18話
夢小説設定
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「なんやなんや。賑やかやな!」
そんな拉致られた状況に似つかわしくない雰囲気の中、不意に扉が開き、広間に厳つい男たちが数人入り込んできた。
風貌や出で立ちから山賊らしいと目星をつけ、各々視線で仲間たちを守るように目配せする。
そんな四人を見下ろしなが、男たちの中でも一際偉そうな態度の男が腕組みしつつ一歩足を進めた。
この男がこの中でリーダー角なのだろうが、どうも小物感が半端ない。安っぽい劇のような陳腐さだ。
「あー……。とりあえず、どなたですか?」
「なんやオレらのこと知らんのかいな!ほな教えたる!」
「なんで関西弁?それに浅葱、冷静だね」
美朱のツッコミに浅葱は「そうでもないんだけど…」と肩を竦める。
厳ついが怯えるほど怖い男たちに思えないのだ。どちらかと言うと関西のお笑いの人たちに雰囲気が近い気がする。
「オレらはこの『厲閣山』の山賊や!通行料としてお前らの荷物はもろといたぞ!」
「………」
「な、なんや…」
自慢気に胸を張る男に「はぁ……」と気のない返事を返す浅葱。
てっきり怖がるか泣き出すかと思っていたのに、無表情でじっと見つめてくる浅葱に畏怖を感じ前に立っていた男がたじろいだ。
浅葱は暫く男を観察するように見つめ、そっと瞼を伏せた。
ここに来る前に太ー君から渡された水晶が光り、『山』と文字を浮かばせていたことを思い出す。
山に関係あるとすれば、木こりや猟師あたりだろうかと見当をつけていたが、思えば山賊も山に関係する人物だ。
もしかしたら、彼らの中に『朱雀七星士』がいるのかもしれない。まずは身体のどこかに字がある人を見つけなければ。
そっと瞼を持ち上げ詳細聞き出そうとした瞬間、盛大に布が破れる音が響き渡った。
「わー!なんやコイツ!?」
「噛みつき亀かいな!?」
「おとなしく肌をみせろー!」
「…………美朱」
手足が自由にならないというのに、器用に動き回り歯で男たちの衣服をはぎ取っていく美朱に、浅葱を含め柳宿も星宿も呆気にとられてしまった。
しかし、それではただの痴女だ。しかもなぜか、賊もノリがよく「いやーん」だの「えっちー」だの騒ぎ立てるものだから、さらに収拾がつかなくなってしまった。
妹の行動に項垂れながら、浅葱は近くに転がってきた男に声をかけた。これは身内として謝らねばならない案件だ。
「ごめんなさい。ちょっと確かめたいことがあって暴走してるの」
「これがちょっと!?」
ビリビリに破かれた自分の服を握りしめ、リーダー格らしき男は浅葱に吠える。
浅葱はコクコクと頭を縦に振り、片っ端から噛みついている美朱を見た。
「手足を縛られてるんですもの、あとは口しか確かめる方法しかないでしょ?」
「だからゆーて舎弟を傷物にする理由はないやろ」
『あ、兄キ!!』
「ぶがぁーい!!(いたーい!!)」
ゴン、と豪快に美朱に拳を振り下ろし、いつの間に居たのか兄貴と呼ばれた男は美朱の襟をつまみ上げ呆れたように言う。
リーダーと思っていたのは下っ端だったらしい。まさかの見誤りにちょっと落ち込む浅葱に誰も気づかなかっただけは救いだ。
不意に現れた第三者に浅葱たちが呆気にとられていると、その男は美朱を星宿の隣に座らせつかつかと浅葱の所に寄った。
「頭から一人連れてこい言われて来たんやけど、あっちのジャリより顔色一つ変えんお前の方が楽しめそうやな」
「……そうですか」
「浅葱!」
浅葱は美朱たちの心配そうな声に振り向き、「大丈夫よ」と小声で囁いた。
「頭なら何か七星士の話を知っているだろうから少し探ってきます」
「しかし相手は山賊!お前の身に何かあったら……!」
「星宿様、だからと言って美朱をいかせる訳にはいきませんよ。美朱はコレでも『朱雀の巫女』ですもの、この子の危機は国の危機に直結してしまいます」
「浅葱ヒドイ」
「だからってアンタが行くこともないでしょ!?」
「仮に柳宿が行って男だってバレたら大騒ぎになってしまいます。穏便に聞き出すのなら、私が行った方がいいんですよ」
「もうアンタって子は!」
「何してんねん!はよ来んかい!」
肩を怒らせ目を吊り上げた柳宿に、浅葱は目元を和らげ「心配かけてすみません」と囁くと男の肩に担がれ部屋から連れ出されてしまった。
行き場のない怒りを溜め込み、柳宿の秀麗な眉がつり上がる。
美朱と星宿はそんな柳宿の様子に何かを感じ、お互い顔を見合わせた。
仲間として心配しているというより、これは――。といった視線に気づかず、柳宿は男たちが消えた扉を睨み付けていた。