保カフ その他
保カフ 『答え合わせ』
「そんなところで、何してんねん」
物陰に隠れるようにして様子を窺っていたカフカに声をかける。すると、びくりと体を跳ねさせ、こちらを振り向いた。
「保科副隊長、びっくりさせないでくださいよ」
カフカが熱心に覗いていた方を見やると、少し離れたところに二人の隊員が何やら話し込んでいる。
「その、市川が……他の隊の女性隊員に呼び出されまして」
「なんや、告白されとんのか」
「まあ、十中八九そうでしょうね」
恐らく市川と同年齢くらいの女性隊員が頬を染めつつ話している。一方、市川は非常に困ってますという顔をしながらその女性の話を聞いていた。
「あの様子やとお断りするようやなあ」
「もったいねえな、結構かわいい子なのに」
かわいい、やと? ああいうのが好みなんか!?
そう詰め寄りたいところをぐっと堪える。
落ち着け、宗四郎。まだそうと決まったわけやないやろ。
自分に言い聞かせながら感情を噛み砕き考え、上官というものから逸脱しない程度の言葉へと変換する。
「お前が好みでもしゃあないやろ」
「え? あっいや、違いますよ。一般論というか……それに俺、年下は対象外なんで」
年下は対象外……トシシタハタイショウガイ……としした……
あかん、もう分からへん。意味飽和しとる。
今こいつは何て言うた?
「副隊長、どうしました? 目頭おさえて」
「昼に食べたワサビが目にしみただけや」
「え、今頃!? そんな時間差でしみることあります?? つうか昼飯何食ったんすか!?!」
大丈夫ですかと心配しているカフカに見られないように、涙を散らしながら恐る恐る尋ねてみた。
「因みにや、トシシタハタイショウガイって、なんでや」
途中なんで片言なんすか、と不思議そうにしている。お前のせいや。
「年下の女の子はミナのイメージと重なるというか……なんか、妹みたいなんすよね。だから、無理かなぁって」
「そうかあ……それやったら、弟はどうやねん。ええよな? ぎりぎり合格やんなあ!?」
「弟!? ってなんですか……? どういう意味――え、あれ? 副隊長!? 大丈夫ですか? またワサビですか??」
ちょっと、すまん。少し泣かせてくれ。
そう言うと、カフカはハンカチを貸してくれようとポケットを弄っている。あったと取り出したハンカチはぐちゃっとしていて、いつからそこに留まっていたのかと思わせる形をしていた。
「すいません、やっぱハンカチないっす」
「僕なら構わんで。むしろ、ありがたい。何やったら、僕のハンカチと交換するか?」
「自分のがあるなら、そっち使って下さいよ」
なんやねん、思わせぶりか。自分のハンカチで涙拭いて何が楽しいねん。
荒ぶる心をぎゅうぎゅうと抑え込んでいると、でも最近変化があってとカフカが話し始める。
「自分が年取ったせいか分かんないすけど、その……年下もありかなぁと」
お前、それをはよ言えや。ようやっと、一筋の光明が差してきたかもしれん。いや、待て。お前、その顔なんやねん。いかにも恋してますみたいな乙女顔は。自分おっさんのくせに。
誰や、どこのどいつや……あかん、こいつの周りほとんど年下やんけ!
「お前、好きな奴でもおるんか」
「ああ、えっと……その、はい。いま、す」
なんで、一瞬こっち見たんや。その顔、めっちゃかわいいな……とか言うとる場合やなかったわ。やっぱり、おるやんけ好きな奴。くっそ、カフカに想われるなんて羨ましい奴や。
「因みに、それは僕の知っとるやつか?」
「そう……っすね」
だから、なんで僕を見るねん。ほんまかわいいな。
「ヒントもらってもええ? 当てられたら、なんかピタリ賞とかもらいたいなあ」
ヒントと呟いて、カフカは考え込む。
絶対一発で当てたる。そんでピタリ賞として、カフカを所望するんや。
「強くて、格好良くて。責任感があって、部下にも優しくて。刀を扱える……名家生まれの人、っすかね」
それって、まさか…………あのクソ兄貴か!? いや、待てよ。あいつ……カフカと同じくらいの年やなかったか? ってことは――
「え…………もしかして、僕?」
「副隊長って、頭の回転速いくせに気づくの遅いっすね」
僕とカフカ、ふたりとも顔を赤くしながらも見つめあい暫し無言。
そこへ、人の告白現場覗き見しながら、告白するとかあんたら頭おかしいだろ! 他所でやれ! と告白され帰りの市川レノが怒りながらやって来るまであと残り五秒――
「そんなところで、何してんねん」
物陰に隠れるようにして様子を窺っていたカフカに声をかける。すると、びくりと体を跳ねさせ、こちらを振り向いた。
「保科副隊長、びっくりさせないでくださいよ」
カフカが熱心に覗いていた方を見やると、少し離れたところに二人の隊員が何やら話し込んでいる。
「その、市川が……他の隊の女性隊員に呼び出されまして」
「なんや、告白されとんのか」
「まあ、十中八九そうでしょうね」
恐らく市川と同年齢くらいの女性隊員が頬を染めつつ話している。一方、市川は非常に困ってますという顔をしながらその女性の話を聞いていた。
「あの様子やとお断りするようやなあ」
「もったいねえな、結構かわいい子なのに」
かわいい、やと? ああいうのが好みなんか!?
