第十一話
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その後も、四季が連れてくる人達を安全地帯まで誘導した命。
残すはあと1人、皇后崎が心配していた少女だけだった。
命が心配しながら中々来ない四季が来るのを待っていると、ようやく女の子を抱えて走ってくる四季が現れる。
『この子で終わり?』
「ああ、でも皇后崎が…」
皇后崎の名前を聞いて、命の心臓がドクン…と脈打つ。
炎で熱いはずなのに、全身から冷や汗が流れ出た。
『…何があったの』
「瓦礫が崩れたのを俺を庇って下敷きになってる。顔中から血も出てるんだ。俺助けに行くから、この子頼む」
『……』
やはり馨の血の影響が出たのだろう。
皇后崎が心配だったが、四季に言われるがまま命は少女を受け取った。
少女を運び終えると、命は非常口に戻って2人が出てくるのを待った。
しばらくすると、非常口から四季と彼に肩を借りながら皇后崎が出てきた。
『迅君大丈夫?』
2人が出てくると命は彼らに近づく。
そして怪我を負ったを皇后崎を心配し始めた。
「なんであんたが心配すんだよ…関係ねぇだろ」
『はぁ!?』
こんな状況でも突き離すような態度を取る皇后崎に、流石に頭にきた命は強く肩を掴んで彼に言い放つ。
『自分の生徒の心配して何が悪いのよ馬鹿!!』
「…!」
『…此処は危ないから、場所を移そう。四季君、もうちょっと頑張れる?』
「わかった!」
「……」
3人は野次馬から隠れるようにそそくさと病院を後にした。
………______。
3人は近隣の公園に移動した。
命は無陀野へ連絡も考えたが、大仕事を終えた四季達を休ませるのが先決と判断して一先ず保留にしている。
自販機で水を2本購入して、ベンチに腰掛ける四季と皇后崎の元へ向かった。
『おつかれ』
「おう、サンキュー」
水を差し出すと、四季は嬉しそうに受け取る。
続いて命は皇后崎にも水を差し出す。
『はい』
「…ん」
『痛みはある?』
「…ねぇ」
『よかった』
怪我は既に回復している。
彼女はとりあえず皇后崎の隣に腰掛けた。
「(なんで隣に座るんだよ!?)」
『どうかした?』
「チッ…なんでもねぇよ」
皇后崎は照れくささを誤魔化すように水を呷る。
「腕パンパン、男に肩貸すとか最悪だぜ」
「別に頼んでねぇけどな」
「お前本当むかつくな」
「ふん」
相変わらずのやり取りだが、命は僅かながら変化を感じていた。
四季はいつも通りだが、皇后崎の方は今までよりも隔たりが減った気がした。
ほんの少しだが進歩を感じて、彼女は小さく微笑んだ。
「大体あの子なんなんだ?手貸したんだから教えろよ」
「…あの子は」
そこまで言いかけた所で、皇后崎は何かに気づいたようにハッとした顔になる。
『どうしたの?』
「病院に火を点けたのは俺を拉致った桃で間違いない…でもなんで燃やした?」
『……』
「俺を拉致るために人質にした…人質なら殺しちゃダメだろ。念のための口封じ?まだ利用価値はあるはずなのに…」
『(この子…)』
聡い子だ、と命は思った。
口は出さずに見守ることにした。
「? どーいうことだ?」
「あの子には妹がいた…もしかして妹の方を人質に…?」
「でもなんで人質なんかとるんだよ?」
「四季、お前だよ。あの桃はお前目当てだ。お前を殺すための交渉材料にする気なんじゃ。まだ疑問はあるけど…妹が危ないかもしれない」
「けど妹の居場所なんて知らねぇだろ?偵察部隊に頼もうぜ!」
「俺が病院行く時も止めたくらいだ。妹が危ない『かもしれない』なんて曖昧な情報じゃ動かない。どーにか自分たちで探さないと」
『でも道中ですれ違っただけで知ってるのは顔だけ、名前も知らない。どうやって探すの?』
「……」
命の紫眼に見つめられて、皇后崎は黙り込む。
万事休すかに思えた時だった。
「ふっふっふ…おい!皇后崎、四季様と呼べ!」
「なんだよ、気持ち悪い」
『?』
皇后崎と命が疑問に思う中、四季は自信満々に言い放つ。
「見つけられる奴に心当たりがある!」
「何!?誰だ?」
「お巡りさん!」
「死ねボケ、カス野郎」
「んだとテメェ!」
「ポリに言って動くわけないだろう。本当に頭わりぃな」
「そりゃ、普通のポリ公ならな」
「?」
『四季君…もしかして』
四季が頼ろうとしている人物にピンと来た命は、顔を引きつらせるのだった。
