18話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふがっ!!」
「ふん!」
パンパンと手のひらのホコリを払い落とし鼻を鳴らした浅葱は、そこではっと我に返り糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちてしまった。
彼女のお腹からキュルルと可愛らしい音が鳴る。空腹で倒れてしまったらしい。
そういえば、この食事で昼食にするつもりだった。歩き通しでかなりお腹が空いていたのだろう。
とりあえず、怪我ではなかったことに安堵し柳宿は肩の力を抜いた。
「久しぶりにみたなぁ…キレた浅葱……」
「美朱!なに遠い目してんの!後ろ!!」
慌てて浅葱を抱き止めた柳宿は、美朱の背後から斧を振り下ろすのを見つけ逃げるよう叫ぶ。
柳宿の声に振り向いた美朱は、反射的に身を固くし目をきつく瞑った。
けれどいつまでたっても痛みは走らず、代わりに近くで重いものが倒れる音がし、恐る恐るゆっくりと目を開けてみた。
「美朱!大丈夫か!?」
「星宿!?」
「星宿様!!」
目を開ければ、よい生地で仕立てたのであろう装束の星宿が剣を手に、息を切らせながら入り口に立っていた。
彼の足元には、音の元だったであろう男が蹲っている。死んでいるようではなかったが、星宿に深く刺されたらしく呻き声をあげていた。
それを一瞥し、星宿は座り込んでいる美朱を目にすると、ハッと顔を強張らせ慌てて彼女の元に駆け寄った。
「美朱?どこか悪いのか?」
「お、お腹が…」
「まさか毒を!?」
「う…ううん。食べ過ぎて……」
あははと苦笑いする美朱に星宿は唖然とし、柳宿は呆れてため息をこぼしていた。
食べ過ぎてとは美朱らしいが、暫く傍を離れていた心配もあり星宿は少し困った顔で「そうか」と返した。
それはそうと、星宿にはもう一つ気になることがある。柳宿に抱えられている浅葱だ。
いつも言葉少なくあまり表情も動かない少女が、大切な妹の一大事にぴくりとも動きを見せない。もしや彼女の方がケガでもしたのかと柳宿に問う。
「浅葱はどうしたのだ?もしやケガでも」
「いえ、彼女は無事ですわ。ただ空腹でへたり込んでしまっているみたいで」
星宿は柳宿に抱き抱えられている浅葱に眉を寄せると、慌てて彼女の顔を覗きこむ。
傷など見当たらなく、柳宿の言う通りのようで星宿はほっと胸を撫で下ろした。
「行きなりモノを投げ飛ばすし、ブツブツ何かを言ってたしこの子に何が起こったのかしら?」
「モノを投げ飛ばした?浅葱がか?」
物静かな少女がモノを投げ飛ばしていた姿を想像するが、いまいち想像しきれず星宿は目を数回瞬かせる。
そんな二人に美朱は「浅葱って突然不機嫌になってキレるんだよね」と腹をかかえながら呟いた。美朱の発言に二人はますます首を傾げる。
これまでに機嫌を損ねそうなことはあったはずなのに、今までまったく知らなかった。
今回の出来事は星宿にとっても柳宿にとっても、彼女の意外な一面を知り、物静かなだけの少女ではないと理解するには十分だった。
しかし二人は気にしてなかかったが、男装で旅をしたり美朱を追って敵国へ行くなど、彼女は冷静沈着で物静かなように見えて、かなり内面はアグレッシブなのだということを。
分かっていたのは、今ここにいない井宿くらいであろうことも。