第十二話
夢小説設定
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「おい…」
『あーごめん、昔のこと思い出すとつい…』
命は流れ落ちる涙を、手で拭う。
涙の意味が気になった皇后崎は彼女に問いかける。
「全部奪ったって…誰から?」
『それは…』
「あー出た出た」
話そうとしたところで、四季が戻ってきた。
慌てて涙を全て拭い切ると、命は笑顔で出迎える。
『おかえり…』
「すっきりした」
四季の顔を見た2人は言葉を失った。
彼の眼はパンパンにはれ上がっていたから。
号泣していたのは明白だった。
「『……』」
「顔見て引いてんじゃねーよ。いつもと変わらねぇだろ」
「まぁ、そうだな」
「そうだなじゃねーよ!目パンパンじゃねーか!」
『自分で言うんだ』
「お前いつもそんな顔だぞ」
「よし殺す!前歯全部抜いて殺す!」
『やめなさい、四季君とりあえず座って』
命に言われて、四季は渋々元居たベンチに腰掛けた。
そんな彼に、皇后崎はそっぽを向きながら言い放つ。
「テメェ可哀想とか思ったら殺すぞ」
「馬鹿か?可哀想とか思わねーよ。ただまぁ…心が折れねェのはすげぇと思ったよ」
その瞬間、静寂が夜の公園を包んだ。
本音を漏らした四季に、皇后崎が照れて、四季も自分が言ったことに照れてしまったのだ。
「(いやハッズ!何この雰囲気!)」
「(何言ってんだこいつ…!キモチワリィ…!)」
『(ちょっとは仲良くなれてるのかな)』
少しずつだが、本音をぶつけ合える関係になりつつある二人に、命は満足げに微笑を浮かべた。
そんな時だった。
プルルル
四季のスマホが鳴った。
助かった、と言わんばかりの顔で四季は電話に出た。
「もしもし!?場所わかった?上司にもお礼言っといてくれよ!」
それだけ交わして、四季は神門からの電話を切った。
「場所わかったぞ!そんな遠くねぇ!行くぞ!」
こうして3人は神門から聞いた女の子が住む住所へ向かったのだが…。
「なんでここも燃えてんだよ…?」
住所にあった家は病院と同じく炎に呑まれていた。
赤々と燃える炎は、命達をあざ笑うかのように家を燃やし尽くしていく。
「なんで…なんで行くとこ行くとこ火事なんだよ?おかしいだろ!」
「うるせぇ…!俺にわかるわけねーだろ」
『迅君』
呆然とする皇后崎の肩を、命が軽く叩く。
「全員救助完了です!」
「そしたら消火に徹しろ!」
彼女の視線の先には、皇后崎が心配していた姉妹の妹が担架で運ばれていく姿があった。
妹は酸素マスクをしているものの、目立った外傷はないように見えた。
『よかった…死者はいないみたい』
「…」
安堵する命の隣で、皇后崎が複雑そうな顔で女の子を見送る。
燃え続ける家を呆然と見つめたまま、四季は呟く。
「なぁ、皇后崎…チヨ先…俺たちは…何に振り回されてんだ…?」
その問いに答えられる者は、誰一人としていない。
ただ命だけは…ある可能性を予想していた。
『(まだ憶測だから…2人には言えない)』
しばらくすると、ようやく消火が終わる。
「とりあえず先生たちの所戻ろうぜ。俺らで考えても仕方ねぇ」
『…ちょっと待って』
「チヨ先?」
『真澄さんに報告だけさせて』
命は2人から離れると真澄に電話を掛けた。
出てくれるか不安だったが、3コールもしない内に相手が電話に出る。
(俺だ)
『お疲れ様です』
(人質のガキは見つかったか?)
『それが…』
(あぁ?なんだ、ハッキリしろ)
『…少々、厄介なことになってまして』
命は自分達に起こったことと、自身の憶測を彼に説明した。
(なるほどな)
『はい…なので、このままアジトに戻るのは危険かと』
(いや、いい。無陀野と合流してそのまま戻ってこい)
『でも、そんなことしたら…』
(考えがある。お前は気にしなくていい)
『…わかりました』
真澄の考えが何かわからなかったが、このままにはできない。
命は電話を切ると、2人の元へ戻るのだった。
