第十二話
夢小説設定
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その後、無陀野と合流して4人はアジトに戻った。
アジトに戻ると、皇后崎はすぐに一室に隔離されて真澄から事情聴取を受けることとなった。
命達が部屋の外で待っていると、事情聴取を終えた真澄が部屋から出てきた。
「どうでした?」
「体に気になる所はねぇな。話を聞く限り行く先々で先手を打たれるってことは、なんらかの能力で盗撮か盗聴されてる可能性が高いな。無陀野とやった練馬の桃の能力じゃねぇのは確かだ。つまり俺らは相手の情報が一切ねぇ。クク…能力も不明、100%こっちが不利だわな。唯一の糸口はその桃と繋がる半グレたちだな」
「あぁ」
「急いで捜さねぇと、その半グレどもも消されちまう」
「消すって…殺すんですか?」
遊摺部が驚いた様子で問いかける。
「当然だろ?俺らが半グレを見つけて困るのはその桃だ。俺だったら見つかる前に処分しちまう。考え方は常に残酷でいろ、"一番最悪"を想像できねぇ甘ちゃんはいざって時に動けなくなる。子供を平気で焼き殺そうとする奴だってのを忘れたのか?」
真澄の言葉に、彼は口をつむぐ。
「ここも危険ですね」
「残念だがここは手放す。隊員は非難させる」
「打つ手なしですか…」
「ばーか」
アジトを手放さなければならないほど追い込まれていることに、遊摺部が不安を隠しきれずに俯く。
そんな彼に真澄は活を入れてやる。
「どんな能力にも必ず穴がある。大事なのは諦めずその穴を見つけることだ。なんだ?お前ら、追い込まれた途端弱気になりやがって。ピンチの時こそ冷静に脳みそフル回転で突破方法考えろ。そんなんじゃ偵察も医療も戦闘部隊も務まらねぇぞ。心だけは折るな、心が折れなきゃチャンスは0にならねぇ」
「…!」
「押忍!」
気圧されている遊摺部の隣で四季が返事をする。
彼の威勢の良い返事を聞くと、真澄は満足げに口角を上げた。
「無陀野、馨、命、作戦会議だ」
真澄に声をかけられ、無陀野と馨が歩き出す。
命も、無陀野の後ろをついていこうとした。
しかし、歩き出したところで立ち止まっていた真澄に腕を取られる。
『え…』
「来い」
何事かと思いながら、大人しく真澄についていくと無陀野達から死角になる場所に連れて行かれる。
真澄は命の背を壁に押しつけると顔の横にトンッと片手をつき、彼女を腕の中に閉じ込めた。
所謂、壁ドンというものだ。
突然の行動に命は不安になって、真澄に問いかけた。
『真澄さん…まだ怒ってるんですか?』
「違ぇよバカ」
手首を掴む手に力が籠る。
身長差は僅か2cm。
だが、真澄の骨ばった手や自分よりもずっと広い肩幅を間近で見ると、嫌でも男女の差を思い知らされた。
「馨から聞いた。無陀野に練馬に戻るか提案されたらしいな」
『あぁ…はい』
「あいつもたまにはマシなこと言うじゃねえか」
『(たまにはって…)』
真澄はおもむろに顔を近づける。
命は驚いて一歩後ろに下がろうとしたが、壁に阻まれてしまう。
自分から逃れるように体を縮こませる命を見て、真澄は愉快そうに喉を鳴らした。
「練馬に戻れ、命。お前が必要だ」
『…でも、一月ほど前に激励もらって辞めたばかりの部隊に、今さらどの面下げて戻れば良いんですか』
「誰が戦闘部隊に戻れっつった。偵察に来い、その方がお前の為だ」
『何度も言ってますけど、血の能力的に戦闘部隊が適任じゃないですか。可愛がってくれるのは嬉しいけど、仕事に私情を持ち込まないでください』
「バレたんだろ、目のこと。このまま前線で戦い続けりゃあ真っ先に狙われるのはお前だ」
『……』
「ウチで馨の補佐でもすりゃいい。悪くねぇポストだろ」
実を言うと、真澄は命が昇進できない理由を知っていた。
知っていて放置していたのだ。
「(昇進されたら容易に勧誘できねぇと思って放っておいたが…まさか無陀野に先越されるとはな)」
真澄は何度も命を偵察部隊にスカウトしていたが、彼女は頑なに首を縦に振らなかった。
しかし、真澄も諦めなかった。
口では悪態づいてはいるが、真澄も無陀野や京夜と同じく命を子供の頃から可愛がる1人である。
危険は付き物だが、できる限り自分の手で守ってやりたいと彼は切望していた。
「俺がお前を守ってやる。無陀野じゃねぇ、俺がだ」
『…非戦闘員が何言ってるんですか』
「ふざけんな死ね」
その時、誰かが真澄の肩を掴む。
心配して戻ってきた無陀野だった。
「俺の蝶に何してる」
『あ…』
「チッ…なんでもねぇよ。大体てめぇの蝶じゃねぇだろ」
「さっさと離せ」
無陀野に言われて真澄は渋々手を離す。
彼が去ると無陀野は優しく命の頬に触れた。
「真澄に何かされたか?」
『いえ…』
口ごもる命に無陀野は不審に眉を寄せる。
彼は頬に触れていた手で腕を掴むと、そのまま歩き出した。
『あのっ、無人さん?』
「…俺から離れるな」
彼女を想い手放すはずだった手は、そのか細い腕を掴んで放そうとせずにいる。
命も無陀野の行動にどうしていいかわからず、ひたすら彼についていくことしかできなかった。
