倶東国編
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06
朱雀の巫女が失明したと聞いて倶東国から出ようとした鬼宿が捕まり、心宿から折檻を受けてから5日が過ぎた。
この5日間、唯は鬼宿の看病で部屋に詰めていた。
よって秋風も警護で同様に彼の部屋に詰めていた……はずだったが、唯が必要ないというので警護は1日しかしていない。
宮殿内な上、その中でも警備が厳重な部屋なので心配はない。
国の救世主たる青龍の巫女を傷つけるような輩も存在しないので、少し心配ではあったが護衛は他の兵士に任せることにした
かわりに青龍七星士の一人で紅一点の房宿と4日間一緒だったのは、秋風にとって不思議な出感覚だった。
彼女とは顔を合わせても挨拶くらいしかしない仲だ。
なんでも花街上がりだったとかで、年に似合わず妖艶な美女っぷりな彼女は、女なのに女らしくない秋風にずっと興味があったそうで、護衛を外された日に房宿から声をかけられた。
―――――
「ねぇあんた、なぜ戦うことを選んだのさ?」
「なぜって、なんだ?藪から棒に」
「別に剣を振るわなくても、あんたのその顔なら媚びる男くらい多そうだろう」
「……そういうあなたは何故戦うんだ?」
「質問を質問で返すんじゃないよ」
いつも着ている鎧を剥ぎ薄着なって寛ぐ房宿は、青龍七星士でも娼婦でもないただの女性だった。
自分が男だったらほっとかないなと何となく思いながら、質問の内容をかみ砕き考えてみる。
「一番は仲間や家族を守るため、そして自分を守るためにだな。私はな、迷子だったんだ。困っている所を拾ってもらった。
その人たちは家族として迎え入れてくれた。どこの生まれかなんて知れない不審者だったのに。優しくしてもらって、本当の家族みたいだった。
でもそんな彼らを倒そうとしている奴らがいたから、恩返しの意味も含めて戦うことにしたんだ」
「それは、またよく反対されなかったわ」
「そりゃ、反対されたさ。だから反対されないくらい強くなってやった。……ふふ、スパルタってああいうことを言うんだな」
若干遠い目をする秋風を不思議そうに眺め、房宿は手にしていた茶をすする。
その間に遠くに意識を持っていかれている秋風を客観的観察をしていた。
髪は長いが手入れなどはあまりしていないので、所々傷んでいるのが気になる。
それでも男装姿と合わせると凛々しく、それはそれで似合っていた。
「私よりいい環境にいたくせに奇特者じゃないさ。……でも、まあ、恩返しに戦うというのは分かるわ」
「それがあなたの戦う理由か」
「それも理由のひとつ。あとは教えないわよ」
「……ま、戦う理由は人それぞれだしな」
そっけない房宿の言葉に、秋風は苦笑いで返した。
―――――
そんな他愛もない会話だったが、何となく二人は気があったのかそれから顔を見れば世間話をするくらには仲が深まった。
――5日。
ふむ、と秋風は空を仰ぐ。
どうやら心宿が画策し、なにか罠を朱雀側に仕掛けたらいし。
青龍七星士と顔を合わせたのは両手で足りるくらい少ないので、誰が何をしているのか分からない。
もしかしたら、仕掛けた罠は手下を使ってかもしれないが。
そういえば、双子の片割れと最近あっていないな…と空を流れる雲を眺めながら秋風はぼんやり思った。
罠はその七星士が仕掛けていると知るのはすぐ後。
初出2015/03/29
修正転載2023/11/04