19話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※ ※
周囲は既に夜に染まってしまっている。そんな中で彼らは状況を説明しあっていた。
浅葱は幻狼が旅に出ていた理由と、本来頭になるはずだったのが彼だと知り目を細める。
彼は病で死の淵にいたお頭のために薬を探しに山を下りたが、そんな彼の努力も空しく頭は一ヶ月前に亡くなってしまった。
そして幻狼がいないのをいいことに、睿俔が頭に治まっていたしまったらしい。
「先代…死ぬ間際までお前のこと気にしとったで」
そう言うと攻児はしんみりと肩を落とす。
浅葱はそこまで手下に慕われていた先代の頭に、少しだけ会ってみたかったと思った。そうしたら、もしかしたら翼宿探しのことで協力してくれたかもしれない。
ここまで話が大きくなる前に解決したかもしれないと思うと、見知らぬ人だというのに惜しい人がいなくなってしまったと残念に思う。
そこで浅葱はハタッと思いつき、二人に声をかけた。
「幻狼さん」
「なんや」
「幻狼さんお頭になってください!」
「「はぁ!?」」
突然の提案に幻狼と攻児は呆気にとられ、浅葱の言葉を脳内でリピートする。
浅葱は「そうですよ!」と手を握りしめ、自分の考えを口にした。
「あんなおぞましくて卑怯なデブはお頭に相応しくありません。その点、幻狼さんは顔つきは怖いですが何かを惹き付ける力があります!
本来幻狼さんがなるはずだったのなら、別に頭が変わっても本来の形に収まるんだけです。
それに幻狼さんがお頭になってくれれば、翼宿を探すのも楽になります!」
一石二鳥です。と一気に捲し立てた浅葱を二人は唖然と見つめる。
さっきまで無言で聞いていたヤツとは思えず幻狼たちはその言葉を飲み込むのに時間がかかった。
※
お頭云々はともかく、睿俔を倒すということで利害が一致した三人は、アジトの庭先に着て身を潜めていた。
外からでは中の様子は僅かにしか窺い知れないが、それでも大きく開け放たれた窓から、睿俔が眉間にシワを寄せ手下を集め幻狼たちを待ち構えているのが見える。
広間には所狭しと男たちがひしめき合い、なんとも暑苦しい光景だ。
それにしても…と浅葱は睿俔たちを眺めながら、疑問に思ったことを二人に聞いた。
「なんであんな人にみんな着いていくんでしょう?」
「オレらは頭の形見のアレに弱いんや。それを今はアイツが持っとるからな」
「アレ?」
「ハリセンや!」
「…………」
まさかの武器の名前に浅葱は目を瞬かせる。ハリセンとはあのハリセンなのだろうか?
ノリがお笑いの人たちに近いと思ってたが、まさか武器すらコントに使用する物だとは思わなかった。
「鉄扇のこっちゃ。呪文で真火を発生させて獲物だけを一瞬で灰に出来る特別製や」
「ただのお笑い道具にあらずですね。まるで手品です」
「まずはアレをなんとかせんと。どわっ!?」
ごそごそと懐を探っていた幻狼は、不意に草むらからつき出された剣に驚き飛び退いた。ヒラヒラと紙が地面に落ちる。
「探したぞ貴様!浅葱はどこにいる!?」
「星宿様、私はここです!私は無事ですから、幻狼さんから剣を引いてください」
「浅葱!?怪我はないか!?」
「はい」
焦りつつ浅葱の体を丹念に見た星宿は、ほっと胸を撫で下ろし掲げていた剣を下げる。
連れ去らわれた先で、危険な目に合わなかったことに一先ず安心したらしい。
星宿には心配をかけ通しで申し訳ないく思い、大丈夫だと安心させるように浅葱は大きく頷いた。
「あ、浅葱!柳宿、浅葱がいたよ!」
「ちょっと美朱!引っ張らないで頂戴!」
