保カフ その他
保カフ 『優先順位』
それは、穏やかな休日の午後。
どうしても読みたい本があった僕は、漸くその機会が巡ってきたことで充実した時間を過ごしていた。リビングのソファに座り、必死に文字を追う。張り巡らされた伏線が見事なまでに回収されていく様は圧巻だ。ページを捲る手が止まらない。
「あちぃ〜〜アイス食おうかなあ」
遠くの方で微かに同棲中の恋人の声が聞こえた。だが、話しかけられたわけではないので、然程気に留めることなく読み進めていく。
「ああ~アイスもうねえわ……どうっすかな」
裸足のぺたぺたという足音が近づいてくる。そして、次の瞬間ソファがぼすっと音を立て波打つ。その衝撃で膝に乗せていた本が少し浮いた。暑いと繰り返しながらも、何故か肌と肌が触れ合うほど密着して座っている。エアコンは利いているしこちらは特に暑さを感じないので、気にせずまた文字へと集中する。だが、本を覗き込む彼の頭が邪魔でそれは難しいようだ。
「カフカ、そこにおったら見えへんやん」
そう窘めるとすぐに頭をひっこめる。だがすぐさま手が伸びてきて、僕の体をこれでもかときつく締め付けるようにぎゅうぎゅうしながら抱きついてきた。
「それ……いつになったら読み終わるんすか」
そんなんしたらこっちまで暑くなるやんという言葉が喉まで出かかったが、思わず呑み込んだ。彼の拗ねたようなその態度が少し可笑しくて、堪らなく愛おしい。
「構ってほしいなら、そう言えばええやろ」
僕はそっと本を閉じた。
次はいつ続きを読めるか分からないが、それでもいい。
物事には優先順位というものがある。それが僕の場合、他の追随を許さぬほどの強さをもって首位独走中のものがある、ただそれだけのこと。
閉じた本を奪い取られ、代わりに彼の頭が膝へとやってくる。そして、手にした本を興味なさげにぱらぱらと捲っている。
「カフカ、一緒にアイス買いに行こか」
嬉しそうに笑う彼が一等好きだ。
それは何にも代えがたく大事にしたいもので、きっと僕は一生敵わない。
それは、穏やかな休日の午後。
どうしても読みたい本があった僕は、漸くその機会が巡ってきたことで充実した時間を過ごしていた。リビングのソファに座り、必死に文字を追う。張り巡らされた伏線が見事なまでに回収されていく様は圧巻だ。ページを捲る手が止まらない。
「あちぃ〜〜アイス食おうかなあ」
遠くの方で微かに同棲中の恋人の声が聞こえた。だが、話しかけられたわけではないので、然程気に留めることなく読み進めていく。
「ああ~アイスもうねえわ……どうっすかな」
裸足のぺたぺたという足音が近づいてくる。そして、次の瞬間ソファがぼすっと音を立て波打つ。その衝撃で膝に乗せていた本が少し浮いた。暑いと繰り返しながらも、何故か肌と肌が触れ合うほど密着して座っている。エアコンは利いているしこちらは特に暑さを感じないので、気にせずまた文字へと集中する。だが、本を覗き込む彼の頭が邪魔でそれは難しいようだ。
「カフカ、そこにおったら見えへんやん」
そう窘めるとすぐに頭をひっこめる。だがすぐさま手が伸びてきて、僕の体をこれでもかときつく締め付けるようにぎゅうぎゅうしながら抱きついてきた。
「それ……いつになったら読み終わるんすか」
そんなんしたらこっちまで暑くなるやんという言葉が喉まで出かかったが、思わず呑み込んだ。彼の拗ねたようなその態度が少し可笑しくて、堪らなく愛おしい。
「構ってほしいなら、そう言えばええやろ」
僕はそっと本を閉じた。
次はいつ続きを読めるか分からないが、それでもいい。
物事には優先順位というものがある。それが僕の場合、他の追随を許さぬほどの強さをもって首位独走中のものがある、ただそれだけのこと。
閉じた本を奪い取られ、代わりに彼の頭が膝へとやってくる。そして、手にした本を興味なさげにぱらぱらと捲っている。
「カフカ、一緒にアイス買いに行こか」
嬉しそうに笑う彼が一等好きだ。
それは何にも代えがたく大事にしたいもので、きっと僕は一生敵わない。
