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※
『……柳宿、目が見えなくなりました。それに耳も………左耳も聞こえ、ない……っ』
何を言ったのか分からなかった。
ただ頭が真っ白になって。
美朱の目が治ったと同時に、目が見えなくなり耳が聞こえなくなった浅葱を抱えながら、自分の心臓の音を聞いていたような気がする。
柳宿はぐったりと寄りかかるように体を預けてくる浅葱を気にかけながら、都の入り口を馬で駆け上がった。
もうすでに空は暗くなり、人通りもまばらだ。そんな時間帯に都についた柳宿は、偶然通りかかった少華に声をかけた。
「少華さん!!お願いがあるの!」
「どうしました?あの…落ち着いてください」
「この子の目と耳を治してくれないかしら!?病にかかったらしいのよ!」
馬からよろめきながら降りた浅葱を少華に見せる。
彼女は口に袖を持っていくと困ったように浅葱を見たあと、柳宿に視線を移しゆっくり首を振った。
「私にはどうすることもできません」
「え……?」
彼女の話によれば、彼女の力は『死んだ者を蘇らせる』だけで、生きている者を治す力ではないらしい。
柳宿は顔を凄め少華に掴みかかる。
「ちょっと!あんたは浅葱に死ねって言いたいの!?」
「柳宿ダメ。少華さんに乱暴はダメだよ!」
柳宿たちに追いついた美朱が、柳宿の腕に飛びつき、彼の乱暴な行動を止めに入る。
息を切らせ自分の腕に抱きついた美朱に、柳宿は少しだけ冷静さを取り戻し掴んでいた手を離した。
美朱の他にも、追いついたらしい星宿の馬の鳴き声と、滝のように汗を流した翼宿が柳宿の目に入り、彼は自身を落ち着かせるべく深く息を吐き出す。
浅葱の様子を窺えば、自分が連れてきた馬に寄りかかる態勢で瞼を閉じじっとしていた。
「そうね……。冷静にならなきゃね。少華さんもごめんなさい。乱暴なマネをしてしまったわ」
「いいえ、大事な方が病に侵されてしまったのなら無理からぬことです。私は気にしていません」
そういうと少華は今から行くところがあると、頭を下げ去っていった。
きっと彼女は今から死者を復活させるためいに行くのだろう。
柳宿は浅葱の隣に歩み寄り、彼女の柔らかな頬をひと撫でする。
この温もりが消える前に治したい。しかし治す手立てはない。もし万が一、死ぬことがあれば――。
いや考えるのはやめておこう。最悪を考えれば、結果はそれに引きずられてしまう。
「大丈夫よ、あんたは必ず治すから」
「私は大丈夫です。……この都にも医者はいるはずですよね。
だったら1人くらい治療できるかたがいるかもしれませんし、皆には迷惑をかけますが探してみましょう」
見えないはずの目をしっかり柳宿に定め、浅葱は健気に希望を口にする。
怖いはず。不安なはずなのに。
「そうだよ! きっとほかに方法があるはず! みんなで探せば病気も怖くない!」
浅葱の言葉に美朱は無理に明るく同意し、腕を上に突き上げる。
浅葱からは「それは道路の……」と弱弱しいツッコミをいただいていた。
「ぜぇ…ぜぇ…。なんやまた歩くんかい…っ」
治せる医者を探すことに決まった中、汗だくの翼宿がうめき声をあげる。
目は見えずとも、唯一聞こえる耳に彼のぐったりと声が聞こえ、浅葱はコテンと首を傾げた。
「どうして翼宿は疲れてるんですか?」
「そこのオカマが暴走したさかい、被害を被ったんじゃー!」
キレた翼宿に目を瞬かせた浅葱は、わからないとまた首を傾げていた。
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