19話
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首筋にかかる生臭い吐息に浅葱は我に返る。
どうにかこの危機を乗り越えようと、酒気に顔を歪め自由の利かない身体を精一杯動かし、必死の抵抗をはかる。
しかしそれも空しく、睿俔は肥えた巨体で身動きを封じ、勢いよく浅葱
の首筋に吸い付いた。
触れられた事が気持ち悪くて、そこから体全体が汚れていく気がして、どうにか睿俔を引き剥がそうとする。
「ゲヘへ。そない焦らさんでもええ。んん~?なんや?この赤い玉は」
「触らないでください!それに重い!臭い!退いて!!」
何をしても動かない睿俔に向かってキッと睨み付ける。
睿俔はその様子をニヤニヤと眺め、握っていたナイフを浅葱の首もとに当てた。
「おとなしくしとかな。『字』のあるヤツが誰か分からんでもええんか? そやな…仲間の命も惜しくないんか?」
「ッ……」
仲間の命とまだ見ぬ七星士の手がかり。それを盾に無理強いをしいてくる。
今ここで騒ぎ立てれば、別室にいる仲間たちに危険が及ぶ。それに、ようやく知れた仲間の手がかりも失ってしまうかもしれない。
大人しくなった浅葱に睿俔は口角を上げ、白く滑らかな肌に触れた。
大人しくなったが、それでも嫌悪感を湛えた目で睨み付けることだけは止めない彼女に、ゾクリと肌が泡立つ。
強い目力の恐怖ではない。これは征服欲だ。
睿俔はゴクリと唾を飲み込み先に進むべく浅葱の服をさらに寛がせ、鎖骨に埋め込まれている『赤い玉』を撫で上げた。
だんだん肌が外気に晒されるのを感じ、浅葱は唇を噛みしめる。
それでも恐怖と気持ち悪さに目尻に涙を浮かべながら、必死の抵抗とばかりに相手を睨み付けることだけは止めない。
このまま身を任せれば情報が手にはいる。騒がなければ美朱たちに危害を加えない。
それでも本能的な恐怖に、僅に身体が震えていた。
ああ、唯はこんな恐怖を味わって絶望したのか…と、遠く異国の地にいる親友を思い出す。
誰にも助けられず、叫んでも親友は来てくれず、こんな思いをして。
(いや…いや…いやっ!助けて!柳宿!!)
脳裏に優しく微笑む柳宿が浮かび上がり、浅葱は記憶の中の柳宿に向かって叫んだ。その時。
―――――ドゴォッ
部屋の壁が不自然にヘコみ、そこが爆音をたて崩れ落ちる。
現れたのは拳をつきだした柳宿と、腕の怪我を庇っている星宿、崩れ落ちた壁の一部を抱えそれを投げる姿勢な美朱だ。
さらに後ろには自分をここに連れてきた男がいるのが目に入った。
「~~~~~ッ!ウシブタ男!!浅葱から離れろぉー!」
「ぐぉ…!?」
美朱が投げた石が睿俔の顔面に直撃する。
「浅葱!無事か!?」
「美朱、星宿様…柳宿…ッ」
駆けよった星宿は浅葱の手に巻き付いている縄を切ってやると、安心させるように背中を叩いた。
「大丈夫か!?怪我はないか!?」
「……大丈夫、です。星宿様の方が痛そうです」
「なんのこれしきの傷。……浅葱、すまない。怖い思いをさせてしまったな」
「いいえ、私が迂闊だったんです。穏便に話し合いが出来ると思ったから……」
小刻みに震えながらも気丈に言う浅葱に、星宿はもう一度「すまない」と謝る。
襟ぐりが下がり肩まで露出している姿にぐっと口を引き結び、星宿はさりげなく服装を直してあげた。
未遂でよかったなどと口が裂けても言えない。支えている手から伝わる震えは、まぎれもなく彼女が感じた恐怖心そのもの。
たった一人で仲間たちのために頑張った浅葱に、星宿は安心させるよう微笑んで見せる。
星宿の笑みに多少安心したのか、浅葱もぎこちなく口元に笑みを浮かべ返した。
「あー!浅葱!アイツに何されたの!?」
「何って」
「いやー!首に赤いのついてるー!」
「……美朱、落ち着いて」
被害にあった自分よりも騒がしい妹に呆気にとられたが、そのおかげか浅葱の身体の震えは治まった……気がする。
美朱は浅葱の肌に埋め込まれている『赤い玉』に目をつり上げ、睿俔に何かされたのか!?と詰めよった。
しかも、その横には鬱血した痕。何をされたかなど一目瞭然だ。