倶東国編
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08
恋や愛は脳内麻薬で感覚が麻痺し、好きだと思い込むことで生じるのだと以前なにかで聞いた気がする。
その現場を今まさに目の前で見ていた秋風は、なんとなくそれを眺めていた。そして漠然と思う。
恋とはこんなに激しいものなのだろうか。
そういえば、前の世界でも苦悩する様子を見ていたなと思い出した。
なんか知らない間に相棒たる青年が、敵方の女と相思相愛になっていた。その時に相棒がやたら悩んでいたことがあった気がする。
確か二人は幼馴染みで、離ればなれになっていたが再会してお互いの大切さに気づいたらしいが、皮肉にも敵味方に別れ、お互いに譲れないものがあって戦うとかなんとか。なんつー再会いだよと感想を述べたっけか。
これを聞いたのは戦いが終わった後だったので詳しくは分からないが、くっつくまでの期間、やたら悩んでいたのを見ていたので覚えている。
(……元気かな、平家のみんな)
やや現実逃避に近い気持ちで唯の後ろ姿を見つめていたが、唯が女官から何かを受け取り口にしたのを目にし見開く。
迷いなく口に含んでいるところを見る限り毒ではなさそうだ。
彼女はそのまま鬼宿にキスした。
口移しでそれを彼に与えたのだろう。さらに女官から水をもらい再度口移しで流し込ませる。
用意がいいな、と眉をしかめ彼女たちを観察する。女官の中に心宿と割りと近い者を一人見つけ脳裏にあの男の笑みが浮かんだ。
(これもアイツの計画の内か。それにしてもいつ唯と接触し、あの薬を渡した?)
自分が張り付いているときには手を出せない。だから側を離れていた時だろう。
そういえば、鬼宿が「あのときに言えなかった」や「美朱に合う前に」と言っていた。
唯が鬼宿の看病をしてる間に、どういう手段か知らないが朱雀側から接触し、その事で唯が形振り構わない行動にでたのだろう。
その時に頼ったのが自分ではなく心宿だったと考えれば納得がいく。
「すまないが、誰が人手を呼んできてくれ。気絶している彼を運ぶ。
それから唯……巫女を部屋へ。湯冷めしては風邪をひくからな。ああ、それから心宿将軍に連絡をしてくれ。鬼宿は倶東に留まることになったとな」
「御意」
心宿が唯に渡したということはそういうことだろう。
女官が伝言を伝えにいくのを見送り、秋風は目を細めた。
「あとは朱雀側か……」
初出2015/03/30
修正転載2023/11/04