保カフ その他
鳴カフ 『酔っぱらいブギウギ』
「なんだ、これは」
それは部下に呼び出され仕方なく向かった飲み屋で、鳴海が開口一番発した言葉である。
「すみません、隊長。そんなに呑ませたわけじゃないんですけど」
申しわけなそうに話しているのは小隊長の三宅だ。
本日は第一部隊による小隊長決起集会という名の飲み会が催された。そこに、小隊長となった日比野もお呼ばれしたのである。何故日比野がと問われれば、その答えは単純明快。第一部隊隊長こと鳴海弦とお付き合いしているということで、皆彼に興味津々なのだ。酒を呑ませ根掘り葉掘り聞いてやろうという魂胆だったのだが、思いの外日比野が酒に弱くほとんど聞けずじまい。しかも酔い潰れあろうことか隊長を呼べの一点張りに皆困り果て、仕方なく隊長を恐る恐る呼び出すという前代未聞の事態がなされたところである。
「あ~やっと来たぁ! 弦くん、遅いぞー待ちくたびれた」
「はぁ……なんか知らんが、とにかく帰るぞ。この酔っぱらいめ」
日比野の弦くん呼びに一同ぎょっとしていたが、鳴海は気にすることなく恋人を抱きかかえさっさっと帰ろうとする。だが、日比野は駄々をこねて隊長の服の裾をぐいぐいと引っ張っていた。
「ちがーう! いつもみたいにカフたんって言ってくれるまでおれ帰らないもん」
もんってお前いくつだと思いはするけれど、それより何よりカフたんの衝撃が強すぎて小隊長たちはざわつき始める。
まさかそんな我らが隊長様がそんなこと言うわけない、と鳴海のほうをちらりと見れば顔を真っ赤にし恥ずかしさに打ち震えながら口を開く。
「帰るぞ、カフ……た、ん」
言った! 言ったぞ!!
あの隊長様の口からたんとか聞けるなんて、日比野のマジ感謝。誰か録音とか撮影とかしていてくれと願う小隊長たちの心はひとつだ。
彼らは小隊長という呼び名をもつが、またの名を鳴海弦親衛隊であり所謂ただの一ファンでもあるのだ。だから、今のこの状況は彼らにとってこれ以上ない供給と言えるだろう。
「弦くん、手かして〜?」
日比野に言われるがまま鳴海が手を差し出せば、その指に箸袋を巻き付けられる。ゔーうまくいかないなぁと言いながら、鳴海の指と自身の指にも巻いていく。手元がおぼつかなく巻かれたそれは、なんとも不格好だ。
「できたあ~おそろい……そんでもって、おれたちけっこんしました! なんちゃって〜」
左手薬指に巻かれたそれを掲げるように鳴海の腕を無理やり上げさせ、そこへ日比野自身も左手を寄せていく。
小隊長たちは無言で携帯を取り出し、撮影会よろしくバシャバシャとシャッターをきっていく。フラッシュに照らさられる中、日比野は証拠写真撮られちゃったとご機嫌だ。そんな日比野の手を掴み、鳴海はその指輪もどきに口づける。
「……そのうち、本物を買ってやる。覚悟しておけよ、日比野カフカ」
その言葉をきょとんとした顔で受けとめた日比野は、分かっているのか否か。いや、きっと伝わっていないのだろうと可笑しそうに鳴海は柔らかな笑みを浮かべた。
「ひびのかふかはもうおいとまします〜きょうはありがとうございました! またさそってくだしゃいっ……さようなら~」
そんな挨拶をしている日比野を、鳴海は引き摺るようにして連れ帰っていった。
「今日は良い日だな」
「そうね……これを肴にまだまだ呑めそうなんだけど、私」
「じゃあ、もう一軒行くか」
小隊長たちの夜はまだ終わらない。

「なんだ、これは」
それは部下に呼び出され仕方なく向かった飲み屋で、鳴海が開口一番発した言葉である。
「すみません、隊長。そんなに呑ませたわけじゃないんですけど」
申しわけなそうに話しているのは小隊長の三宅だ。
本日は第一部隊による小隊長決起集会という名の飲み会が催された。そこに、小隊長となった日比野もお呼ばれしたのである。何故日比野がと問われれば、その答えは単純明快。第一部隊隊長こと鳴海弦とお付き合いしているということで、皆彼に興味津々なのだ。酒を呑ませ根掘り葉掘り聞いてやろうという魂胆だったのだが、思いの外日比野が酒に弱くほとんど聞けずじまい。しかも酔い潰れあろうことか隊長を呼べの一点張りに皆困り果て、仕方なく隊長を恐る恐る呼び出すという前代未聞の事態がなされたところである。
「あ~やっと来たぁ! 弦くん、遅いぞー待ちくたびれた」
「はぁ……なんか知らんが、とにかく帰るぞ。この酔っぱらいめ」
日比野の弦くん呼びに一同ぎょっとしていたが、鳴海は気にすることなく恋人を抱きかかえさっさっと帰ろうとする。だが、日比野は駄々をこねて隊長の服の裾をぐいぐいと引っ張っていた。
「ちがーう! いつもみたいにカフたんって言ってくれるまでおれ帰らないもん」
もんってお前いくつだと思いはするけれど、それより何よりカフたんの衝撃が強すぎて小隊長たちはざわつき始める。
まさかそんな我らが隊長様がそんなこと言うわけない、と鳴海のほうをちらりと見れば顔を真っ赤にし恥ずかしさに打ち震えながら口を開く。
「帰るぞ、カフ……た、ん」
言った! 言ったぞ!!
あの隊長様の口からたんとか聞けるなんて、日比野のマジ感謝。誰か録音とか撮影とかしていてくれと願う小隊長たちの心はひとつだ。
彼らは小隊長という呼び名をもつが、またの名を鳴海弦親衛隊であり所謂ただの一ファンでもあるのだ。だから、今のこの状況は彼らにとってこれ以上ない供給と言えるだろう。
「弦くん、手かして〜?」
日比野に言われるがまま鳴海が手を差し出せば、その指に箸袋を巻き付けられる。ゔーうまくいかないなぁと言いながら、鳴海の指と自身の指にも巻いていく。手元がおぼつかなく巻かれたそれは、なんとも不格好だ。
「できたあ~おそろい……そんでもって、おれたちけっこんしました! なんちゃって〜」
左手薬指に巻かれたそれを掲げるように鳴海の腕を無理やり上げさせ、そこへ日比野自身も左手を寄せていく。
小隊長たちは無言で携帯を取り出し、撮影会よろしくバシャバシャとシャッターをきっていく。フラッシュに照らさられる中、日比野は証拠写真撮られちゃったとご機嫌だ。そんな日比野の手を掴み、鳴海はその指輪もどきに口づける。
「……そのうち、本物を買ってやる。覚悟しておけよ、日比野カフカ」
その言葉をきょとんとした顔で受けとめた日比野は、分かっているのか否か。いや、きっと伝わっていないのだろうと可笑しそうに鳴海は柔らかな笑みを浮かべた。
「ひびのかふかはもうおいとまします〜きょうはありがとうございました! またさそってくだしゃいっ……さようなら~」
そんな挨拶をしている日比野を、鳴海は引き摺るようにして連れ帰っていった。
「今日は良い日だな」
「そうね……これを肴にまだまだ呑めそうなんだけど、私」
「じゃあ、もう一軒行くか」
小隊長たちの夜はまだ終わらない。

