17話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
柳宿の顔を見た瞬間、胸のうちに抱えていた感情の制御が利かなくなってしまった。
うつらうつらしている意識の中、浅葱は顔を合わせた瞬間に沸いて出た感情をなんとなく他人事のように振り返っていた。
唯の事を知っても、美朱を不安にさせないために笑った。
親友に起きた出来事は、同じ女として嫌悪する行為だし、親友を助け出せなかった自責の念に気分が塞ぎ込んだのは否めなかったが美朱に知られたくなかった。
習慣もあったと思う。自分が落ち込んでいると妹も落ち込み、結果周囲を心配させてしまう。
だから出来るだけ悟られないように、心配かけさせないように……ずっと心の奥底にしまってきた。
時々美朱に気づかれてしまうことがあったが、それは自分でも制御がきかない思いが渦巻いているときに限られた。
そのお陰か手がかからず、母親に心配をかけることは少なかったと思う。
(誰にも知られず、ひっそりと自分の心の奥底に沈みこませる。それが『現世の私』の処世術。だって、みんな美朱に手がかかっていたでしょ?)
感情豊かで行動力のある妹に、いつも皆手を焼いていた。
騒動を起こす妹に自然と目がいってしまうのは仕方ない。自分には『記憶』があり、精神的には彼女より遥かに年上なのだから。
だから出来るだけ自分より妹を優先させ、自分の事は自分でするようにしていた。
お陰でちょっとの事では周囲に気づかれることもなかった――のに。
(…………どうして貴方は気づいてくれたの?)
頭を優しくを包み込んでくれる温もりに、暖かな想いが生まれる。
再会した瞬間、自分を心配する声が聞こえた瞬間。ああ、この人は何があったのか分からないまでも、直感で感じ取っている。
――――そう思った。
そう思たら、急に沈めていた想いが浮上し苦しくなって抱きついてしまった。
唯のこと、美朱と唯の関係、青龍七星士の心宿のこと。なにより自分に起きてしまった変化のこと。
太一君と話しているとき、何でもないように装っていたが、本当は不安で気持ち悪くて恐かった。
意味もわからず自分の中の『何か』が変わってしまったようで、自分が自分ではないように思えて恐くて恐くて。
柳宿の部屋に通され、彼の温もりに触れ、感情が爆発して……みっともなく泣いてしまった。
そんな自分を彼はそっと包み込むように抱いてくれて、壊れ物を扱うように優しく頭を撫でてくれた。
まるで本当の『姉』のように優しく優しく。
(……あ、れ? 胸が苦しい…)
キュウーと胸が苦しくなり、浅葱は泣きそうに眉を下げ、痛みと不安から身を隠すように更に柳宿に身を寄せた。
※
『……ッ』
ぞわりと背筋を悪寒が走り、柳宿と浅葱は勢いよく身体を起こした。
「柳宿、これは…ッ」
「なによ、この感じは!気持ち悪いわね!」
「なんだか嫌な予感がします!美朱の所に行かなきゃ!」
「ええ!」
嫌な感じはここではなく少しは慣れた所だ。美朱に何かあったのかもしれない。
乱れている服を適当に整え、柳宿と浅葱は部屋を飛び出した。
『朱雀の巫女に告ぐ。……我は倶東よりの使者』
駆ける浅葱たちを嘲笑うかのような低い声が淡々と言葉を紡ぐ。
『我が国がすでに紅南に進軍し、村を数ヶ所落としたのは周知の通り。
もしこれ以上の戦火を食い止めたくば、朱雀七星士が一、【鬼宿】を倶東へ《献上》せよ』
『繰り返す―――――』