第十二話
夢小説設定
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しばらくすると、神門からメッセージが届く。
ラインには"関東ナッツ連合"の溜まり場である店の情報が送られていた。
「教えてもらった所まで近いぞ!」
『屛風ヶ浦さん大丈夫!?』
「だ…だいじょうぶです!」
情報を頼りに3人は走りだす。
その時だった。
ドン
遠くのほうで爆発が起こる。
「な…なんですか?」
「(あっちって…俺らが向かってる所!?)」
『遅かったか…』
四季に嫌な予感が過る。
「帆稀は先生たち呼んでくれ!俺はあそこに行くから!」
「え!?は…はい…」
『待って!』
命は疾走する四季を追いかける。
しばらく走ると、目的地である建物の地下から煙が上がっていた。
「下の店で火事だ!ガス爆発したぞ!」
人が集まり始める中、四季は躊躇することなく階段を駆け下りる。
命も追いかけていく。
「おい君たち、入っちゃダメ…」
一般人が呼び止めるのも無視して、2人は地下に向かった。
ゴォ
店に入ると既に店内は炎に吞まれていた。
「く…そ…」
やり切れない思いで周りを見渡すと、四季はある物を見つける。
「?」
それは倒れている人だった。
男は目を閉じたまま、ピクリとも動かずにいた。
『多分、捜していた半グレね』
「おい!大丈夫か!?しっかり…」
『四季君…死んでる』
その人は先ほどの爆発で下半身が吹っ飛んでいた。
死亡しているのは明白だった。
「うぉあ!」
驚いた四季は後ろに飛び退く。
「くそ…誰か生きてる奴いねぇのかよ!」
『……』
生存者の存在は絶望的で、四季は拳を地面に打ちつける。
その刹那、命は背後に気配を感じた。
「ナツ君?」
その声に…反応してはいけなかった。
さらに言えば…
「神門…?」
その名を呼んではいけなかった。
「それが君の本当の顔なんだね…」
その言葉に思い出す。
今自分は返送したナツではなく一ノ瀬四季であることを…だが…それ以上に頭を巡るのは…混乱。
「なんでここに…?」
しかし次の瞬間、更に四季は混乱する…
自分を見る、神門の顔が…
「信じてたのに…僕の呼びかけに反応なんかしないって…」
とても…
「君がただの…僕の友達だって…」
とても…
「信じてたのに…」
悲しく切ない顔をしていたから…
『(やっぱりか…)』
四季の隣で命も神門を見据える。
ふと、彼の背後にもう一人いることに気づいた。
長い銀髪を纏めた、額にタトゥーのある男だ。
愉快そうに笑う男を見て、命は確信した。
『(こいつが元凶か…)』
彼の悪どい笑みに2人は気づいていない様子だった。
「神門…?なんでここに…?なんで一ノ瀬って名前…?」
「僕も今知ったよ…意味が一ノ瀬四季で、鬼神の子で…冷酷な…残忍な鬼だって…何故なら僕は…桃太郎機関所属、桃寺神門だから」
神門は着ていたコートを脱ぎ捨てて、正体を露わにする。
白色の縦縞柄のスーツ、桃太郎の正装であった。
「神門が…桃太郎…?」
「警官って嘘をついたことは謝るよ。けど…君ほどの嘘つきじゃないけどね。こんな多くの命を奪って、子供まで手にかけようとするなんて…」
「は…!?」
『(まぁ…そうなるよね)』
四季が鬼神の子で、"炎鬼"であることは桃太郎機関でも周知の事実であろう。
火事を起こしていると思われても仕方のない話であった。
「君を危険対象として、処分する」
「ちょっと待て!俺じゃねーよ!俺は…」
「もう君の言葉に耳を貸さない。人を殺すために僕を利用した君を…絶対に許さない!」
「だからちげぇって!」
四季は必死に否定するが、神門は耳を貸そうとしない。
すると、背後にいた神門の上司が彼の肩を叩いた。
「神門、ここでやり合うのは得策じゃねぇ。消防車がそろそろ到着する。ここは引くぞ。大丈夫だ、こいつらのアジトの見当はついてる。次は邪魔が入らずキッチリケリをつけられるからよ」
『(いけしゃあしゃあと…これ起こしたのはてめぇだろ、カス)』
上司に宥められ、神門はその場を立ち去ろうとする。
四季はその背中に叫んだ。
「待てよ!話はまだ終わってねぇだろ!」
「終わってるよ。いや、最初から始まってすらいなかったのかな。一つ聞かせてくれないか?僕は君を友達だと思ってたよ。君は僕をどう思ってたんだ?」
明らかに過去形で話す神門に、四季は脂汗をかきながらたどたどしくその問いに答える。
「何言ってんだよ、友達だよ…友達に決まってるだろ。今だってお前のこと友達だと思ってるよ!お前もそーじゃねぇのかよ!」
「(だとしたら余計質が悪いよ…)」
四季の必死の呼びかけは、神門には届かなかった。
「確かに君とは友達だった…過去形だ」
「なんでだよ!俺の話聞けよ!」
「頼むからもう…黙ってくれ!」
悲痛な叫びだった。
神門の中では、四季は"裏切り者"という存在に成り下がってしまったのだ。
「これ以上…君を嫌いになりたくないんだ…次に会う時、僕らは桃と鬼。容赦なく処分する。償いの念があるなら死んでくれ、元友人として苦しまずあの世に送り出してあげる。さようなら、先に別れは言っておくよ」
そう吐き捨てて、神門と上司は立ち去って行った。
残された四季が、その場に立ち尽くすことしかできずにいると、彼の肩を命が優しく叩く。
「チヨ先…」
『戻ろう…真澄さんに報告しなきゃ』
「ごめん…チヨ先…俺…」
俯いたまま動こうとしない四季に、命は声のトーン強くして彼に言う。
『切り替えて!』
「…!」
『桃も言ってたけど、消防車が来るだろうからここを離れなきゃ』
「…うん」
命は四季の腕を引っ張って燃え盛る店内を後にするのだった。
