出向~女誠国編
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2
「疲れた……っ」
なんだあれ。妙に歓迎され豪華な料理で接待された。女誠国――話には聞いていたが本当に女しかいなかった。
目通りした女王、脇を固める侍女や兵士、給仕に至るまで全てが女。男の影は見当たらず、気配すらないという徹底ぶり。
あらためて、房宿の言葉に従い女の服装に着替えておいてよかったと思えるほどだった。男に対しての嫌悪感と残虐性が垣間見える接待に気疲れした秋風は、よろよろと歩きながら呻き続けている。
その少し前では同じ接待を受けたはずの房宿が、すまし顔で歩いていた。
自分たちが着ている民族衣装は西の国のものだそうで、設定上、祖国に帰る女性とその護衛として船旅中嵐にあい座礁。運よくこの国に流れ着いた旅の者という体で今に至る。
一日遅れで朱雀組が流れ着いたので、先回りは成功と言えるのだろう。だがいかんせん、中々に濃い接待内容に足止めどころではなくなってしまっている。
「ほらしゃきっとしな。これからが大事なんだから」
「わかってる。わかってるんだが、どうもあの人達にあてられて気分がすぐれない。よくあんたは平気だな」
「あれくらい普通だろう。ったく、事前に説明してやったというのに」
「まさか世間話ではじめた酒の話で、男の眼球漬けになるなんて思いもよらなかったんだよ。精々種馬扱い奴隷扱いのようなものだと思っていたが、私の考えが甘かった……」
「だから今日は静かだったのか」
納得がいったと頷く房宿は風に靡く髪を整え、あらためて帽子をかぶり直していた。
今から作戦実行。周りの騒がしさから探りを入れ、朱雀七星士が男と見破った兵士たちが探し回っていると知り、この好機を見逃さず仕留めることになっている。
夜遅く暗闇が支配する今が好機とみて、房宿は足止めだけでなく、朱雀の巫女をのものを葬り去ろうとしているようだったが。まあ、足止めだろうが暗殺だろうがどうでもいい。
「ふう……。でだ、話を戻すが兵士たちが追いかけ回してくれているおかげで、チリジリになったようだ。
巫女が単独になったところ房宿は彼女に接触、排除。私は七星士が巫女の所に行かないように足止めでいいんだよな?」
「ああ。一体多数だからあんまり期待しないでおくよ」
「そこはウソでも頑張れと言ってくれ」
房宿の言うように一体多数なので、こちらが不利になるのは分かっている。自分はあくまでも足止めの役割に徹しよう。
「ではのちほど」
お互いの武運を祈りそれぞれ歩き出す。
房宿は草むらに身を隠しながら周囲の様子を窺い、北甲国の近道とされる西の城壁に先回り。そこで巫女を待ち伏せする。
秋風は騒ぎが大きい所にでさらに場を混乱させ、七星士を城壁に近づかせないようにすること。成功すれがいいが、仮に失敗した時のために逃走経路も確保してある。
「さてあの騒ぎが一番近いか」
城壁近くがぎゃあぎゃあうるさい。兵士たちの甲高い声に紛れて男の声も聞こえるが、誰も声か特定はできそうになかった。
そもそもの話だが、朱雀七星士とたいして面識があるわけでもないので、特定などできるはずもないのだけれども。
久しぶりの運動にはちょうどいい。秋風の口元がニッと笑みを描いた。
初出2023/11/18