第八話
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※第七話のその後
打ち合わせが終了した後、無陀野は一人職員室に残っていた。
彼は今、命のデスクの前にいる。
理由は打ち合わせ前の彼女の不審な態度が気になったからだ。
「(明らかに挙動不審だったが、何を隠していたんだ…?)」
彼は職員室に入る際、持ち前の洞察力で命がデスクに何かを入れているところをほんの少しだが目撃していた。
悪いと思いつつ、無陀野はデスクの引き出しに手をかける。
鍵はかかっておらず、引き出しは難なく開いた。
そこにあったのは筆記用具、学園関係の書類、数個のお菓子類。
特に目立ったものは無いように見えたが、ある物が無陀野の目に留まる。
「…?」
適当に放り込まれたであろう小瓶だった。
無陀野はそれを指で摘む。
「水…?いや、これは…」
透明な液体が入ったそれを凝視する彼に、ある記憶が蘇る。
ー数年前ー
プルルル
当時、戦闘部隊の隊長だった無陀野は部下と訓練の話をしていた。
その最中、彼のスマホが鳴り響いた。
画面に表示された名前を見て、無陀野は少し面倒に思いながらも通話ボタンを押した。
(やっほー無人君、頑張ってるみたいだね)
「なんですか、校長」
(実はね。君の可愛い可愛いお姫様、泡吹いて倒れちゃったんだ)
「!?」
無陀野に対して"君のお姫様"と呼ぶような存在はこの世に一人しかいない。
彼の脳裏に、今年羅刹に入学した大切な少女の姿が過る。
「…命ですか?何故?容態は?」
(流石、察しが良いね)
「早く答えてください、1秒も無駄に出来ない」
(落ち着いて、今は回復してるよ)
回復していると聞いて安堵したものの、無陀野に疑問が残る。
何故命は倒れたのか。
まさか"邪眼の鬼"の影響なのか。
「命は何故倒れたんですか?」
(あの子さ、身体強化のために生き物の毒を血に混ぜてたんだ)
「…は?」
ピキッ
事情を聞いた瞬間、無陀野はこめかみに青筋を立てた。
それを見た周囲の隊員達から「ひぃっ」と情けない声が上がる。
「今からそっちに行きます」
(そう言うと思ったよ〜入れてあげるから待ってるよ。他の2人もね)
ピッ
それを最後に通話は切れた。
電話を終えると、無陀野は呆れ半分にため息をつく。
一連の流れを傍観していた彼の部下が恐る恐る聞いてみた。
「あの…無陀野隊長、どうされました?」
「…悪いが急用ができた。羅刹に行ってくる。明日には戻る」
「羅刹に?何故?」
「…再教育だ」
それだけ言い残して、無陀野は鬼機関のアジトを後にした。
アジトを出ると再びスマホが鳴る。
画面にある"京夜"の名前を見て、無陀野はすぐに電話に出た。
「京夜か」
(ダノッチ〜?お疲れ〜。今、校長先生から電話が来てさ)
「命のことだろう。俺のところにも来た。羅刹に向かうところだ」
(まっすーも一緒だよ〜…やることはわかってるよね?)
「ああ(珍しく激怒してるな)」
その後、同期2人と羅刹に出向いて、床に正座させた命に3人で6時間は説教をした。
長時間の説教と珍しくブチギレた京夜に懲りたのか、もう二度とやらないと約束させた。
…はずだった。
約束させたにも関わらず、命は性懲りもなくこの悪手に手を出そうとしている。
「(アイツ…!)」
その事実を悟り、無陀野は怒りを露わにする。
ここに他の職員がいれば悲鳴の一つでも上がっていたかもいれない。
彼は迷うことなくスマホを取り出して、とある人物に電話をかけた。
(もっしもーしダノッチどしたー?珍しいね)
「京夜、頼みがある」
(え?)
命が怒られるまであと〇〇日…。
終わり
