第五話
夢小説設定
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『どうして来たの!?早く逃げて!』
「うるせぇ!俺も戦うって決めたんだ!」
足を負傷した命は駆け寄ることもできず、四季に指示することしかできなかった。
当の四季は逃げようともせずに唾切に立ち向かっていく。
「そうか!君が四季か!そうだよ、僕が唾切だ」
「やっぱそうか」
目の前の男が唾切だと確信した四季は彼に問いかけた。
「なんであんなことできんだ?」
「?」
「なんであんな死人に唾吐くようなことできんだよ!理解できねぇ!なんなんだよ!?どーいう神経してんだよ!」
四季はこれまで唾切が行った芽衣の両親や他の鬼達への所業を、積もりに積もった怒りを彼にぶつけた。
唾切は一瞬ポカンとした表情をしたが、すぐに可笑しそうに笑い始める。
「ははは、人間みたいなこと言うなよ。今の台詞は人権がある桃太郎か人間が言う台詞じゃん。鬼に人権があると思うなよ」
嘲笑しながら言い放たれたその言葉で、四季の怒りは頂点に達した。
「黙れカス!ぶっ潰してやるぁ!」
怒りのままに彼は唾切に銃口を向ける。
チャッ
バッ
銃を取り出した四季に、すかさず唾切はナイフを投げる。
投げられたナイフは四季の手に的確に命中して、彼の手を傷つけた。
「そんなのでやり合うなんて冗談だろ?君の血は、そんなもんじゃないはずだろ?」
『四季君!無理だってば!』
命は足を引きずって四季に近づこうとするが…。
「来るな!」
『!?』
「何言ってるかわかんねぇけど、安心しろよ。俺がお前が大嫌いだからよ…」
四季は滴り落ちる血液で、鬼ごっこの際に作った機関銃を右手に付けていた。
その意味を理解して、命はサァと青ざめる。
『ダメだって!まだ血のコントロールが…』
「うるせぇ!それがどうした!」
ドォ
四季が機関銃を撃つと凄まじい衝撃が起こり、辺りの壁や襖がふっ飛ばされる。
命は咄嗟に体を伏せて爆発から免れたものの、相変わらずの威力に言葉を失っていた。
『(強い…けど)』
この威力を維持していたら、間違いなく血が足りなくなる。
その前に早く傷を治して戦闘に戻らなければならない。
唾切はというと、頬にかすり傷を作ったものの大した負傷もせずに爆発を免れていた。
彼の片手には例の棺桶が添えられている。
「(想像以上だな…)」
「何避けてんだお前、俺にビビったのか?」
「言うじゃないか」
今の一撃で唾切のスイッチが入ったらしい。
頬の傷から流れる血を拭いながら口角を上げる。
「今のはなかなかよかったよ、そしてますます興味が湧いた。だから僕も…本気でいくよ」
『!?』
彼は手に添えていた棺桶の蓋を開ける。
恐れていた事態が起こり、命は顔を強張らせた。
「(棺桶!?)」
一方で四季は何事かと身構える。
中から出てきたのは、1人の男の死体だった。
唾切はスッと手を動かして、中から現れた死体を操り始める。
操られている死体は白いスーツを着ていて、一目で桃太郎だとわかった。
『(マント羽織ってるってことは隊長格じゃん…!)』
命は死体の正体に瞬時に気づいた。
隊長格ということは間違いなく強い。
「テメェ…仲間の死体も人形にしてんのかよ…イカれてんのか!?」
「…」
四季も死体の正体に気づき唾切を非難すると、彼はさも馬鹿にした顔ではぁ…と深く息をついた。
「君、馬鹿だろう?」
「あ!?」
「馬鹿は自分のものさしが正しいと信じて疑わない。ウイルスが流行した時ただの風邪だと言ってデモを起こす奴、動物性食品を一切食べない者が家畜を勝手に逃がしたりする。個人で信じるのは馬鹿じゃないが、馬鹿はそれを人に押し付ける。彼は自分で人形になることを望んだんだよ」
死体の両手が前に差し出されると、途端に四季の体がガクッと崩れ落ちる。
『四季君!?』
「(なんだ…!?体が…重い…!)」
「これは彼の能力。操る対象が桃太郎の場合、その人の能力も操れるんだよ。彼は空気中の酸素に細菌を混ぜて重さを変えられるんだ」
その時、唾切に操られている死体が何かブツブツと言い始める。
(鬼…完全抹殺スル…ベシ)
「(こいつ…喋った…?)」
「これはには僕も驚いたよ。生前のこの言葉だけは覚えいるんだ。怨念か執念か見事な桃太郎魂。彼が魂なら僕は手となり足となる。死して無念を晴らそうじゃないか。君はこの"重い"に、耐えられるかな?」
四季は為す術無く耐えることしかできなかった。
