにおじさんじゃん! おひげだもん」

 

 「店長、それ僕が代わりますよ」

 そこへ新人店員がやってきた。店長よりも背丈が低く細見で、おかっぱ頭の青年である。
 
 「あ! イケメンのおにいさんだ!」

 「かずきくん、やったかな。偉いなあ、自分。荷物持ってお母さんの手伝いしてて。ええ子にはこの飴ちゃん、あげような」

 子どもの頭を優しく撫で、ポケットから取り出した飴玉を渡している。

 「おかしいなあ……年はあんまり変わんないはずなんだけど。俺だけおじさんって呼ばれるのはなんでだ?」

 やっぱりこの髭のせいなのか、髭剃るかなあと悩んでいる店長を、新人店員は楽しそうに見つめている。

 「髭あってもなくても、僕は好きですけどね」

 その言葉は店長へと届くことはなかった。
 買い物を終えた先程の親子が帰っていくのを、彼は見送っていたからだ。

 「ご利用ありがとうございました! またのお越しをお待ちしております!」

 店内に一際大きい声が響き渡っていた。


 
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