第四話
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命達が本部で死体を相手に戦っている頃、無陀野はこの襲撃の首謀者である唾切、蓬と戦っていた。
彼はたった今、唾切が自身の細菌を入れた鬼の死体を京都のあちらこちらに放置して、鬼機関が回収されるのを待っていることを聞いたばかりだ。
これ以上の被害を広げないために無陀野は迅速に唾切を倒そうとしているが、死体を操る唾切に苦戦を強いられていた。
無陀野が血の傘で唾切を一突きにしようとするが、彼は自分が殺した鬼の死体を盾に、無陀野の攻撃を防いだ。
「くっ…」
「はは、おでんだ」
その時、無陀野は真横に異様な殺気を感じた。
「!」
彼が咄嗟に体を伏せると、唾切が引き連れていた謎の化け物が大きく腕を振るって操られていた死体に強力な一撃を入れた。
血しぶきを上げる仲間の死体を横目に見る無陀野の表情は、僅かに歪んでいた。
「悲しそうな顔してどうしたんだい?蛆が減って喜ばしいだろ?」
「外の道にも限度があるだろう」
「それを外道以下が言うなんて、面白すぎてつまらないね」
吐き捨てる言葉の通り、唾切は鬼の命を虫けらと嘲笑う非道な性格であった。
そんな男を四季や命がいる本部に近づけさせまいと、無陀野は何が何でも唾切をここで殺すつもりだった。
「無陀野さん!自分らも加勢します!」
無陀野が来てから彼の背後で傍観するだけだった戦闘部隊の隊員が加勢を申し出る。
すると一人の隊員がこんなことを無蛇野に聞いてきた。
「無陀野さん、蝶世さんも来てるんですよね?来てもらったほうが…」
「アイツは本部の警護に回っている。コッチには来れない」
それがまずかった。
命の名を聞いた瞬間、桃太郎二人の顔色が変わる。
「まさか…蝶世命?"死を呼ぶ蝶"が京都に来てるっすか」
「そのようだね」
2人が命に興味を示したことと、先ほどの唾切の話に嫌な予感がしていた無陀野は背後にいる隊員達に指示を出す。
「お前らは至急アジトに戻れ。向こうが気になる」
「そーはさせないよー。蓬くーん」
「うっす」
唾切の命令で、もう一人の桃太郎ー桃草蓬が前に出ると両手の指を合わせて細菌を出した。
細菌は瞬時に無陀野達を囲む巨大な部屋となり、無陀野を含めた戦闘部隊は閉じ込められてしまう。
「ご苦労蓬君」
「なんのつもりだ?」
無陀野は冷静に部屋の中から唾切に話しかけた。
「簡単な話だよ。君がそこにいる間に僕らは、君らのアジトにお邪魔させてもらうんだ」
「どーゆうことだ?」
「場所なんか知らないくせにって思ったでしょ?くっくっく」
唾切はさも楽しげに嘲笑しながら、無陀野にある事実を明かした。
「放置した死体に発信機をつけておいたんだよ」
「!?」
「そしたら面白い所にバンバン発信機の信号か集まったんだよ」
彼は嘲笑を浮かべたまま、部屋の壁に手を付けると無陀野に余裕の笑みを見せつけるように顔を近づけた。
「清水寺の下にね」
「何…?」
「ふふふ。それから、蝶世命が鬼のアジトを守ってるって言ってたよね」
「!?」
命が京都にいると確信した唾切は嘲笑からニタリと下卑た笑みへと表情を変える。
「蝶世命がいるなんて幸運だなー。毒を使う鬼、是非生け捕りにして研究したいと思ってたんだ。メスだから痛みに強いだろうし、それにその鬼って…」
ダァン
無陀野は感情を抑えきれず壁に拳を叩きつける。
そして顔に青筋を浮かべながら唾切を睨みつけた。
「命に近づくな」
「へぇ…よっぽどそのメスが大切なんだね。良いことを知った。じゃあゆっくり行かせてもらうよ」
「待て!」
「君も生きてたら見においでよ」
「アグリ、入室を許可する」
ズププ…ズプォ…
蓬が指を鳴らすと、2人と一緒にいた化け物が壁をすり抜けて侵入する。
何事かと無陀野達が身構えていると、唾切の声が聞こえた。
「そのアグリは量産型だからさ、壊れてもオールOKなのよ」
今度は唾切が指をならすと、化け物の体がボッと膨らみ出した。
他の隊員が動揺する中、無陀野だけは化け物を凝視してこれから起きる出来事を予測した。
「だから君たちにあげちゃう」
「お前ら伏せ…」
ドォッ
無陀野が指示するより先に、凄まじい爆発音を轟かせながらアグリは自爆した。
「爆発に美しさが足りなかったかな。要改良」
それだけ言い残して背を向けて歩きだす唾切。
桃太郎2人は悠々と清水寺へと足を進めるのだった。
「…ッ」
爆破に巻き込まれる際、戦闘部隊を庇った無陀野は無事で済まされず瓦礫の上に仰向けで倒れていた。
朦朧とする意識の中、無陀野の脳裏に浮かぶのは生徒となった四季達、同期の花魁坂、そして最愛の命の姿だった。
ー無人さん
鈴が転がるような声で自分の名前を呼ぶ命が、あの外道の魔の手に堕ちる事なんて想像もしたくない。
しかし、体は動かず僅かに残っていた意識も途切れかけていた。
「(命…無事でいてくれ)」
命や四季達の無事を願いながら、無陀野の意識はブラックアウトした。
