第十三話
夢小説設定
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「ここに鬼たちはいるのかい?」
深夜の案内によって、深夜、神門、月詠、桜介の四人は鬼機関のアジトの入口の前に来ていた。
「あぁ(全部覗かせてもらってたぜ。どこに逃げても俺からは逃げらんねぇよ)」
鬼機関の隊員が目の前の入り口から中に入るまでを、能力で覗いていた深夜は余裕の笑みを浮かべながら答える。
彼の背後では、神門が殺気を放ちながら入り口を睨みつけていた。
「(ナツ君…いや、一ノ瀬もここに…)」
彼の頭の中は、四季への憎悪でいっぱいになっていた。
そんな神門を宥めるように、月詠が彼の肩を叩く。
「まぁまぁ、殺気をしまいなよ」
彼は一枚のタロットカードを神門に見せる。
「神門君の占いの中に『カップの6』が出てたよ。このままじゃいい結果は出ないかもね。何かを捨てることが重要になるかもよ?」
そう言われて、神門の脳裏に四季の顔が浮かぶ。
彼の答えは明白だった。
「中には雑魚もうじゃうじゃいるが、まぁ問題ないだろ(むしろ雑魚が大勢いる方が無陀野たちも守りながら戦わざるをえない…俺としても好都合だし、殺せる確率も上がる…)」
この戦いで四季だけではなく、無陀野…そして命も死ねば昇進できると深夜は期待していた。
「そんじゃあ…突撃と行こうぜ!」
地下へと続く入口を開けて、四人は勢いよく飛び降りる。
ダッ
「皆殺しだ!」
深夜は威勢よく顔を上げるが…
「!?」
そこには人っ子一人いない地下の空間が広がっていた。
「?」
「誰もいねぇぞ?」
予想外のことに、深夜は動揺する。
「(なんでだ?間違いなくここなはず…)」
彼は今一度、能力で鬼の状況を確認する。
一方で桜介は不信感を募らせていた。
「場所間違えたのか?」
「いや…いる…もっと奥だ。うじゃうじゃいる…!」
「うじゃうじゃいる気配はしないけどねー」
「いるって言ってんだろ!」
月詠の言葉にいら立ちながら言い返す深夜。
彼は耐え難い焦燥を感じながら、能力で皇后崎の視界を覗く。
「(実際俺には見えてんだ!しっかりこの眼に…!)」
その時、彼の視界に異変が起こる。
映っていたのは大勢の鬼の姿ではなく、見覚えのある一人の背中だった。
「(え…?)」
深夜が見間違えるはずがない。
それは、自分自身の背中である。
「(なんで俺の背中が…?)」
彼に近づく足音に、深夜は気づいていない。
「(さっきまで鬼が大勢…いたはず…)」
彼は恐る恐る振り返る。
そのせいで、そこにいた人物に驚愕することとなった。
「よぉ」
ゴーグルを指で回しながら自分を睨みつける皇后崎と、彼の肩に手を置きながら透過を解いて共に現れた真澄。
「会いたかったぜ、クソ野郎」
「こいつが一般人巻き込むカスか、顔に滲み出てんなカス具合が」
ドッ
驚きのあまり、深夜はその場に尻もちをついてしまう。
「なんで…」
それを皮切りに、隠れていた他の人達も次々と姿を現す。
月詠はその様子を見て、察したように呟いた。
「あれれー?深夜君、これってさー、一杯食わされたかな?」
現れたのは羅刹の生徒、無陀野、命、偵察の二人。
深夜は彼らを信じられない顔で凝視する。
「なんで…確かに、さっきも俺は見てたはず…」
「やっぱ覗くのがお前の能力か」
真澄は納得の声を上げると、皇后崎が持っていたゴーグルを深夜の目の前に放り投げる。
それはただのゴーグルではなく、VRゴーグルだった。
「お前が見てたのはVRだバーカ。隊員にここまでの道のりと中の映像を撮ってもらった。それをこいつにひたすら見ててもらったわけだ。こんな面倒なことしなくても、いくらでも手はあったんだよ。VRなんて使わず待ってりゃそっちから来ると思ってたしな。何通りの中から『一番面倒な方法』を選んだんだ。なんでかわかるか?」
真澄は両人差し指で頭を指しながら、深夜に冷たく言い放つ。
「これが一番、スカッとすんだろ?」
自分の能力を逆に利用されたと知り、歯を嚙み締める深夜。
更に彼を追い詰めるように、皇后崎が歩み寄る。
「俺を拉致った時はずいぶんと楽しそうだったよな?今はどうだ?俺からのサプライズだぜ?笑えよ」
皇后崎は怒気を込めた目で、嘲笑を浮かべながら深夜を見下ろした。
「はは!ダセェな、深夜の奴!」
「まぁ、いいんじゃない?どっちみち対面できたことに変わりないんだし。決着つけようか」
月詠は敵陣を見据える。
ふと、その中に見知った顔があると気づいて彼は目を見開いた。
「おや?"死を呼ぶ蝶"じゃないか!」
「あ?マジだ」
『げっ…』
月詠が声を上げると、桜介も気づいて命に視線を向ける。
2人に気付かれた命は咄嗟に無陀野の背後に隠れた。
「面識があるのか?」
『以前、どっちともやり合ってヤバそうだったんで逃げました』
「いい判断だ」
親しげに会話をする二人を見て、月詠は意外そうに眉を上げる。
「あぁ、君らそういう関係?」
あらぬ誤解を生んでしまったようで額に手を当てる命。
一方で四季を含めた生徒は、"死を呼ぶ蝶"という異名に少なからず慄いていた。
「チヨ先…そんな怖いあだ名持ってんの?」
『別に…向こうが勝手につけてきただけだよ』
一瞬緊張の糸がほぐれたのもつかの間、耐えきれなくなったのか深夜が逃げ出す。
「逃げた!」
「だはは!あいつ逃げたぞ!」
深夜が逃げるとすぐに皇后崎が走り出して、その背中を追いかける。
『迅君!』
命は皇后崎を追いかけようとするが、自分が行っていいものかと躊躇する。
その時、隣にいた無陀野と目が合った。
"追いかけろ"とその目が言っていた。
無言で頷くと、命は皇后崎の後を追いかけた。
