第二話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もらった!」
空中で避けようがないと判断した皇后崎が、接近戦を試みる。
しかし無陀野は焦ることなく、傘の石突きの部分を取り外すとそれを皇后崎に投げた。
皇后崎が爆弾かと怯んだ瞬間、石突きがピピッと鳴りボッと再び煙が辺りに広がる。
「くそ!また煙幕か!あの傘いくつ仕込んでんだ!」
痛めた右腕を庇いながら、皇后崎は周囲を警戒する。
また無陀野が遠距離で狙って来ると予測したからだ。
しかし、彼の予測は大きく外れることになる。
『…勝負あったな』
少し離れた場所で、屏風ヶ浦の応急処置を終えて戦いを傍観していた命が呟いた瞬間、皇后崎が突然弾かれたように横に吹っ飛ぶ。
煙に紛れていた無陀野の強力な一撃を喰らったのだ。
皇后崎の体はそのままゴロゴロと地面を転がっていく。
「また遠距離でくるという決めつけはよくない。それに右腕を庇い過ぎて他が隙だらけだ。そもそも負傷状態で勝てると思ったか?相手の力量はしっかりと見極めろ」
バッ
シュッ
無陀野が傘を開くと、傘地が裏返る。
そして骨組みごと中棒から外れて、倒れている皇后崎の上から覆い被さった。
露先が地面に刺さり、完全に彼の動きを封じてしまう。
「だからこうなる」
「くそ…」
「これが実戦ならお前は死んでるぞ」
拘束された皇后崎を無陀野が冷たく見下ろす。
しかし、彼は諦めなかった。
「く…!まだだ!まだ終わってない!」
「必死だな。そんなに父親に会いたいか?」
無陀野の一言に、皇后崎の顔に驚愕と怒りが浮かぶ。
額に青筋を立てて無陀野を睨みつけた。
「なんで知ってる…」
「ある程度調べさせてもらった。ほかにも知ってるぞ。例えば…お前の父親が桃太郎ってこととかな」
命は気絶する屏風ヶ浦の頭を撫でながら、黙って無陀野の言葉に耳を傾けていた。
「だったらなんだ…そうだよ、俺の父親は桃太郎だ…そして…俺から全てを奪ったクズだ!」
今まで感情を表に出さなかった彼が、悔しげに感情を吐露する。
余程辛い思いをしたのだろう。
皇后崎は止まらなかった。
「家族も!憧れも全部!父親に刻まれた全身の傷のおかげで、一瞬だって憎しみが消えたことはない。ゴミを喰らってでも、生きることに縋り付いた。全ては父親を殺すために!そのためなら死ぬのなんて怖くないんだよ」
彼は傘の拘束を無理やり解いて立ち上がる。
その気迫に四季は押されていたが、この男は違った。
ドッ
無陀野は皇后崎の頭を掴み、後頭部を地面に打ち付けた。
あまりの衝撃に地面が割れるほどだった。
「ガキが何言ってんだ?はき違えるなよ?」
珍しく顔に青筋を浮かべて怒りを露わにしている無陀野に、命は冷たい汗がにじみ出るのを感じた。
頭を打ち付けられた皇后崎は、手を伸ばして小さく何かを呟いていたが誰にも聞き取れず、その言葉は宙に消えていった。
一方で目を閉じて、ポーカーフェイスに戻った無陀野は皇后崎を見下ろしながら言い放つ。
「目標のために死ぬな、目標のために生き抜け。それが分からないならお前に明日はない」
皇后崎は木にロープで縛られ、拘束される。
その時、倒れていた四季が立ち上がった。
「少し動けるようになってきた…」
しかし、膝に手をついてまだ辛そうにしている。
その状態で彼はなんとか無陀野と対面していた。
「屏風ヶ浦はここでリタイヤだ。命」
『応急処置は終わってます』
「ご苦労。もしもし、保健医をこの場所に送ってくれ」
無陀野は学校職員に電話をして、保健医を要請した。
「さて、残るはお前だが…タイムアップまで5分42秒だ。それともう一つ、来る途中で命がこんな物を拾ってな」
そう言って四季に見せたのは、先ほど拾ったボールだった。
意味を理解した四季は苦虫を噛み潰したような顔になる。
「ボール持ってるとかズリィだろ…」
『ごめんね、これぐらいの足枷は必要だって言うから…』
「残り1つを5分30秒で見つけ出してゴールするか、俺から奪うかの2つに1つだ」
ダッ
四季は何をするかと思えば、二人に背中を向けて走り出した。
「逃げたか」
『追いますか?』
「いや、いい。お前は屏風ヶ浦を保健医に引き渡してこい」
『いいんですか?二人で追ったほうが早く終わります』
「どうせ四季だけだ。二手に別れたほうが効率が良い」
『了解です』
無陀野の指示を受け、命は屏風ヶ浦を横抱きにして保健医の元へ向かった。
