保カフ その他
鳴カフ 『その影を成敗!』
「それで、副隊長が言うには――」
お前の口からはそれ以外出てこないのか。
目の前の男は延々と話し続けている――楽しそうに、ボクではない男の話を。
「鳴海隊長? 俺の話、聞いてます?」
日比野カフカ、小隊長であり怪獣8号そして今現在ボクの恋人でもある男だ。どうしてそうなったかは面倒なので割愛するが、とにかくこの男はボクのもので間違いない。そのはずなのだが、口を開けば副隊長がどうしたこうしたとバカの一つ覚えのように保科のことばかり話している。
「副隊長、すげぇ格好良くて! 刀がこう――」
どのモンブランもそれぞれ良さがあっていいけれど、保科は王道なものがやはり最も好みである。
この情報をボクが得て、どうしろと言うのか。この世で一番どうでもいいことだ。
ああもう、本当に腹立たしい。
「くそっオカッパーーーー!!」
「え? 副隊長!? どこっすか??」
きょろきょろと辺りを見渡して、目を輝かせながらあの男を探していることだろう。見なくてもボクにはわかる。
お前にとって、副隊長に該当する者は保科しかいないのか。長谷川は何やってる。もっと頑張れよ。
「お前は……ボクのことが好きなんじゃないのか」
ゲーム画面を凝視ながらそう呟くと、ボクの名を呼ぶ声がする。普段の少し煩いくらいの大きな声ではなく、じんわりと沁み入ってくるようなそんな優しい声だ。
「あ……口にしようと思ったのに、ズレちまった。急に振り向くんだもんなぁ」
振り向きざま口の端に柔らかいものが触れた。
なんとなく気になってそこを指で撫でていると、目の前の男は花が咲くようにふわりと微笑んだ。
「好きじゃなきゃ、こんなことしませんよ」
「こんなことって何だ。もう一回やってみろ」
「ははっ……かわいいな、その言い方。じゃあ、遠慮なく」
「かわいいは余計だ」
翌日、ボクの前に憎き男がやって来ていた。
「細目とオカッパは入室禁止だ。部屋の前に貼ってあっただろ」
「そうですか? 全く気が付きませんでしたけど」
「何しに来た? ボク様は忙しいからお前なんかと話をしている暇はないぞ」
「目の前でゲームをしている人にだけは言われたくないですねえ」
長谷川と共にやって来たこいつは何やら書類に署名しろと言っていたか。絶対にしてやるものか。無駄に時間を費やせばいい。いい気味だ。
「ところで、カフカのことについて少し貴方に言いたいことがありまして」
そう切り出した奴の手が伸びてきて、ボクの持っていたゲーム機を驚くほど強い力で奪い去っていった。
「何やってる? 返せ――」
「これ、壊されとうなかったら……僕の話、きちんと聞けや」
いつもは開いてるのかどうかもよく分からない奴の瞳がこちらを捉えている。紅い鈍色のようなそれが、はっきりと不快さを表しているようだった。
「人質でもとったような口振りだな。まあ、いい。特別に聞いてやる、話せ」
ボクを疑っているのか返すつもりはないようで、保科はゲーム機を自身のポケットへと突っ込んだ。
「貴方がカフカとお付き合いしていることは知ってます。それだけでも腹立たしいのに、カフカときたら僕とおる時ずっと貴方の話ばかりするんですよ……鳴海隊長がカレーに入ってるにんじんだけは食べられるようになった。この情報を僕が得て、どうしろと!? この世で一番無駄なもんや。はあーほんまに腹立たしい……僕の大事なかわいい部下、返してくださいよ」
どん、と部屋の壁にひびが入りそうなほどの大きな音がした。保科が力任せに叩いたのだろう。物に当たるなんて、仕様もない奴だ。だが、今はそんなことどうでもいい。
「おい、ここにサインすればいいのか。ほら、持っていけ」
紙切れを保科の胸へと押し付けて、ボクはさっさと部屋を出ていく。
「保科、今までお前が話した中で一番有益な情報だったぞ。そういう話ならいくらでも聞いてやる。あと、お前がなんて言おうが日比野カフカはボクのものだ。覚えておけ」
「ちょっと、どこ行くんですか! 話はまだ終わってない――」
保科の制止を振り切って、ボクは走り出した。
「なんだ、そういうことだったのか……ボクの前では恥ずかしがってオカッパなんぞの話をしているが。あいつ……ボクのこと、大好きじゃないか……!」
保科に話した内容を全て白状させてやる。
待っていろ、日比野カフカ!
