保カフ その他
保カフ 『隣の芝生は赤かった』
店の天井に届きそうなほど縦長なパフェがある、らしい。
その話題で盛り上がり、休みの重なった三人――俺、出雲ハルイチと伊春、カフカのメンバーでその店へと真偽を確かめに行くこととなった。予定外であったのは、もう一人参加して四人になったことだ。
「へえ、おもろそうやな。僕も一緒に行ってええか?」
「え? 副隊長、今日お休みなんですか?」
「半日休みやねん。一日はとれへんくてなあ」
「いやいや、そんな貴重な休みにパフェ見に行くとか……勿体ないっすよ」
「休みをどう使おうと僕の勝手やろ。それとも何か、僕が言ったらあかん理由でもあるんか」
「そんなことないですけど……つうか、むしろ一緒に行けるのすげぇ嬉しいですし」
副隊長とカフカが楽しそうに話をしている。
俺は何故かこういった現場をよく目撃してしまうのだ。何というか、今日も平和で良かったなと思う。
結局、副隊長を加えた四人で噂のパフェがあるお店へとやって来ていた。早速伊春が注文し、その到着を待つ。因みに、座席は俺と伊春、副隊長とカフカが向かい合わせになっている。
「うわあ~すげぇ! まじかよ」
伊春がいち早く感嘆の声をあげた。
それもそのはず、店員が持ってきたパフェは噂通りの高さであったのだ。何がすごいって、その高さもだがそれを難なくテーブルまで運んでくる店員のバランス感覚だろう。
「まじで、すごいな。副隊長の2倍くらいの高さあるんじゃないっすか!?」
「お前、今……僕の身長、馬鹿にしたんか?」
「いや、だってほら! ちょうど副隊長の頭がパフェの半分くらいの位置にあるし」
「それは僕が今、座ってるからやろ。阿呆か」
「あっそっか……でも、アホはひどいくないっすか!?」
また、ふたりで仲良くやってるなあと、横目で見ながら取り皿を配る。
「おっし、バッチリカメラに収めたし、これ食べようぜ〜」
「あ、ちょっと待って伊春。先に副隊長から」
俺が伊春を制止していると、僕のことは気にしなくていいからと隣から言葉がかけられる。
「おおっうめえ! これけっこうイケるぜ……なあ、おっさん?」
そういう伊春の声につられて、カフカのほうを見れば子どものように夢中になって頬張っていた。
「なんだそれ、汚ねえな〜」
夢中になりすぎて、カフカの口元がべしゃべしゃになっているのを伊春は大笑いしている。また、横からも笑い声が響いていた。
「カフカ、お前。どこの子どもやねん! ほら、口拭いてやるから、こっち向き……もっと、こう……拭きやすいように口元こっちに突き出して」
「こう、ですか?」
言われた通りにカフカはうっと唇を前へと突き出している。
その様子を見た伊春は不細工なキス顔晒すなよとまたもや大笑いしていた。
「ほんまかわええな、ちゅうしたなるわ」
その笑い声にかき消されて他の人には聞こえなかったかもしれないが、俺の耳はその言葉をばっちり拾ってしまっている。
いつもの掛け合いで陽気な漫才のようなものは微笑ましいくらいで済ませられるが、ここまでくるともはや恋人のそれのようで。だが、この二人驚くことにお付き合いなどしていないのだ。もういっそのこと、付き合っていてさえくれれば、こんなところで何やってるんだ惚気るなよなどと軽く言えたかもしれないのに。
「ハルイチ、どうした? アイスのとこ、溶けてるぞ。早く食わねえと」
俺も伊春のように、頓着しない性格だったら良かったなあとつくづく思ってしまう。
「伊春はいいな……ずっと、そのまま変わらずいてくれよ」
「何言ってんだ、お前?」
そんな会話をしている横で、恋人(仮)のやりとりが続いている。
「ああ! 副隊長のところに白玉たくさん入ってるじゃないっすか。ずるいなぁ、俺のには一個も無かったのに」
「なんや、食いたいんか? ほら、口開けろ。食わせてやるから」
「あーーーーん? うまっもちもちしてる! ふくたいちょ〜〜」
「そんなにか? それやったら、もう一個やろか? こら、言う前から顔こっちにやるな。しゃあないなぁ、ほら……そない、口大きく開けんでもええて。ほんま、かわいい奴やなあ」
もう、お前ら付き合えよ――――!!!!