そう詰め寄りたいところをぐっと堪える。
落ち着け、宗四郎。まだそうと決まったわけやないやろ。
自分に言い聞かせながら感情を噛み砕き考え、上官というものから逸脱しない程度の言葉へと変換する。
「お前が好みでもしゃあないやろ」
「え? あっいや、違いますよ。一般論というか……それに俺、年下は対象外なんで」
年下は対象外……トシシタハタイショウガイ……としした……
あかん、もう分からへん。意味飽和しとる。
今こいつは何て言うた?
「副隊長、どうしました? 目頭おさえて」
「昼に食べたワサビが目にしみただけや」
「え、今頃!? そんな時間差でしみることあります?? つうか昼飯何食ったんすか!?!」
大丈夫ですかと心配しているカフカに見られないように、涙を散らしながら恐る恐る尋ねてみた。
「因みにや、トシシタハタイショウガイって、なんでや」
途中なんで片言なんすか、と不思議そうにしている。お前のせいや。
「年下の女の子はミナのイメージと重なるというか……なんか、妹みたいなんすよね。だから、無理かなぁって」
「そうかあ……それやったら、弟はどうやねん。ええよな? ぎりぎり合格やんなあ!?」
「弟!? ってなんですか……? どういう意味――え、あれ? 副隊長!? 大丈夫ですか? またワサビですか??」
ちょっと、すまん。少し泣かせてくれ。
そう言うと、カフカはハンカチを貸してくれようとポケットを弄っている。あったと取り出したハンカチはぐちゃっとしていて、いつからそこに留まっていたのかと思わせる形をしていた。
「すいません、やっぱハンカチないっす」
「僕なら構わんで。むしろ、ありがたい。何やったら、僕のハンカチと交換するか?」
「自分のがあるなら、そっち使って下さいよ」
なんやねん、思わせぶりか。自分のハンカチで涙拭いて何が楽しいねん。
荒ぶる心をぎゅうぎゅうと抑え込んでいると、でも最近変化があってとカフカが話し始める。
「自分が年取ったせいか分かんないすけど、その……年下もありかなぁと」
お前、それをはよ言えや。ようやっと、一筋の光明が差してきたかもしれん。いや、待て。お前、その顔なんやねん。いかにも恋してますみたいな乙女顔は。自分おっさんのくせに。
誰や、どこのどいつや……あかん、こいつの周りほとんど年下やんけ!
「お前、好きな奴でもおるんか」
「ああ、えっと……その、はい。いま、す」
なんで、一瞬こっち見たんや。その顔、めっちゃかわいいな……とか言うとる場合やなかったわ。やっぱり、おるやんけ好きな奴。くっそ、カフカに想われるなんて羨ましい奴や。
「因みに、それは僕の知っとるやつか?」
「そう……っすね」
だから、なんで僕を見るねん。ほんまかわいいな。
「ヒントもらってもええ? 当てられたら、なんかピタリ賞とかもらいたいなあ」
ヒントと呟いて、カフカは考え込む。
絶対一発で当てたる。そんでピタリ賞として、カフカを所望するんや。
「強くて、格好良くて。責任感があって、部下にも優しくて。刀を扱える……名家生まれの人、っすかね」
それって、まさか…………あのクソ兄貴か!? いや、待てよ。あいつ……カフカと同じくらいの年やなかったか? ってことは――
「え…………もしかして、僕?」
「副隊長って、頭の回転速いくせに気づくの遅いっすね」
僕とカフカ、ふたりとも顔を赤くしながらも見つめあい暫し無言。
そこへ、人の告白現場覗き見しながら、告白するとかあんたら頭おかしいだろ! 他所でやれ! と告白され帰りの市川レノが怒りながらやって来るまであと残り五秒――
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