第十三話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
皇后崎は地上に出ると、逃げた深夜をひたすら追いかけていた。
その目には絶対に逃がさないという強い意志が宿っていた。
「待てこら…!」
「しつけぇ野郎だ…」
小道を走っていた深夜だったが、大通りに出るのはマズいと顔をしかめる。
その時、脇道に見つけたビルの階段を見つけて彼は一気にそれを駆け上がった。
「上か!上等だ!」
その姿を見つけた皇后崎は、周りの建物の室外機やダクトを足掛かりにして勢いよく登っていく。
彼がビルの屋上に着くと、深夜は既に隣のビルに逃げた後だった。
「(もう隣のビルに逃げてやがる!けど追いつける!)」
皇后崎は助走をつけて飛び移ろうと走り出した。
その瞬間、深夜が振り返って左目を手で覆いながら皇后崎を睨みつけた途端、異変が起こる。
「(なんだ!?この視界…!)」
皇后崎の目に映ったのは走っている自分だった。
突然のことで、彼は混乱してしまう。
視界に気を取られて、ジャンプするタイミングを逃した皇后崎はビルの段差につま先をぶつけてしまう。
「はは!落ちろ!」
「!」
視界が戻ると、皇后崎の目に地上の風景が映る。
彼の体は重力に従うように地上に落ちていく。
「この高さで死ぬか謎だけど、時間は稼げるだろ!」
嘲笑いながら逃げていく深夜。
皇后崎が落ちまいと、建物の角に手を伸ばした時だった。
血蝕解放
胡蝶の舞
下から無数の赤い蝶が皇后崎の体を支えるように飛び上がる。
蝶の力で一瞬だけ体が浮遊した瞬間、背後から彼の腕を掴んで力いっぱいに引っ張る。
そのお陰で皇后崎は難を逃れた。
『大丈夫!?』
「お前…!」
倒れこんできた皇后崎の肩を抱いて命は微笑みかける。
『怪我してない?あっ、監視カメラには映ってないから安心して』
「あぁ…(俺を浮かせるほど大量の蝶を出したのか…?)」
ペーペー教官と軽視していた命の予想外の能力に皇后崎は驚きを隠せない。
しかし、今はそれどころではないと彼は体制を立て直そうとする。
「早く追わねぇと…」
『待って迅君、私も行くよ』
「いやいい、絶対に俺が仕留める」
『…』
少し前の命なら、言うことを聞かない彼に苛立っていたが今は理解できる。
この子はそういう子なのだと。
冷たい印象を持って、他人を遠ざけようとするが、本当は心根の優しい子なのだ。
ならばと、命は押してダメなら引いてみることにした。
『私が…迅君に側にいてほしいの』
「!?」
『あいつ、策略に長けてるでしょ?私一人だと不安なの。だから迅君が側にいてくれると心強い』
あくまで、皇后崎に傍にいてほしいと頼むと、彼は泣きそうな顔になる。
「お姉ちゃん…」
『?』
消え入りそうな声で呟いた言葉は命の耳には届かなかった。
しかし、それは皇后崎にとって好都合である。
彼はそっぽを向くと、ぶっきらぼうに言い放つ。
「…離れんなよ」
『…!うん!』
こうして2人で深夜を追いかけることとなった。