心の叫びが音割れするほど、声を大にして言いたい。だが、現状としては頭を抱えるしかないのだ。これは所謂、不成(ならず)の森というやつだろう。
そして、今後この二人と共に出かけるのはやめる、俺はそう誓ったのだった。
店の天井に届きそうなほど縦長なパフェがある、らしい。
その話題で盛り上がり、休みの重なった三人――俺、出雲ハルイチと伊春、カフカのメンバーでその店へと真偽を確かめに行くこととなった。予定外であったのは、もう一人参加して四人になったことだ。
「へえ、おもろそうやな。僕も一緒に行ってええか?」
「え? 副隊長、今日お休みなんですか?」
「半日休みやねん。一日はとれへんくてなあ」
「いやいや、そんな貴重な休みにパフェ見に行くとか……勿体ないっすよ」
「休みをどう使おうと僕の勝手やろ。それとも何か、僕が言ったらあかん理由でもあるんか」
「そんなことないですけど……つうか、むしろ一緒に行けるのすげぇ嬉しいですし」
副隊長とカフカが楽しそうに話をしている。
俺は何故かこういった現場をよく目撃してしまうのだ。何というか、今日も平和で良かったなと思う。
結局、副隊長を加えた四人で噂のパフェがあるお店へとやって来ていた。早速伊春が注文し、その到着を待つ。因みに、座席は俺と伊春、副隊長とカフカが向かい合わせになっている。
「うわあ~すげぇ! まじかよ」
伊春がいち早く感嘆の声をあげた。
それもそのはず、店員が持ってきたパフェは噂通りの高さであったのだ。何がすごいって、その高さもだがそれを難なくテーブルまで運んでくる店員のバランス感覚だろう。
「まじで、すごいな。副隊長の2倍くらいの高さあるんじゃないっすか!?」
「お前、今……僕の身長、馬鹿にしたんか?」
「いや、だってほら! ちょうど副隊長の頭がパフェの半分くらいの位置にあるし」
「それは僕が今、座ってるからやろ。阿呆か」
「あっそっか……でも、アホはひどいくないっすか!?」
また、ふたりで仲良くやってるなあと、横目で見ながら取り皿を配る。
「おっし、バッチリカメラに収めたし、これ食べようぜ〜」
「あ、ちょっと待って伊春。先に副隊長から」
俺が伊春を制止していると、僕のことは気にしなくていいからと隣から言葉がかけられる。
「おおっうめえ! これけっこうイケるぜ……なあ、おっさん?」
そういう伊春の声につられて、カフカのほうを見れば子どものように夢中になって頬張っていた。
「なんだそれ、汚ねえな〜」
夢中になりすぎて、カフカの口元がべしゃべしゃになっているのを伊春は大笑いしている。また、横からも笑い声が響いていた。
「カフカ、お前。どこの子どもやねん! ほら、口拭いてやるから、こっち向き……もっと、こう……拭きやすいように口元こっちに突き出して」
「こう、ですか?」
言われた通りにカフカはうっと唇を前へと突き出している。
その様子を見た伊春は不細工なキス顔晒すなよとまたもや大笑いしていた。
「ほんまかわええな、ちゅうしたなるわ」
その笑い声にかき消されて他の人には聞こえなかったかもしれないが、俺の耳はその言葉をばっちり拾ってしまっている。
いつもの掛け合いで陽気な漫才のようなものは微笑ましいくらいで済ませられるが、ここまでくるともはや恋人のそれのようで。だが、この二人驚くことにお付き合いなどしていないのだ。もういっそのこと、付き合っていてさえくれれば、こんなところで何やってるんだ惚気るなよなどと軽く言えたかもしれないのに。
「ハルイチ、どうした? アイスのとこ、溶けてるぞ。早く食わねえと」
俺も伊春のように、頓着しない性格だったら良かったなあとつくづく思ってしまう。
「伊春はいいな……ずっと、そのまま変わらずいてくれよ」
「何言ってんだ、お前?」
そんな会話をしている横で、恋人(仮)のやりとりが続いている。
「ああ! 副隊長のところに白玉たくさん入ってるじゃないっすか。ずるいなぁ、俺のには一個も無かったのに」
「なんや、食いたいんか? ほら、口開けろ。食わせてやるから」
「あーーーーん? うまっもちもちしてる! ふくたいちょ〜〜」
「そんなにか? それやったら、もう一個やろか? こら、言う前から顔こっちにやるな。しゃあないなぁ、ほら……そない、口大きく開けんでもええて。ほんま、かわいい奴やなあ」
もう、お前ら付き合えよ――――!!!!
心の叫びが音割れするほど、声を大にして言いたい。だが、現状としては頭を抱えるしかないのだ。これは所謂、不成(ならず)の森というやつだろう。
そして、今後この二人と共に出かけるのはやめる、俺はそう誓ったのだった。
