第四話
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同じ頃、火葬場に出向いていた京夜と皇后崎は京都支部に侵入していた唾切と蓬の襲撃を受けていた。
京夜は唾切に脇腹を刺され、皇后崎は蓬に腕を負傷させられる。
二人とも致命傷は免れたが、危機的状況に立たされていた。
そんな中で京夜は皇后崎に隊員や四季、命に唾切が来たことを伝えに行くように指示を出したうえで、患者を連れて逃げるように先導を頼んだ。
皇后崎は一瞬躊躇したが、応援を呼ぶと言ってその場を後にした。
「蓬くーん」
「うっす」
唾切の指示で、蓬が細菌で壁を作る。
それは京都支部を囲うほどの巨大な部屋だった。
「清水寺地下はほぼ囲ったっす。文字通り袋のネズミっすね」
「本当…美女って手強いよね…」
京夜は絶体絶命の状況に苦笑いを浮かべた。
「(恐らく、この地下一帯は囲まれて逃げ場はない…中にいる戦闘可能な者は命ちゃんと生徒のみ…外からの応援は絶望的…そんで今…目の前に…引いちゃう程強い2人…)」
冷静に状況を分析した後、京夜は深くため息をついて宙を仰いだ。
「(あー…死ぬなーこれは…)」
援護部隊とはいえ、彼も戦地に身を置く者としてそれなりに覚悟はできていた。
そんな彼に更に追い打ちをかけるように唾切が言った。
「一つ聞きたいことがある」
「ん?」
「蝶世命と一ノ瀬四季って知ってる?」
その2人の名前を聞いて、京夜の表情が強張る。
「(命ちゃんと四季君…?)」
「特に蝶世命、そのメスってある鬼の子どもなんだよね?是非とも連れて帰って研究してみたい」
「……!」
命が狙われていると理解した京夜は、白衣を捲って裏側に隠し持っていた複数の注射器から1つを手に取った。
「("トリカブト"、有毒植物の一種で呼吸困難·臓器不全を引き起こす)」
ナイフも銃も使えない彼の精一杯の抵抗である。
生徒、隊員、そして命、彼らのためにもなんとしてでも食い止めなければならない。
「君は逃げないんだ。まぁ逃げ場ないけど」
「まぁぶっちゃけ逃げたいけど、そーいうわけにはいかないじゃん?」
京夜は笑みを浮かべたまま唾切に言い放つ。
すると唾切が一瞬で彼の背後に移動する。
「あっそー」
ビッ
同時に、京夜の首の動脈が唾切のナイフで切られた。
一瞬のことで京夜は対処できなかった。
「あ…(ヤバい…血を摂取しないと…)」
彼は咄嗟に自分の血を摂取しようとするが、間に合わず大量出血でその場に膝をついてしまう。
「(あぁ…くそ…どうせなら美女に殺されたかったな…)」
切られた首の傷から、天井まで届くほどの血しぶきが上がる。
倒れた京夜が最後に思い出したのは、命の満面の笑顔だった。
「(ごめんね…命ちゃん)」
彼は天井から滴り落ちる血を浴びながら、命に謝罪をして力尽きるのだった。
……____。
皇后崎は応援要請とともに、桃太郎が来たことを伝えようと靴を乱雑に脱ぎ捨ててアジトに戻る。
ガラ
「おい!ここに桃太郎が…」
引き戸を開けて中に入った皇后崎はすぐに異変に気づいた。
嫌に静かで、人の気配が薄いのだ。
『皇后崎君?』
名前を呼ばれた皇后崎は広間へ入る。
彼を出迎えたのは、命を筆頭に臨戦態勢でいる四季達生徒と芽衣、数人の援護部隊の隊員だった。
『よかった、無事だったのね』
「これだけか?どーゆうことだ?」
『実は…』
命は遊摺部の索敵で桃太郎がすぐそこまで来ていることがわかり、患者を地上に避難させたこと、突然黒い靄に道を塞がれたことを説明した。
「幸い患者は全員逃げられたけど、俺らと何人かの隊員は逃げ遅れちまった。芽衣もな」
「
「あいつは立ってた場所がよかったから地上に逃げられたよ」
『ごめんね…みんなのことも逃がせたらよかったんだけど』
「チヨ先のせいじゃねーよ。むしろ頑張ってんじゃん、気にすんなって」
四季なりに励ましてくれているのは伝わるが、優しい言葉が今の命には苦しかった。
『(無人さんなら…もっと効率よく避難させられたのに)』
自分はあの人ではないのだから、仕方ないと頭でわかっていても、自分の手際の悪さに腹が立った。
「手分けして出られるとこ探すしか…」
「ないよ」
矢颪の提案を、女性隊員がバッサリと切り捨てる。
「さっき外に繋がる所は全部見たけど、黒い奴で塞がれてる。逃げ場はないよ」
『(袋の鼠か…鼠じゃなくて鬼だけど)』
不意に、命はあることに気づいた。
皇后崎と一緒に火葬場に向かった京夜がいない。
彼はどうなったのだろうか。
『皇后崎君、京夜さんは!?』
「あいつは…!」
皇后崎が答える前に異変が起こる。
ガッ
広間の引き戸に何者かの手がかけられた。
鋭い爪を持ったそれは、不気味な獣の頭蓋骨のような顔で二足歩行をする化け物だった。
「なんだあれ…?」
「気味わりぃ!」
『みんな近づかないで!』
「な…なんだこいつ…」
化け物は一人の男性隊員に近づいていくと…
バクッ
一瞬で隊員の上半身を食いちぎって、そのまま丸呑みしてしまう。
室内が凍りついた。
化け物は構うことなく、残っていた腕をムシャムシャと食べ始めた。
「う…うわあぁぁあ!」
隊員達は悲鳴を上げて散り散りに逃げていく。
広間が騒然とする中、命は冷静に化け物の様子を見極めていた。
『(こいつ…死体じゃない!?なら血が使える!)』
化け物が死体ではないと理解した命は右手を後頭部に回して、そこにある蝶の髪飾りに触れた。
カチッ
ザシュ
蝶の背中にあるボタンを押すと、
血蝕解放
滴り落ちる血から蝶が生成されてヒラヒラと舞い、化け物へと纏わりつく。
化け物は蝶を払い除けようと腕を振り回す。
「えっ!?何、蝶!?」
『私の血だよ!あいつの注意をそらしてるうちにみんな散り散りになって隠れて!』
集まっていてはまずいと判断した命はみんなにバラけるように指示を出す。
すると皇后崎と矢颪が化け物が来たであろう通路に向かっていることに気づき、命は制止の声をかけた。
『ちょっと、何処行くの!?隠れてって言ったよね!』
「あの医者が気になるから見てくる!」
「桃太郎が来てんだろ?強くなれるチャンスじゃねーか!」
『あ、こらっ』
2人は制止も聞かずに、アジトの外に出ていってしまった。
『(こういう時ぐらい言う事聞いてよ…!)』
命は頭を抱えた。
他の隊員は既に逃げており、漣、手術岾も何処かに隠れたようで姿が見えなかった。
残されたのは四季と芽衣だけだった。
『仕方ない…四季君と芽衣ちゃんは私と来て!』
「芽衣!俺から離れるなよ!」
四季の呼びかけに芽衣は何も言わず、俯いているだけだった。
命はそんな芽衣を抱き上げると、四季を連れて広間から避難するのだった。
