第十一話
夢小説設定
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四季はスマホで誰かに電話をかけ始める。
相手は…恐らく以前知り合った神門という青年だ。
『(大丈夫かな…)』
命はあの青年に頼ることに不安に思っていた。
なんとなくだが…初めて会った彼から妙な違和感を感じていたから。
しかし、他に宛てもないので四季の一挙手一投足を見守ることにした。
そうこうしているうちに、着信に神門が出たらしく四季が話し始める。
「あーどうも、ナツっす」
『?』
すると、突然四季の口調が変わる。
明らかに友達相手ではなく、目上の人と会話している。
『(神門って男の子の上司か…)』
だったら自分も変わるべきだろうか、と命が四季に声をかけようとした時だった。
「雨?降ってないっすよ?」
『…!』
四季は手を前にかざして、雨を確認するような素振りを見せる。
その瞬間、命は動きを止めて四季の肩を叩こうとした手を引っ込めた。
そして自然な動作を意識しながら、皇后崎を見る。
彼は四季を見据えていた。
『(見てるな…)』
命の中で、ある疑念が生まれる。
しかし下手に行動すると2人が危険と判断して、彼女は静かに通話が終わるのを見守っていた。
「捜してくれるって!連絡待ちだ」
『…そう、よかったね』
通話が終わると、四季は嬉しそうに報告する。
命は複雑な思いで、彼の笑顔を見ていた。
「へいへい!四季様ありがとうございますが聞こえんぞ!」
「昔世話になったポリ公か?面が犯罪だもんな、お前」
「チヨ先、こいつ殺してもいいよね?」
『やめなさい』
キレる四季を宥めながら、命は内心悩んでいた。
『(どうしよう…)』
もし疑念が本当だったら、自分だけでは解決できない。
でも皇后崎が心配している少女のこともある。
もう少し、2人に付き添うべきかと思いあぐねていると、沈黙に耐えられなくなった四季が皇后崎に問いかけた。
「あ!さっき聞きそびれたけど、なんであの女の子気にかけるんだ?」
「…」
「助けた貸しこれでチャラにしてやっから、教えろよ」
問われた皇后崎は組んだ両手にギュ…と力を込めた。
「面白くもねー話だよ。俺にも姉がいる…いや…正確には”いた”…だ」
『…』
「前にも聞いたろ?俺の親父は桃太郎だ。その親父が殺した…母も姉も。あいつは家族よりも桃太郎としての使命を選んだ、どうしようもねぇクソ野郎だ。まずはそっから話さねぇといけない話だ」
彼は自分の過去を話し始めた。
皇后崎は両親と姉の四人家族で暮らしていた。
彼は父親が桃太郎であることを知っていて、幼い彼は純粋に父親に憧れていた。
そんな父親の誕生日…彼の母親と姉は殺された。
他でもない、憧れていた父親に。
理由は母親と姉が鬼だったから。
姉は彼が帰る前に、携帯に”ぎゅうにゅうかってきて”とメッセージを送っていた。
それは彼を守るための時間稼ぎだった。
結局同じく鬼である彼も、体中に傷を負わされたのだった。
以来、皇后崎は2人の仇を討つために生きてきたという。
「ふーん、なるほどね」
話を聞き終えた四季は、頬杖を立てながら興味なさげに言い放つ。
「あーあ、辛気くせぇ話のせいで膀胱パンパン、小便してくらぁ」
『(あれは泣くな…)』
感受性が強い四季のことだろう。
命も皇后崎も、何も言わずに四季を見送った。
残された2人の間に微妙な空気が流れていたが、彼女はそれを打ち消すように皇后崎に話しかけた。
『いいお姉さんだね。しっかり弟を守り抜いたんだ』
「ふんっ」
『私とは正反対だね』
「は…?」
驚いた皇后崎が隣を見ると、見たこともないくらい悲しい顔をした命が体を丸めて真っすぐ前に視線を向けたまま小さく呟いた。
『私は…
「奪った…?」
意味深な言葉を吐いた命に皇后崎は思わず聞き返す。
詳しく聞こうと隣を見た皇后崎は言葉を詰まらせた。
視線を前に向けたまま、彼女は目からはらはらと涙を流していた。
続く
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