19話
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浅葱が連れていかれてしまい、残された美朱たちは山賊の酒盛りの酌をしていた。
柳宿や星宿の容姿が並の女よりも優れた美貌の持ち主だったため、山賊たちは女と勘違いをしたらしい。
ホンモノの女の美朱とオカマの柳宿は直ぐに馴染んだが、星宿は傷つけられた矜持に額に青筋を浮かべていた。
それでも自分達の身の安全と、浅葱のために自身を偽り女になりきっている。
……とは言っても己の美しさを自負するだけで、根っからの男の星宿はこの状況に限界を感じていた。
柳宿が心配そうにコチラを窺っているのに気づき、頬をひきつらせながら平気だと目で答える。
そっと美朱を見ればいつの間に陣取ったのか、山賊たちの輪に加わり食べ物を口にしていた。腹を壊していたはずだが、復活したようだ。
美朱らしいと呆れつつもひっそりと笑っていた星宿は、自分が酌をしていた男の一言に顔色を変え服に掴みかかった。
「いま何と言った!?」
「あぁー
星宿は乱暴に服から手を離すと、奥の壁に駆け寄り無造作に立て掛けてあった剣を手に取る。
これは山賊たちに連れられて来た時に奪われたもの。他にも荷物があることから、ここに盗品を一纏めに置いていることが窺い知れた。
袋の山に、かなりの人間が盗賊たちに襲われたのが分かる。
皇帝として、一介の善良な人間として見ぬふりはしたくなどないが、今はそういっていられない。
気丈に振る舞いながら連れられて行かれた浅葱の危機に、じっとしていられず動いた星宿に続くように美朱も「変態撲滅!」と叫んでいる。
「貴様ら、浅葱の所に案内してもらうぞ」
「お、お前ら男だったんないな!?」
「らってなに!?あたしは正真正銘女よ!」
裏声から地声に戻した星宿の性別に気づいた男たちに、自分も男に括られたことに憤った美朱が食べ物を片手に叫ぶ。
現代人の美朱からすれば、制服に対して羞恥心を持つことはないが、この世界は基本足元を覆うほどに長いスカートが基本。
その世界にあって、膝上スカートはかなり破廉恥な分類になるらしいと、宮廷にいる時女官たちから聞いている。
そんな格好の自分に向かい、男とはなんだとさらに反論しようとした瞬間―――ガンッ!ドシャ!とかなり盛大な音が響いた。
鈍い音と皿などが割れる音に驚き、一瞬の静寂と共に全員がそちらに目を向ける。
「…………ぬ、柳宿?」
「あらやだ。あたしってば」
「ひっ…!」
ほほほ…と笑いながら柳宿は粉々に砕けた机を踏みつける。俯いていた頭を上げ柳宿を見た山賊の一人から悲鳴が漏れた。
唇が笑みの形になっているが、目がまったく笑っていない。
瞳の奥にギラギラと怒りを宿し、近くにいた男の首を締め上げるように持ち上げた。
「さあアンタたち、あたしたちを浅葱の所に案内しなさい」
「わ、わかった!わかったさかい!手はなしー!」
首を決められている男は気絶寸前。代わりに応えたのは隣にいた男だ。彼は壊れた人形のようにカクカクと首を振る。
柳宿は目を細めると男から手を離しぐるりと周りを見渡した。
まるで今から命を刈り取らんと言わんばかりの本気の目に、各々身体を震わせ身を縮ませる。
「さ、案内なさい!」
『は、はいー!!』
鶴の一声ならぬ悪魔の一声に慌ただしくなりだす。
それを見ていた美朱と星宿は金縛りが解けたように肩の力を抜き深呼吸した。
「こ、怖かった……」
「……柳宿でもあのように怒るのだな」
「でもいつもの柳宿と違ったよ。なんだか別人みたいだったし」
「美朱!星宿様!早く浅葱の所に行きましょう!」
「姐さんコッチです!」とまるで手下のように振る舞う男達を背に、柳宿が声を張り上げる。
二人は頷くと彼らの後を追いかけ走り出した。
残されたのは哀れにも柳宿に締め上げられた男と、それを介抱するべきか柳宿たちについていくべきか迷う、もう一人の男の二人だけだった。