「美朱、柳宿も…無事でよかった…」
星宿に続き、草むらから飛び出してきた美朱と柳宿を目に止め胸を撫で下ろす。
あの状況で三人とも無事だったのは嬉しい。もしかしたら、怪我でもしているのはと思っていたが、誰も傷ひとつなかったことに安心した。
それは柳宿も同じで、浅葱を見るや彼女の身体を抱きしめた。
柳宿の体温に、浅葱は安心したかのようにフニャリと笑い彼の背中に腕を回した。
「…………」
「…………」
まるで別人な顔をした浅葱を見ていた幻狼たちはあんぐりと口を開ける。
それと同時に彼女に見惚れてしまった。
無から花のような笑みに変わった瞬間、キュンと胸が高なり幻狼たちはハッと我に返るとないないと慌てて頭を振った。
それでも柳宿に抱きしめられた浅葱から目が離せない。
心臓がやけに早くなりだしたことにも戸惑い、落としてしまった札を美朱が拾っていることにすら気づかない。
そんなことなど知らず、浅葱は柳宿にケガもないと伝えると、柳宿も安心したのか「よかったわ」と抱きしめていた体を離した。
そんな二人を尻目に、何やら地面ででごそごそ動く美朱に星宿が気づき、彼女の手元を覗き込んだ。
数枚の紙に何か文字を書き込んでいるらしい。
「美朱なにしてるのだ?」
「これ幻狼のだよね?」
「先ほど落としたようだったから、そうだろうな。それがどうしたのだ?」
「そっか!あのね、幻狼がこの紙を投げた時、紙が狼にかわったの。
だからなにか仕掛けがあるのかなって。……あ、紙の端に小さく『狼』って書いてある!」
「あら?それじゃあ紙に書いた物が具現化するのね」
美朱と星宿の会話に興味を惹かれた浅葱も加わり、興味で美朱が手にしている札を見る。確かに札には狼の文字が書き込んであった。
だからあの時、どこからともなく狼が現れたのかと納得している浅葱に構うことなく、美朱は何かを閃いたのかいそいそと紙になにかを書き込み始めた。
そんな美朱に星宿は苦笑し、幻狼に呼ばれるとそばを離れてしまった。
かわりに浅葱が書かれた文字を見て呆れ返る。
「…………美朱。それ幻狼さんに怒られるわよ」
「だって書いた物が現れるんでしょ? ずっと甘いもの食べてなかったしいいじゃん!」
えへへと笑う美朱に呆れため息をする。
そんな浅葱に、美朱は浅葱も書いてみる?と紙を一枚差し出してきた。
返そうにも美朱は自分の好きなものを書くことに一生懸命で、こちらを見ていない。
さらに少し離れた所では、幻狼と星宿たちが互いに腹を探り合いつつ利害が一致したのか作戦を練っていた。
ひらりと手にしている紙を揺らす。一枚くらいならいいかも。
僅かなイタズラ心に、浅葱は紙にペン(美朱の予備)を走らせた。
白い紙に黒い字で「懐かしい人物の名前」を書き込み彼女は寂しそうに目許を下げた。
「……あなた達って似てないようで似てるわね」
「えへへ」
何をしているのかは分かっていなくとも、同じ行動をする双子に柳宿が呆れているのが分かる。
美朱は笑って誤魔化し、浅葱はコテンと首を傾げていた。
「あっ、それはオレの呪符や!いつのまにとったんや!?返さんかい!」
柳宿の声に気がついた幻狼が、慌てて彼女達から紙を集め乱暴に懐に仕舞ってしまった。
何かをいう暇なく奪っていった幻狼に驚き、出来心で自分たちがラクガキしたことを言うこともできず目が泳いでしまう。
結局、後ろめたさもあり彼女は幻狼に本当のことが言えず、建物に勤しんで乗り込んでいく後ろ姿を見ているしかなかった。
(…………幻狼さん、ちょっとした出来心だったんです)
もうあとはあの紙を使わないことを祈るしかない。
