第三話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…あれ?あれれれれ〜?そこにいるのって…もしかして命ちゃん!?」
命に気づいた京夜は、明らかにテンションが上がった声を上げる。
ついにバレてしまった…と命は深く息を吐いて彼の前に出た。
『お久しぶりです、京夜さ…ぐぇ』
「久しぶり〜!え、え!?なんでダノッチといるの!?てか、命ちゃんと会えるなんてお兄ちゃん感激ー!」
命を視認した京夜は、彼女の息が止まるほど強く抱きしめた。
『京夜さん苦しいです…!』
「そんな堅苦しい呼び方しないで、お兄ちゃん♡って呼んでってば」
『呼びません!てかなんで♡が付いてんですか!』
京夜の拘束から解放されようと、腕の中で藻掻く命。
明らかに親しげな間柄に四季は思わず聞いてみた。
「兄貴?」
『違う!この人が勝手に自称してるだけ!』
「もー照れなくていいのに!子供の頃から可愛がってあげたじゃん」
『やめてくれません!?誤解されかねない言い方!』
命が京夜に会いたくない理由はこれだ。
昔から過剰にスキンシップを取って兄貴ヅラしてくるのだ。
鬱陶しいったらない。
「京夜」
「あっ、ごめんってダノッチ」
無陀野の鋭い視線に気づいた京夜は、ようやく命を解放する。
命が解放されると、無陀野は息をついて話を続けた。
「俺はこれから前線に出る」
「え!もう行くの?」
「それから命を護衛としておいていく。何かあったら頼れ」
『よろしくお願いします』
「は!?先生前線に行くのかよ!?連れてけよ!」
「俺はこんな奴の手伝いなんか嫌だぜ!」
「ワンパクキッズの教師とか大変だな!どんまいダノッチ!」
悪態をつかれたにも関わらず、京夜は面白半分に無陀野を茶化す。
「そのワンパクども自由に使ってくれ。命、あとは任せた」
『はい。無人さんもお気をつけて!』
「じゃあな」
無陀野は生徒と命を京夜支部に残して前線に向かった。
残された命は生徒をどうしようかと、考えあぐねていると…。
「先生!早く来てください!」
「へいへーい」
スパーンと襖を開けて現れた援護部隊の女性隊員が京夜を急かす。
その女性隊員は四季達の存在に気づき、声をかけてくれた。
「ん?羅刹の生徒たちね?早く着替えて手伝いなさい!」
生徒達は隊員に案内されて更衣室へ向かう。
命はそれを軽く手を振って見送るが、それを見ていた先ほどの女性隊員に突然腕を掴まれてしまう。
「何してるの?貴女も着替えてきなさい」
『え!?いや、私は…』
「ああ、その子は学生じゃないよ。戦闘部隊の蝶世命って知らない?」
『あの、私今日は無陀野さんに援護部隊の護衛を任されて来ました』
「え…そうだったのね!失礼しました!」
誤解が解けると、女性隊員はすぐに腕を解放してくれた。
命は学生に間違われることは慣れていたので、それ自体は平気だったが隣で京夜が笑いを堪えているのが耐えられなかった。
『京夜さん笑いすぎです!』
「だって…学生に間違えられる命ちゃんが可愛くて…」
一人の時は平気なのに、指摘されると羞恥心が湧くのが不思議である。
頬を膨らませていると、ポンポンと大きな手が命の頭を撫でた。
「拗ねないで、お姫様。怒った顔も可愛いけど、君は笑ってる時が一番可愛いからね」
『変な呼び方しないで。いくつになったと思ってるんですか?』
「そうだね。…大きくなったね」
何かを懐かしむように目を細める京夜。
その視線から逃げるように、命は思わず目をそらした。
『…此処の安全は守ります。早く行ってください、総隊長』
「頼んだよ、"死を呼ぶ蝶"」
ちょうどそこに着替えを終えた生徒達が戻ってくる。
男子はダークレッドのVネックシャツに黒いインナー、女子はクラシカルなメイドのような服装である。
これが援護部隊の隊服なのだ。
『はい。ここからは京夜さんもとい、援護部隊の指示に従ってね』
「なんだ…ここ…」
案内された一室には、布団が敷かれてその上に負傷している人達が寝かされている。
ほとんどの人が重傷を負っていた。
『京都中の負傷した鬼がここに運ばれてくるんだよ』
「多くは今起きてる戦争で負傷した鬼達だね」
「先生!こっちです!」
「「!?」」
「この方は戦闘隊員でさっき運ばれてきました!」
女性隊員が案内した場所には、一人の男性が他の人と同じように寝かされていた。
その男性を見て、四季達は言葉を失った。
「両腕両足欠損、肺も広範囲に負傷しています。あと3分が限界かと…」
ヒューヒューと浅い息を繰り返す男を見て、四季は助からないと悟る。
しかし、京夜は明るく男に笑いかけた。
「大丈夫っす旦那!死なないし死なせないっす!」
事情を知らない四季には、その態度が軽薄に見えたのだろう。
思わず京夜の腕を掴んだ。
「おい…!どう考えても無理だろ…!無責任なこと言ってんじゃねぇよ…!」
『無責任じゃないよ』
そんな四季を諭すように、命が間に入って京夜の腕を掴む手をやんわりと解く。
『この人は大丈夫なの』
「?」
「優しいね、四季君だっけ?俺こう見えて結構偉いのよ。偉いのは理由があるっつーわけ」
京夜は四季の不安な心を安心させるように、立ち去り際にポンと肩を叩く。
「じゃあ、職場体験を始めようか」
ここにいる人は誰も死なせないと言わんばかりに自信に満ちた京夜の笑みを見て、命も自然と口角を上げるのだった。
