第二話
夢小説設定
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『…はい、じゃあお願いします』
保健医と合流して屏風ヶ浦を引き渡すと、命は無陀野の元へ戻っていく。
『あれ…?』
途中、彼女はあるものを見つけた。
もう一つのボールだった。
木の枝に引っかかり、高い場所にそれはあった。
『デジャヴ…』
一瞬取ろうかとも考えたが、彼女は首を横に振った。
もう5分も無いし流石に無理だろう、と命はそのまま放っておくことにした。
……____。
命は人の気配を察知して、無陀野がいる場所を把握してそこへ向かう。
『見つけたはいいけど…』
木に登って無陀野の状況を確認していた命は困惑した。
無陀野がロープで拘束されて、四季と皇后崎に引っ張られいる。
根比べと言ったところか…。
『ってか、組んだのかあの二人』
皇后崎が自由になっているということはそういうことだ。
命は無陀野を拘束するロープを切ろうと、ナイフを取り出して投げようとした。
『!!』
しかし、投げる寸前無陀野がこちらを見た。
命はナイフを下ろした。
『手は出すなってことか…。相変わらず甘いんだか厳しいんだかわからない人ですね』
そこが好きなんだけどね…
彼女の最後の呟きは雨音に紛れて消えていった。
「皇后崎!もっと引っ張れオラぁ!もっともっと!」
「お前…本当うるさい…!」
「うおおぉ!」
初めて組んだにしては上手く連携できているが、やはり体力が削られているせいか無陀野はびくともしないでいる。
すると、無陀野に向けて小さな斬撃が放たれた。
「!」
彼は拘束されたままそれを避けた。
斬撃は皇后崎の指から放たれたものだった。
「(これで血は使い切った…)」
「やんじゃねーか!体勢崩れた、ボール取るチャンスだべ!」
四季は無陀野がほんの少しだけ体勢を崩したのを見逃さず、ロープを離して駆け寄る。
そして無陀野の手にあるボールに手を伸ばすと、指先が触れて無蛇野の手から転がり落ちた。
ボールは皇后崎の近くまで転がっていく。
『取った!けど…』
問題はここからだと、命は分析する。
残り3分弱、全力で走ればゴールに間に合う可能性はある。
無陀野からボールが離れた最後のチャンスだ。
しかし1つしかないボールを皇后崎が持って走れば、間違いなく四季がボールを奪おうと追いかける。
無陀野がその隙を逃すはずがない。
『(無人さんがボールを奪い返した瞬間に、私が二人を拘束する。それでこの組は終了だな…)』
懐から拘束用のロープを取り出して、その時を待つ命。
しかし、予想外のことが起きた。
「よっしゃあぁ!早く取ってゴールしちまえぇ!」
「「!?」」
『…は?』
四季はボールを奪うどころか、皇后崎にゴールを譲ろうとしている。
皇后崎は四季の言う通り、ボールを取ってゴールに向かって走り出した。
「ハッハー!どうよ!?先生からボール取れたぜ!」
『喜んでるとこ悪いけど』
シュタッ
浮かれてる四季に現実を突きつけようと命はその場に降り立った。
『あのままゴールしたら皇后崎君だけ勝ちだよ』
あ
指摘すると、一瞬の間を置いて四季はようやく自分がやらかした事に気づいてその場で項垂れた。
「忘れてたぁぁ!ボール奪えて満足しちまったぁぁ!おぉい!ちょっと待て!」
『…馬鹿ですね』
「俺もコイツの馬鹿さは計算外だった」
シュル…とロープを解きながら無陀野は呆れて言い放つ。
悪く言えば底抜けの馬鹿だが、良く言えば真っ直ぐな正直者である。
『ぶっ…くくくく』
「命…」
『すみません…でも馬鹿過ぎて…!あはははっ』
「うっせぇ!笑うな!!」
頭を抱えている四季の傍らでを腹を抱えて笑う命は思った。
あのボールの存在を教えれば、全力疾走でギリギリ間に合うのではないか、と。
四季にここで終わってほしくない命は、ひとしきり笑い終えて四季に声をかけた。
『ねぇ、あっちに…』
その時、ゴールに向かって走っていた皇后崎が突然踵を返して戻ってきたのだ。
『え!?戻ってきた!』
「究極の方向音痴ですか!?」
「勘違いするな!二度もお前に借りを作るのが嫌なだけだ!俺は退学になろうが!一人で目的を成し遂げる!だから!お前が!ゴールしろ!」
四季にゴールを譲るために戻って来たらしい。
彼が四季にボールを差し出そうとしたその時だった。
ザッ
突然、四季と皇后崎の間に小さな生き物が割り込んだ。
『むっくん!?』
「な!?」
命が声を上げると同時に、皇后崎が急ブレーキをかける。
「なんだこの丸っこいの!」
「待て!この子は獏速通信の獏、名前は夢獏。通称むっくんだ。通信履歴を残さず素早く情報を運ぶ」
ムームーと鳴くその生き物は背中に通信機を背負っている。
むっくんが来るということは大半が緊急事態を知らせるということだった。
『無人さん!』
「嗚呼。失礼する」
「ムー」
無陀野はしゃがむと、むっくんが背負う通信機に手をかける。
すると、通信機から録音された通信記録が流れた。
《こちら鬼機関京都隊!鬼機関京都隊!桃太郎機関による襲撃を受けている!至急応援を頼む!》
録音されていたのは京都支部からの応援要請だった。
そしてこの要請は、今後の学生たちの運命を大きく変えることになるのだった。
つづく