浅葱は不安そうに瞳を揺らし、幻狼の後を追うように隣を歩いていた柳宿の服の裾を掴みながら足を進めるしかなかった。
周囲は既に夜に染まってしまっている。そんな中で彼らは状況を説明しあっていた。
浅葱は幻狼が旅に出ていた理由と、本来頭になるはずだったのが彼だと知り目を細める。
彼は病で死の淵にいたお頭のために薬を探しに山を下りたが、そんな彼の努力も空しく頭は一ヶ月前に亡くなってしまった。
そして幻狼がいないのをいいことに、睿俔が頭に治まっていたしまったらしい。
「先代…死ぬ間際までお前のこと気にしとったで」
そう言うと攻児はしんみりと肩を落とす。
浅葱はそこまで手下に慕われていた先代の頭に、少しだけ会ってみたかったと思った。そうしたら、もしかしたら翼宿探しのことで協力してくれたかもしれない。
ここまで話が大きくなる前に解決したかもしれないと思うと、見知らぬ人だというのに惜しい人がいなくなってしまったと残念に思う。
そこで浅葱はハタッと思いつき、二人に声をかけた。
「幻狼さん」
「なんや」
「幻狼さんお頭になってください!」
「「はぁ!?」」
突然の提案に幻狼と攻児は呆気にとられ、浅葱の言葉を脳内でリピートする。
浅葱は「そうですよ!」と手を握りしめ、自分の考えを口にした。
「あんなおぞましくて卑怯なデブはお頭に相応しくありません。その点、幻狼さんは顔つきは怖いですが何かを惹き付ける力があります!
本来幻狼さんがなるはずだったのなら、別に頭が変わっても本来の形に収まるんだけです。
それに幻狼さんがお頭になってくれれば、翼宿を探すのも楽になります!」
一石二鳥です。と一気に捲し立てた浅葱を二人は唖然と見つめる。
さっきまで無言で聞いていたヤツとは思えず幻狼たちはその言葉を飲み込むのに時間がかかった。
※
お頭云々はともかく、睿俔を倒すということで利害が一致した三人は、アジトの庭先に着て身を潜めていた。
外からでは中の様子は僅かにしか窺い知れないが、それでも大きく開け放たれた窓から、睿俔が眉間にシワを寄せ手下を集め幻狼たちを待ち構えているのが見える。
広間には所狭しと男たちがひしめき合い、なんとも暑苦しい光景だ。
それにしても…と浅葱は睿俔たちを眺めながら、疑問に思ったことを二人に聞いた。
「なんであんな人にみんな着いていくんでしょう?」
「オレらは頭の形見のアレに弱いんや。それを今はアイツが持っとるからな」
「アレ?」
「ハリセンや!」
「…………」
まさかの武器の名前に浅葱は目を瞬かせる。ハリセンとはあのハリセンなのだろうか?
ノリがお笑いの人たちに近いと思ってたが、まさか武器すらコントに使用する物だとは思わなかった。
「鉄扇のこっちゃ。呪文で真火を発生させて獲物だけを一瞬で灰に出来る特別製や」
「ただのお笑い道具にあらずですね。まるで手品です」
「まずはアレをなんとかせんと。どわっ!?」
ごそごそと懐を探っていた幻狼は、不意に草むらからつき出された剣に驚き飛び退いた。ヒラヒラと紙が地面に落ちる。
「探したぞ貴様!浅葱はどこにいる!?」
「星宿様、私はここです!私は無事ですから、幻狼さんから剣を引いてください」
「浅葱!?怪我はないか!?」
「はい」
焦りつつ浅葱の体を丹念に見た星宿は、ほっと胸を撫で下ろし掲げていた剣を下げる。
連れ去らわれた先で、危険な目に合わなかったことに一先ず安心したらしい。
星宿には心配をかけ通しで申し訳ないく思い、大丈夫だと安心させるように浅葱は大きく頷いた。
「あ、浅葱!柳宿、浅葱がいたよ!」
「ちょっと美朱!引っ張らないで頂戴!」
「美朱、柳宿も…無事でよかった…」
星宿に続き、草むらから飛び出してきた美朱と柳宿を目に止め胸を撫で下ろす。