ボクは意気揚々とカフカのもとへと急いだのだった。
「鳴海、何逃亡しようとしてるんだ。お前の仕事は山積みだぞ、来い」
「やめろ!長谷川……はなせ!! ボク様はカフカのところへ行くんだ。カフカぁーー」
「やめんか、馬鹿もの! 仕事しろ!!」
「それで、副隊長が言うには――」
お前の口からはそれ以外出てこないのか。
目の前の男は延々と話し続けている――楽しそうに、ボクではない男の話を。
「鳴海隊長? 俺の話、聞いてます?」
日比野カフカ、小隊長であり怪獣8号そして今現在ボクの恋人でもある男だ。どうしてそうなったかは面倒なので割愛するが、とにかくこの男はボクのもので間違いない。そのはずなのだが、口を開けば副隊長がどうしたこうしたとバカの一つ覚えのように保科のことばかり話している。
「副隊長、すげぇ格好良くて! 刀がこう――」
どのモンブランもそれぞれ良さがあっていいけれど、保科は王道なものがやはり最も好みである。
この情報をボクが得て、どうしろと言うのか。この世で一番どうでもいいことだ。
ああもう、本当に腹立たしい。
「くそっオカッパーーーー!!」
「え? 副隊長!? どこっすか??」
きょろきょろと辺りを見渡して、目を輝かせながらあの男を探していることだろう。見なくてもボクにはわかる。
お前にとって、副隊長に該当する者は保科しかいないのか。長谷川は何やってる。もっと頑張れよ。
「お前は……ボクのことが好きなんじゃないのか」
ゲーム画面を凝視ながらそう呟くと、ボクの名を呼ぶ声がする。普段の少し煩いくらいの大きな声ではなく、じんわりと沁み入ってくるようなそんな優しい声だ。
「あ……口にしようと思ったのに、ズレちまった。急に振り向くんだもんなぁ」
振り向きざま口の端に柔らかいものが触れた。
なんとなく気になってそこを指で撫でていると、目の前の男は花が咲くようにふわりと微笑んだ。
「好きじゃなきゃ、こんなことしませんよ」
「こんなことって何だ。もう一回やってみろ」
「ははっ……かわいいな、その言い方。じゃあ、遠慮なく」
「かわいいは余計だ」
翌日、ボクの前に憎き男がやって来ていた。
「細目とオカッパは入室禁止だ。部屋の前に貼ってあっただろ」
「そうですか? 全く気が付きませんでしたけど」
「何しに来た? ボク様は忙しいからお前なんかと話をしている暇はないぞ」
「目の前でゲームをしている人にだけは言われたくないですねえ」
長谷川と共にやって来たこいつは何やら書類に署名しろと言っていたか。絶対にしてやるものか。無駄に時間を費やせばいい。いい気味だ。
「ところで、カフカのことについて少し貴方に言いたいことがありまして」
そう切り出した奴の手が伸びてきて、ボクの持っていたゲーム機を驚くほど強い力で奪い去っていった。
「何やってる? 返せ――」
「これ、壊されとうなかったら……僕の話、きちんと聞けや」
いつもは開いてるのかどうかもよく分からない奴の瞳がこちらを捉えている。紅い鈍色のようなそれが、はっきりと不快さを表しているようだった。
「人質でもとったような口振りだな。まあ、いい。特別に聞いてやる、話せ」
ボクを疑っているのか返すつもりはないようで、保科はゲーム機を自身のポケットへと突っ込んだ。
「貴方がカフカとお付き合いしていることは知ってます。それだけでも腹立たしいのに、カフカときたら僕とおる時ずっと貴方の話ばかりするんですよ……鳴海隊長がカレーに入ってるにんじんだけは食べられるようになった。この情報を僕が得て、どうしろと!? この世で一番無駄なもんや。はあーほんまに腹立たしい……僕の大事なかわいい部下、返してくださいよ」
どん、と部屋の壁にひびが入りそうなほどの大きな音がした。保科が力任せに叩いたのだろう。物に当たるなんて、仕様もない奴だ。だが、今はそんなことどうでもいい。
「おい、ここにサインすればいいのか。ほら、持っていけ」
紙切れを保科の胸へと押し付けて、ボクはさっさと部屋を出ていく。
「保科、今までお前が話した中で一番有益な情報だったぞ。そういう話ならいくらでも聞いてやる。あと、お前がなんて言おうが日比野カフカはボクのものだ。覚えておけ」
「ちょっと、どこ行くんですか! 話はまだ終わってない――」
保科の制止を振り切って、ボクは走り出した。
「なんだ、そういうことだったのか……ボクの前では恥ずかしがってオカッパなんぞの話をしているが。あいつ……ボクのこと、大好きじゃないか……!」
保科に話した内容を全て白状させてやる。
待っていろ、日比野カフカ!
ボクは意気揚々とカフカのもとへと急いだのだった。
「鳴海、何逃亡しようとしてるんだ。お前の仕事は山積みだぞ、来い」
「やめろ!長谷川……はなせ!! ボク様はカフカのところへ行くんだ。カフカぁーー」
「やめんか、馬鹿もの! 仕事しろ!!」