あの状況で三人とも無事だったのは嬉しい。もしかしたら、怪我でもしているのはと思っていたが、誰も傷ひとつなかったことに安心した。
それは柳宿も同じで、浅葱を見るや彼女の身体を抱きしめた。
柳宿の体温に、浅葱は安心したかのようにフニャリと笑い彼の背中に腕を回した。
「…………」
「…………」
まるで別人な顔をした浅葱を見ていた幻狼たちはあんぐりと口を開ける。
それと同時に彼女に見惚れてしまった。
無から花のような笑みに変わった瞬間、キュンと胸が高なり幻狼たちはハッと我に返るとないないと慌てて頭を振った。
それでも柳宿に抱きしめられた浅葱から目が離せない。
心臓がやけに早くなりだしたことにも戸惑い、落としてしまった札を美朱が拾っていることにすら気づかない。
そんなことなど知らず、浅葱は柳宿にケガもないと伝えると、柳宿も安心したのか「よかったわ」と抱きしめていた体を離した。
そんな二人を尻目に、何やら地面ででごそごそ動く美朱に星宿が気づき、彼女の手元を覗き込んだ。
数枚の紙に何か文字を書き込んでいるらしい。
「美朱なにしてるのだ?」
「これ幻狼のだよね?」
「先ほど落としたようだったから、そうだろうな。それがどうしたのだ?」
「そっか!あのね、幻狼がこの紙を投げた時、紙が狼にかわったの。
だからなにか仕掛けがあるのかなって。……あ、紙の端に小さく『狼』って書いてある!」
「あら?それじゃあ紙に書いた物が具現化するのね」
美朱と星宿の会話に興味を惹かれた浅葱も加わり、興味で美朱が手にしている札を見る。確かに札には狼の文字が書き込んであった。
だからあの時、どこからともなく狼が現れたのかと納得している浅葱に構うことなく、美朱は何かを閃いたのかいそいそと紙になにかを書き込み始めた。
そんな美朱に星宿は苦笑し、幻狼に呼ばれるとそばを離れてしまった。
かわりに浅葱が書かれた文字を見て呆れ返る。
「…………美朱。それ幻狼さんに怒られるわよ」
「だって書いた物が現れるんでしょ? ずっと甘いもの食べてなかったしいいじゃん!」
えへへと笑う美朱に呆れため息をする。
そんな浅葱に、美朱は浅葱も書いてみる?と紙を一枚差し出してきた。
返そうにも美朱は自分の好きなものを書くことに一生懸命で、こちらを見ていない。
さらに少し離れた所では、幻狼と星宿たちが互いに腹を探り合いつつ利害が一致したのか作戦を練っていた。
ひらりと手にしている紙を揺らす。一枚くらいならいいかも。
僅かなイタズラ心に、浅葱は紙にペン(美朱の予備)を走らせた。
白い紙に黒い字で「懐かしい人物の名前」を書き込み彼女は寂しそうに目許を下げた。
「……あなた達って似てないようで似てるわね」
「えへへ」
何をしているのかは分かっていなくとも、同じ行動をする双子に柳宿が呆れているのが分かる。
美朱は笑って誤魔化し、浅葱はコテンと首を傾げていた。
「あっ、それはオレの呪符や!いつのまにとったんや!?返さんかい!」
柳宿の声に気がついた幻狼が、慌てて彼女達から紙を集め乱暴に懐に仕舞ってしまった。
何かをいう暇なく奪っていった幻狼に驚き、出来心で自分たちがラクガキしたことを言うこともできず目が泳いでしまう。
結局、後ろめたさもあり彼女は幻狼に本当のことが言えず、建物に勤しんで乗り込んでいく後ろ姿を見ているしかなかった。
(…………幻狼さん、ちょっとした出来心だったんです)
もうあとはあの紙を使わないことを祈るしかない。
浅葱は不安そうに瞳を揺らし、幻狼の後を追うように隣を歩いていた柳宿の服の裾を掴みながら足を進めるしかなかった。